第三新東京市某所のコインランドリー

 ゴウン…ゴウン…と音を立てて回る洗濯機。その前で、青葉は缶コーヒーを片手に客用に置かれている古びたマンガを読みながら、洗い終わるのを待っていた。傍らには愛用のギターケースを置いている。
「あら…青葉君。おはよう」
「お、マヤちゃんか。おはよう」
 新たな来客が日頃気になっている同僚、伊吹マヤと知り、青葉はマンガを本棚に戻す。
(落ち着け、落ち着くんだシゲル。滅多に無いチャンスじゃないか)
 自分に言い聞かせる青葉。一見軟派そうな外見に似合わず純情派な彼には、マヤともう少し親密さを増すためのある計画があり、その切り札は彼のGパンの尻ポケットに忍ばせてあった。
「練習の帰り?」
 マヤがギターケースに気が付いて尋ねた。
「ん?あっ、ああっ!今度二週間先にライブでね。みんな張り切ってるよ」
 マヤの方から話を振ってきてくれた。思わぬ幸運に青葉の顔が紅潮する。彼が参加しているバンド「Earth Gard」はNERVのスタッフが結成しており、90年代調の曲を主体として二ヶ月に一度はライブを開いている。尻ポケットの中に忍ばせた次のライブのチケット、それも一番自分のポジションに近い席のそれを取り出す姿勢になり、青葉は言った。
「で、でさ…今度のライブなんだけど、良かったら…」
 聴きに来てくれないか?と続けようとした時、入り口の方でのんびりとした声が聞こえた。
「お?何やってんだ、お二人さん」
 加持だった。
「あ、おはようございます!加持さん!」
 マヤが満面の笑顔で挨拶した。
「ああ、おはよう」
「聞いてくださいよ加持さん。今日も家に帰る時間が取れないんですよ。せめてお洗濯くらいは…」
 NERV女子職員の人気、好感度ランキングなるものがあれば、常に上位にいるであろう加持。マヤもちょっと頬を紅潮させ、嬉しそうに加持と話している。
 取り残された青葉は尻ポケットに突っ込んだ手を出し、トホホ、と言いたげに肩を落とした。
(う、恨みますよ…加持一尉…)
 渡すタイミングを完全に逸したチケットはその後も青葉の尻ポケットに忍ばせてあったが、結局マヤに渡される事はなかった。


新世紀エヴァンゲリオン REPLACE

第拾壱話 「静止した闇の中で」



地下鉄車内
 ネルフ本部へ向かう秘密地下鉄の駅で、3人は前の駅で乗ってきたらしい冬月と乗り合わせた。
「おや、司令。おはようございます」
「「おはようございます!!」」
「ああ、おはよう」
 加持に続いてマヤと青葉が気合いの入った挨拶をすると、冬月は読んでいた新聞を畳み、挨拶を返した。
「今日は市議会の定例だったのでは?ずいぶん早く終わりましたね」
 加持が言った。市議ではないが、NERV司令として第三新東京市全体に市長以上の圧倒的な影響力を持つ冬月は市議会にオブザーバーとしての席を持っている。
「ああ。今日は解散の宣言だけだからな」
 加持は冬月の隣に座るが、マヤと青葉は席がガラガラなのに立って吊革に掴まっている。
「どうした?ワシに遠慮する事はないぞ。君たちも座りたまえ。いつもと逆に見下ろされているようで落ち着かん」
 普段の発令所での位置関係を思い出し、青葉とマヤは苦笑すると、「ではお言葉に甘えて…」と通路の反対側の席に座った。
「そう言えば、市議選が近いですよね。上は…」
 加持が言うと、冬月は頷いた。
「ああ。お陰で市議の連中はピリピリしていてね…正直言ってキツイもんだよ」
 第三新東京市市議会は、戦自の反国連強硬派がJA暴走事件で壊滅的な打撃を受けた後、残された日本政府の出先機関のようになっている場所だ。市議達は殆どが国(と言うより政府上層部)の肝いりで送り込まれている利権屋である。
「うちに関係する公共事業のあがりを掠め取るだけの山師連中の癖に、足を引っ張ろうとするのだけは一人前だからな…それに引き換え…」
「実際の施政を担当するMAGIは3系統のコンピューターによる多数決。きちんと民主主義の基本に則ったシステムですよね」
 マヤがきらきらと瞳を輝せながら話に参加してきた。
「うーん…MAGIは選挙って言う手段で選ばれた代表じゃないから、民主主義とはいえないけどな」
 青葉が苦笑しながら言った。
「まあ、政治がらみの生臭い話を片づけるのはワシの仕事だ。今日は零号機の起動延長試験やシンクロ・テストがあっただろう。諸君らはそっちでベストを尽くしてくれたまえ」
「はい!」
 冬月の言葉に力強く頷く部下達。組織の一つの理想形を乗せて、地下鉄は闇の中を進んで行った。

NERV本部 エレベーター
 ジオフロント内に家を持っているリツコには基本的に遅刻する可能性が無い。この日も、予定出勤時刻にかなりの余裕を残して彼女は仕事場へ向かうエレベーターに乗った。
「おぉ〜〜〜い!待ってくれぇ〜〜〜〜っ!!」
 扉が閉まる寸前、聞こえてきたそんな言葉にリツコは思わず「開」ボタンを押す。
「ふう、セーフ、セーフ…って、りっちゃん」
「加持君…」
 隙間から飛び込んできた加持と、リツコは思わず見つめあう。が、リツコはすぐに目をそらした。先日のミサトの言葉「加持君はまだリツコの事が好き」が頭をよぎり、加持の顔を正視する事が出来なかった。
「…なんか、機嫌でも悪いのか?」
「…そんな事無いわよ」
 そう言いながらもリツコはそっぽを向いたままだ。終わった事、過ぎた事だと思っていたから。そう思えばこそ加持のからかうような行動にも目くじらを立てずにいたのに。
 ミサトの言葉が頭を過ぎる。
「どうした?顔が赤いぜ。熱でもあるんじゃないか?」
 突然、加持がリツコの額に自分のそれをくっつけた。
「!!」
 目の前には加持の顔。今にもキスでも迫ってきそうな体勢に、リツコの顔がますます紅潮する。
「な、な、な…」
「熱はないようだな…おわ!?」
 慌てたリツコに突き飛ばされ、加持は背中から壁にぶつかった。エレベーターのゴンドラが大きく揺れる。
「か、か、加持君…やめてよ…私とあなたはもうそんなんじゃないんだから…」
「え?」
 純粋にリツコを心配して行動しただけに、加持が訳が分からず間抜けな声を上げた時、がくんっ、という振動と共にエレベーターが停止した。同時に明かりが消える。
「きゃっ!?」
「りっちゃん…まさか今の突き飛ばしのショックでか?」
「あ、あたしじゃないわよ…」
 停止したエレベーターの中で間抜けな会話をする二人。彼らはまだ、事態が更に深刻である事に気づいてはいなかった。

第三新東京市の一画
 レイ、シンジ、カヲルは学校帰り、テストのためNERV本部に向かっていた。その途中、レイは携帯電話で本部へ電話を掛けていた。
『おお、レイか。どうした?』
 受話器の向こうから冬月の声が聞こえてきた。
「おじ様?今度、学校で第二次の進路相談があって、それで先生が、保護者に言っておくようにって」
 レイが用件を伝えると、冬月は苦笑した。
『おお、そうか。そんな事は後で直接言えば良いのに。まあ、今度はワシが行かせてもらおうかな』
 前回は出張で加持に一任していったためか、どこと無く張りきった声で言う冬月。レイもくすくすと笑う。
「そうだね。でも、忙しいから忘れないうちに言っておこうと思って。あ、それでね…」
 レイが続きを言おうとした時、耳障りな音を立てて電話が切れた。
「あれ?圏外って…なに?」
 携帯電話の液晶ディスプレイを見て首を傾げるレイ。この時代携帯の通話範囲はほぼ日本全土に及んでおり、レイが圏外表示を見た事が無いのも無理はない。
「繋がらないって事さ…」
 とカヲル。
「なんだか…おかしいな」
 町並みを見渡してシンジが言った。何が?と尋ねるレイとカヲルにシンジは答えた。
「電気が切れている」
 驚いて町並みを見渡すレイとカヲルの目に、全てのライトが消えた信号が映った。

NERV本部 発令所
 そして、ここにもっと早く事態を悟った人々がいた。
「主電源ストップ!!電圧0です!!」
 照明が全て消え、わずかに点る非常灯の赤い光の中でマヤが叫んだ。
「ダメです!!予備回線繋がりません!!」
 停電と同時にNERV全域の電源、配線網のチェックに移った青葉の報告がこだました。
「馬鹿な!!生き残っている回線は!!」
「全部で1.2%!!2567番からの旧回線だけです!!」
 冬月は一番上の司令席階から一番下の中央作戦オペレーター階に声を張り上げ、応じた女子オペレーターも掌をメガホンにして応える。
「生き残っている電源は全てMAGIとセントラル・ドクマの維持に回せ!!」
「全館の生命維持に支障が生じますが・・・。」
「構わん!!最優先だ!!」
 即決する冬月の命令を受け、青葉はネルフ本部内の空調設備や地上への交通手段へ通じる配線を次々と切ってゆく。
「六分儀、これはどういう事だと思う」
 側に控えるゲンドウに向き直り、冬月は意見を求めた。
「いくつか可能性はありますが、要約できます」
「なんだ?」
「何者かはわかりませんが、我々に反感を抱く跳ねっかえりどもはまだまだいるという事でしょう」

エレベーター内
「・・・くそ、これはただ事じゃないぞ!!」
 加持はエレベーターの緊急連絡ボタンを押し続けるが、反応は全く無い。館内のアンテナの電源も落ちてしまっため、携帯電話さえ使えなかった。
「たしかに、ただの故障では考えられないわね。ここの電源は、確か…」
「正、副、予備の3系統。しかもそれぞれが複々線化してある。全てが同時に落ちるなんて考えられん」
 そう言いながら、加持はエレベーターの天井にある点検用のハッチを目にした。
「とにかく、早く脱出するぞ、りっちゃん。こりゃ保安部と技術部の出番になりそうだ」

発令所
「…やはり、電源は落ちたと言うより、落とされたと考えるべきですな」
 あごに手を当て、ゲンドウは冷静に分析する。
「ジオフロントの融合炉や地熱発電プラントが未だに故障しているのが痛いな」
 マグライトを点けて冬月が言う。ヤシマ作戦での酷使がたたり、ジオフロントの専用電源である各種発電プラントは停止状態にあった。
「地熱発電プラントなら一基や二基は稼動できます。無理をしなければ送電再開まで二、三日は何とかなりそうですが」
 ゲンドウの提案に冬月はしばらく考えた後、決断を下した。
「いささか危険だがやむをえんな。こんな時に使徒に来られては手も足も出ない」

戦略自衛隊 東部方面総隊司令部 総合警戒管制室
 戦自のレーダーに、使徒が映し出されたのは、まさにNERV発令所で冬月が使徒の出現を危惧していたその時だった。
『測的レーダーに正体不明の反応有り!!予想上陸地点は旧熱海方面!!!』
 レーダーオペレーターが緊張に満ちた声で報告した。
 だが、責任者である戦自の陸海空の担当幕僚3人は、顔を見合わせるとやる気なさげに言い合った。 彼らは積極的な反NERVはという訳ではないが、だからといって好意を抱いているわけでももちろん無い。
「恐らく、あれだな」
「ああ、使徒とか言う奴だろう」
「どうする?」
「一応、警報シフトにしておけ。規則だからな」
「どうせ、奴の目的地は第三新東京市だ」
「そうだな。ま、俺達がする事は何も無いさ」
 そう結論を出し、彼らは規則の範囲内で対応を済ませた。一応NERVに連絡を入れようとホットラインの受話器を取る。
 だが、受話器は発信音も無く沈黙するばかりだった。陸戦幕僚は首を傾げ、フックを何度も叩く。しかし、応答はなかった。

 第9使徒は水没したかつての温泉ホテルが建ち並ぶ旧熱海市の放置地区の海岸に、その姿を現した。
 カメの甲羅をひっくり返し、上部から細長い4本の足を生やしたような姿だ。下側にはいくつもの目のような模様が付いており、これまでの使徒に負けず劣らず異様な風体だが、全体の印象としては巨大な蜘蛛の様に見える。細い足をせわしなく動かし、使徒は内陸へ向けて侵攻を開始した。

NERV本部 エレベーター内
「加持君…絶対に上を見ないでよ」
「分かってるって。そう何度も念を押すなよ」
 リツコの声に苦笑する加持。いま、彼は肩にリツコを乗せている。加持の肩を踏み台にしたリツコはなんとか天井の点検口をこじ開けようとしていた。
「まだか?」
「待って…くっ…だめだわ。鍵が掛かってる」
 リツコの答えに、加持は溜息を付くと言った。
「仕方が無いな…これはやりたくなかったんだが。りっちゃん、一回降りてくれ」
 リツコを肩から下ろすと、加持は懐に手を突っ込んだ。
「どうするの?」
 尋ねるリツコの前で、加持は答える代わりに愛用のブローニング・ハイパワー軍用拳銃を取り出した。
「…まさか?」
「そのまさかさ。耳を塞いでおいてくれ」
 そう言うと、返事も聞かずに加持は天井に三発打ち込んだ。轟音がゴンドラ内でこだまし、床に薬莢が転げ落ちる。
「やれやれ…始末書もんだな」
 加持はぼやきながら銃を仕舞った。点検口のパネルは強力な軍用拳銃の威力に破砕されていた。
「相変わらず無茶するわね…」
 呆れたように言うリツコに加持はウインクして答えると、全身のバネを活かしてジャンプし、点検口に取り付いた。懸垂の要領で体を引き上げ、外へ出るとリツコに手を伸ばす。
「よし…掴まって」
「ええ」
 リツコを引き上げながらも加持はエレベーターシャフトの上を見上げた。幸い、一番近いドアは3メートルほど上にあった。

戦略自衛隊 東部方面総隊司令部 総合警戒管制室
「使徒、上陸後依然進行中!!」
 オペレーターが報告する。いつもはこの辺でNERVの航空隊が迎撃や監視に出るのだが、何の反応も無い。 動きが無い事に苛立った当直幕僚たちははNERVとコンタクトをとるよう通信オペレーターに命じた。
「第三新東京市は?」
 航空幕僚が尋ねると、通信オペレーターが答えた。
「応答ありません。依然沈黙を守っています」
「一体、NERVの連中は何をやっているんだ?」
 陸戦幕僚が苛立った声をあげながら、吸い殻が山盛りになった灰皿に煙草をもみ消す。
「どうもただ事じゃないな。直接的協力関係は薄いが、一応ホットラインはあるんだ。それが繋がらないとなると…」
 海戦幕僚が首をひねった。
「確かにな」
 航空幕僚も相づちを打つ。
「…ともかく様子を見よう。今の段階では何とも言えん」
 陸戦幕僚が結論を出し、正面スクリーンに目をやる。使徒を表わす光点は、ゆっくりとした速度で箱根へ向かって進んでいた。

NERV本部 通路内
 ようやくエレベーターシャフトから抜け出した加持とリツコは、発令所へ向けて歩いていた。
「しかし、もう30分も歩いているのに半分も来ていないなんて・・・。これは、改善の余地があるわね」
 リツコはぼやいた。NERV本部の構造は人間工学を無視しているんじゃないかと思うほど複雑だ。原設計ではもっとシンプルな構造だったのだが、侵入者対策として設計を変更した結果、知らない人間にはほとんど立体迷路のような状態になっている。
 おまけにあちこちで緊急事態を感知して隔壁が降りているため、複雑さに拍車が掛かっていた。ルートを覚えている加持がいなければ、リツコ一人ではお手上げだっただろう。
「まあ、そう怒るなよ、りっちゃん。この階段を降りればすぐ発令所のはずだ」
「わかったわ」
 赤い非常灯の作り出す限定された視界を頼りに、二人はゆっくりと階段を降りていった。

NERV行き地下鉄駅 ゲート前
 一方その頃、ゲート前ではチルドレンの3人が足止めを食らっていた。自動改札は全て停止し、電車が来る気配も全く無い。NERV内に連絡を入れようとしても、有線も無線も、電話は依然として不通のままだった。
 ゲートだけでなく、エレベーターなども動かないことを確認してレイとカヲルが焦っていると、シンジが1人冷静に鞄から緊急時のマニュアルを取り出した。特殊素材で出来たカードを折り、中からマニュアルの書かれた紙片を取り出す。
「「そっか!」」
 そんなシンジを見て、レイとカヲルが慌ててマニュアルを取り出す。しかし2人が読み始める前に、シンジはすでに立ち上がっていた。
「こっちのハッチから入れるよ」
 先頭に立って歩き出したシンジに、カヲルが賛辞の声をかけた。
「さすが六分儀君だね…冷静なものだ。好意に値するよ…」
「そうね。わたしと渚君だけだったらこうはいかないもんね」
 レイが混ぜっかえし、カヲルはやや不満気な表情をした。やがて3人はマニュアルに書かれたハッチの前にたどり着いた。
「これは、駄目だね」
「そうね。どうしよう…」
 ハッチは電磁ロックされていた。停電の今、これを開ける事は不可能だ。
「他に道は無いのかな…?」
 そう言ってマニュアルに目を通したレイの肩を、カヲルが叩いた。
「なに?どうしたの?」
 レイがカヲルの顔を見ると、カヲルはハッチの横の通風口を指差した。レイの心を不安が過ぎる。
「…まさかとは思うんだけど、あそこを通っていく気なの?」
 カヲルはニヤリと笑って頷いた。
「悪くないアイデアだろう?」
 レイは救いを求めるようにシンジの顔を見たが、シンジは黙って通風口を見ると、頷いた。行こうという事らしい。
「仕方ないわね…服、汚れちゃうけど」
 レイが賛同した事でカヲルは微笑むと、通風口の蓋を外した。奥には子供なら這っていけば通れそうなくらいの通風孔が続いている。
「よし。じゃあ、レディファーストで、綾波君からだ」
「うん…って、ちょっと待って。この体勢だとその…パンツ見えちゃうから、二人が先に行って」
 レイが言うと、カヲルは一瞬微笑みを消して、それから頷いた。
「…そうか…ざんね…いや、わかった」
「…今の一瞬の間は何、渚君」
「気にしないでくれたまえ」
 かくしてチルドレン達はカヲル、シンジ、レイの順で通風孔の中へと消えていった。

発令所
 その頃、発令所ではようやく到着した加持、リツコ、それに作戦部長室で勤務中だったミサトが司令席に呼ばれ、冬月、ゲンドウを交えて現在の状況確認が行われていた。
「このジオフロントは外部から隔離されても、自給自足が出来るコロニーとして作られた。その全ての電源が落ちるという状況は、理論上ありえない」
 事態を整理するため、あえて幹部全員が承知している事を説明する冬月。耳を傾ける幹部たちが一斉に頷く。
「誰かが故意にやったという事ですね」
「恐らく。その目的はここの調査だ」
 リツコ、ゲンドウもまた誰もが思っていた事をあえて言葉にした。
「復旧ルートから本部の構造を推察する訳ですな」
 加持が言うと、ゲンドウは苦笑して頷いた。
「どこの誰かは知らんが、全く癪な奴らだ…」
「現在、MAGIにダミープログラムを走らせて有りますので、全体の把握は困難になると思います」
 リツコが報告する。
「うむ。引き続き頼むぞ」
 冬月が言うと、ゲンドウが苦々しげに唸った。
「本部初の被害が、使徒では無く、同じ人間にやられた物とは…やりきれんな」
「人間の最大の敵は、同じ人間です」
 今まで黙っていたミサトが口を開く。
「で、その敵は見つかったのかね?加持君」
 冬月が言うと、加持は首を横に振った。
「全ての変電システムに保安部員を派遣しましたが、異常はありませんでした。市外で破壊工作が行われた可能性が濃厚です。現在、外部の送電施設へ人員を派遣中ですが、おそらく敵は逃げた後でしょう」
 冬月はチラリと腕時計を見た。既に16時で、停電より約3時間が経過していた。
「…すると地上も停電しているかも知れんな…後、復旧にどれだけかかる?」
「第一、第二地熱発電プラントの運転再開を急いでいますが、あと3時間は必要です」
 ゲンドウが答えた。
「わかった。できるだけ急いでくれ」


NEON GENESIS EVANGELION
OTHERSIDE STORY "REPLACE"

EPISODE:11 The Longest Day of Tokyo-3


戦略自衛隊 東部方面総隊司令部 総合警戒管制室
「腐れ政治屋どもが!!現場を無視して勝手な事をしおって!!」
 第二新東京市の統幕会議へ掛けた電話の受話器を叩きつけながら陸戦幕僚が苛立った声をあげた。
「どうしたんだ?」
 同僚の剣幕に航空幕僚が尋ねる。
「NERVが応答しないわけだよ。特殊戦師団の連中が政府の命令で工作を仕掛けて送電ラインを破壊しやがったんだ」
「なんだと?何でそんな事を!」
 海戦幕僚が怒鳴った。
「この間のJA騒ぎだよ!あれで一部の政治屋が面子を潰された事に怒っているらしくてな!」
 面子ごときでわざわざ特殊部隊まで出して嫌がらせをする政治家のやり口に憤懣やるかたない表情で答える陸戦幕僚。
「じゃあ、NERVの連中は使徒の事を…」
「ああ、知らんだろうな。お陰で今第二は大混乱だ。大方逃げ出す算段でもしてるんだろう」
「人類滅亡という段になってどこへ逃げるって言うんだ。最低限の想像力も無いのかあいつらは」
 幕僚たちは揃って溜息を付いた。反りの合わないNERVだが、こうなってみると無能な上層部よりはよほど好ましく思えてくる。
「使徒は依然健在!!侵攻中!!」
 そこへ、オペレーターの報告がかぶさってくる。救いとしては、今回の使徒は移動方法が徒歩のせいか、侵攻速度が遅く第三新東京市まではまだ随分と時間がかかる事だろう。
「とにかくNERVの連中と連絡を取るんだ。上の不始末は俺達で埋めてやらなきゃいかん」
 陸戦幕僚が言うと、航空幕僚が尋ねた。
「それには賛成だが…しかし、どうやって?」
「決まってるじゃないか。直接行くんだよ」

第三新東京市
 大停電のため、静止したようになっている第三新東京市。信号が麻痺したため、車は危なくて走れず家へ戻ってしまい、鉄道も全面ストップ。そんな中、夜勤予定でなんとか駅までは出てきた日向は途方に暮れていた。電話が有線無線と問わず通じない事を確認し、彼も緊急時マニュアルを参照したが、例のハッチの前で先へ進めなくなったのだ。通風口の蓋が取れているのを見た時はこれだ、と思ったが、通風孔は身長185センチ強の日向が通れる大きさではなかった。
「参ったな…ここからどうすれば良いんだ」
 ぼやく日向。思わず見上げた天に、一機のセスナが飛んでいるのが見えた。百メートルを超す高層ビルもある市内で、五十メートルほどの低空を飛んでいる。
「危ないな…えらく低空飛行で…んっ!?戦自?」
 日向が翼にステンシルされたJSSDFのロゴを見て取った時、そのセスナから大音量のアナウンスが響き始めた。
『こちらは戦略自衛隊です。本日午後4時21分、相模特別州を中心とする関東・東海一帯に特別非常事態宣言が発令されました。繰り返します…』
「な…」
 日向は唖然とした。使徒出現時にしかでない警報が発令されたということは…
「こりゃ大変だぞ…早く本部へ行かなきゃ。でも、どうやって…」
 その時、一台の車が走ってきた。選挙カーだ。看板には「明日を共に作ろう 高橋 ノゾム」の名前がある。
「おおっ!ラッキー!」

NERV本部 発令所
 停電から4時間。空調が動いていないため、室内の温度は上がりつづけ、殆どの職員が上着を脱いで作業を続けている。元々この辺りは火山帯で地熱が高く、地下施設は空調が無いとすぐに気温が上がってしまう。
「暑いわね…これが科学の最先端をいく施設かしら」
 ジャケットを脱ぎ、ファイルバインダーでパタパタと仰ぎながら愚痴るミサト。マヤもぐったりとした様子で口を聞くのも億劫らしい。
「それにしても司令と副司令はたいしたモンっすね。この暑さの中で上着も脱がずに…」
 青葉が感心したように言う。なお、加持は工作犯の捜索、リツコは地熱発電プラントの修理の指揮に出ていて、今はここにいない。
「そうね…」
 ミサトは相づちを打ちながらも、普段同居しているゲンドウが暑い時に何をしているかを思って、下からは様子を窺い知れない司令席の構造をうらやましく思った。
 その司令席では、冬月とゲンドウが小声で会話をしている。
「六分儀」
「なんです?」
「意外に効果があるな」
「でしょう」
 二人は防火用水のバケツに足を突っ込んで涼んでいた。ゲンドウが家のベランダで良くやっている涼の取り方であった。

中央トンネル
 一方、チルドレン達は通風孔から抜け出し、ジオフロントに通じる自動車専用トンネルを歩いていた。
「つ、疲れた…少し休もうよ」
 レイが弱音を吐き、道端にペタリと座り込む。
「そ、そうだね…こんなに長いとは思わなかったよ」
 カヲルも汗をぬぐってレイの隣に座った。シンジは余り疲れてなさそうな表情だったが、やはり他の二人に合わせて座り込んだ。
「さっき、後何キロだったっけ?」
「確か…12キロ」
「人間の歩く速度は?」
「だいたい時速4キロ」
「後3時間…」
 レイとカヲルは顔を見合わせ、げっそりとした表情になった。このトンネル、最上部が地下−2.3キロのジオフロントに行くため、恐ろしく長い。螺旋を描いて下へ降りるその総延長は実に22キロもあるのだ。単調な光景と、今は非常灯の灯りしかないための暗さもあって、彼らの疲労は肉体的のみならず精神的にも相当なものだった。
「…トンネルの出口から本部まで3キロくらいあるよ」
「「その事は言わないで」」
 シンジの一言に同時に懇願するように言うレイとカヲル。
「今日中に本部に着けるかしら」
「どうだろう」
 再び顔を見合わせ、がっくりとなるレイとカヲル。だが、救い主は意外な所から現れた。
「…車の音がする」
 シンジが言った。
「「車っ!?」」
 その言葉に、瀕死だったレイとカヲルの意識が覚醒した。耳を澄ますと、確かに車のモーター音がする。やがて、その車が姿を現した。
「おーい!」
「止まってえ〜っ!!」
 レイとカヲルが手を振ると、かなりの猛スピードで走ってきた車は急ブレーキのスキール音と共に停車した。
「ん?選挙カー?何でこんなところに」
 カヲルが言いかけた時、助手席の窓が空いてチルドレン達の良く知っている顔が姿を現した。
「君たち、こんなとこで何やってんだ!?」
「日向さん!?」
 驚く双方だったが、まず日向が行動した。
「まあ、いいや。話は後だ!すぐ乗って!使徒が迫って来てる!」
「使徒がっ!?」
 その言葉に、三人は慌てて選挙カーに乗り込んだ。中には日向のほかに運転手、うぐいす嬢、それに恰幅の良い中年男性が乗っていた。彼が本来の車の主、高橋ノゾム氏らしい。
「よし、急いで!」
 日向が叫ぶと、運転手は「リョーカイ!」と叫んで急発進した。
「うわ!?」
「きゃあっ!?」
 ショックで後席の人間がひっくり返る。
「む、ムチャはやめたまえ!車が壊れたらどうするんだ!」
 高橋候補が叫んだ。
「壊れたら、NERVで弁償します!あと10キロ速度上げて!」
 奇しくも先日浅間山で彼の上司が言ったのと酷似した台詞を吐き、高橋氏を沈黙させると、日向は言う通りにさらに速度を上げた運転手に言った。
「あんた、ノリが良いね」
「ふ…任せときな。かつて箱根ターンパイクにその人ありと恐れられた走り屋、ドリフトキングの藤原ブンタとは俺の事よ」
「…」
 彼とであったのが、NERV、ひいては人類にとっての幸運だったのかもしれない。選挙カーはそれからわずか十分足らずでNERV本部へ到着した。
 なお、その後高橋氏はこの日見た事を口外しない事を条件にNERVの組織票を貰い、市議選でトップ当選を果たした。すっかり親NERV派となった彼は反NERV派の市議を良く抑え、冬月にとって政治面での心強いパートナーとなるのだが、それは全くの余談である。

発令所
「何!?使徒だと!?」
 日向と、ふらふらになって到着したチルドレン達の報告に発令所は一気に騒然となった。
「で、奴の襲来予想時刻は?」
 ミサトが尋ねる。
「わかりません。しかし、警報自体は住民避難の余裕を持って発令しますから…おそらく1時間半以内には来襲するでしょう」
 日向が推論を述べ、ミサトもその見解に同意の頷きを返した。
「副司令。発電プラント修復までの予想時間は?」
「あと1時間半は掛かるな。ぎりぎりと言うべきだろう」
 ゲンドウが答えると、冬月が首を横に振った。
「いや。実際には発信準備に30分はかかるだろう。余裕はあまり無いぞ」
 そう言われて、ゲンドウはしばらく考え込むと、何かを決断し口を開いた。
「よし、では手動で発信準備だけ今から整えておきましょう。電力供給再開と同時に出られるように」
「手動!?人力でか!」
 驚く冬月に、ゲンドウは頷いた。
「必要な電力はエヴァの予備バッテリーパックや非常用のディーゼル発電機で何とかします。とにかく出られるようにしておかねば…」
 ゲンドウの言葉に、冬月は頷いた。
「よし、わかった!これから手動によるエヴァの起動を行う。パイロットはプラグスーツ着用の上ケイジへ集合。技術部を除く各部署のオペレーターは口頭による伝達で人手を集めろ!時間との勝負だ。急げ!」
「了解!」
 冬月の命令を受け、青葉や日向はメガホン片手に「手空き要員はケイジへ集合!」と叫びながら通路を駆け回る。それに応じて作戦部、広報部、経理部などの人員が集まってきた。彼らは長い階段を駆け降り、続々とケイジに向かった。

ケイジ
 チルドレンたちがプラグスーツへの着替えを終えてケイジに集まって来た時、そこは祭りのような熱気に包まれていた。ディーゼル発電機の唸りや職員達の慌ただしく打ち合わせをする声が広いケイジにあふれている。
「次はバッテリーパックの吊り上げだ!行くぞっ!」
「せーのっ!よいしょっ!よいしょっ!」
 1つが5トン近くあるバッテリーパックを、百人ほどの職員達がワイヤーロープを使って引き上げていく。その中にはゲンドウや冬月の姿もあった。
「青葉二尉、発進準備は!?」
 カヲルが尋ねる。
「ほとんど終わってる!後は君たちをエントリープラグに乗せて、挿入するだけだ!」
「わかりました!」
 三人がエヴァに乗り込むと、バッテリーパックへの充電を終えたディーゼル発電機が今度はポンプをまわしてLCLを注水する。それが終わると、またしても人力でプラグが持ち上げられ、エントリーコネクターへと挿入された。後は地熱発電プラントの起動を待つだけだ。
「リツコ君、修理状況はどうなっている?」
 冬月は電話を手に取った。一時的に電力をまわし、使用可能にしたらしい。
『ほぼ完了です。ただ、チェック項目を3000ほど飛ばしましたので、最大出力運転は15分間が限度です。その間ならエヴァ三機を動かしても問題はありません』
「わかった。発電開始のタイミングはこちらで…」
 冬月とリツコの通話中、今度は別の電話が鳴った。ゲンドウが受話器を取る。
「私だ…何?ふむふむ…わかった。上には礼を言っておいてくれ」
 ゲンドウは受話器を置いた。
「司令、観測班からです。使徒が外輪山を越えました。後5分でこちらへ到達」
 天井都市へ派遣した作戦部の部員達が、肉眼、上空を飛ぶ戦自セスナによる使徒の観測を口頭やトランシーバーを経由して伝えてきたのだ。
「わかった。リツコ君、発電を開始してくれたまえ」
『わかりました。みんな、あと一息よ。発電開始!』

発令所
 男子職員がケイジに出払い、ミサト、マヤを始め女子職員ばかりが残る発令所で、マヤの歓声が響いた。
「地熱発電プラント一号機、二号機の起動を確認!送電再開されました!全機能を再起動します!」
「さすがリツコ!」
 明かりが点り、暑く澱んだ空気がエアコンの冷気に少しづつ吹き払われていく。
「こちら発令所!ケイジ、準備は良いですか!?」
『こちらケイジ。発進準備は完了済み!』
『エヴァンゲリオン各機、いつでもOKです』
 日向とカヲルの声が答えた。ミサトは頷くと、自ら作戦オペレーター席に座り、号令を掛ける。
「エヴァンゲリオン、リフトオフ!」
 普段は日向が操作する発射レバーをミサトが引き、エヴァを乗せたリニアカタパルトは火花を散らして上昇を開始した。

地上
 市内の三箇所からエヴァが地上に出た時、使徒は市街中心部に達し、ちょうど包囲するような体勢が出来上がっていた。
「まずは様子見だね。パレット・ライフルで攻撃だ」
  カヲルが判断し、レイとシンジも同意の返事を返す。
「よし…突撃!」
 ライフルを持った弐号機が走り出した時、使徒の幾つかの目の模様のうち、二号機に向いた側が何かを撃ち出した。
「!」
 とっさに回避したカヲルの目前を通り過ぎたそれは、小さなビルに命中すると白煙を上げてそのビルをたちまち溶解させた。
「気を付けて!あいつ、強力な溶解液を撃ってくる!」
 レイの警告の声。
「僕も確認した」
 シンジが冷静な声で報告し、一つ付け加える。
「撃ってくるのは下側だけみたいだ。足を止めて上側から攻撃すれば倒せると思う」
『上側ね。判ったわ』
 報告を聞き、ミサトがすぐに作戦案を立てると三人に伝達した。
『連携を崩しちゃ駄目よ。一気に攻め立てなさい』
「「「了解!」」」
 まず、レイが動いた。使徒の溶解液を咄嗟に投げたパレット・ライフルで防ぎ、走りながら武器庫ビルから取り出したソニック・グレイブを、間髪入れずに使徒の足へ叩き付ける。細い足は一撃で切り飛ばされ、使徒がバランスを崩す。
 次いで、その隙を見逃さず突進したシンジが、溶解液のしずくを浴びながらもプログ・ナイフで二本目の足を切断した。二本の足ではバランスを保てず、使徒が一気に横転する。その上側が向いた方向には、満を持してカヲルが待機していた。
「もらった!」
 パレット・ライフルが唸り、マッハ4の高速タングステン弾芯徹甲弾が、使徒の体を次々に撃ち抜き、粉砕して原形をとどめない蜂の巣状態へと変えた。

その夜
 使徒を殲滅した3人は、小高い丘から第三新東京市を見下ろしていた。地熱発電プラントでは街に供給するほどの電力は出ないため、まだ電気が復旧していなかった。
「ヤシマ作戦の時もこうだったな…街の明かりがないと、星ってこんなに綺麗なのよね」
 レイが言うと、カヲルが頷いた。
「確かにそうだね。でも、街の灯りだって捨てたものじゃないさ。ほら」
 カヲルの言葉に応えるように、街に明かりが次々と灯っていった。
「ボクはこっちの方が好意に値するね。 人間が地上に生み出した、もう一つの銀河だよ」
 街の明かりを見ながらカヲルが言う。その向こうで、シンジが呟くように言った。
「人は闇を怖れ、火を使い、闇を削って生きてきた…父さんが良く言っていたよ」
「へえ…副司令は顔に似合わず意外と詩人だね」
 シンジの言葉にカヲルが答える。
「渚君…それってひどいよ」
 レイが苦笑しながら言い、ふっと真顔になった。
「だから人間って特別な生き物なのかな? だから使徒は攻めてくるのかな?」
「さてね。そんな事は連中に聞かなきゃ分からないさ…もっとも」
 カヲルも笑みを消し、真顔になって言った。
「生き延びるためには戦わなくちゃいけない。それは、人間に限らない、生物の本能だよ」
「…」
それっきり3人はだまりこみ、地上と天上の光をいつまでも交互に眺めていた。

(つづく)

次回予告
 数々の功績が評価され、三佐に昇進する葛城ミサト。だが、彼女は子供たちに己の業を背負わせた結果ではないのかと思い悩む。
 しかし、子供たちはミサトの感傷とは関係なく戦う理由を見出し、決意を新たにする。
 宇宙より飛来する最大の使徒の脅威の中、彼らは希望を捨てることなく困難な戦いへと挑む。
 次回、第拾弐話「奇跡の価値は」

あとがき
 いやあ、今回はちょっと長めですかね。このエピソードは原作ではシリアスとギャグが程よいバランスで、なかなか好きなほうの話です。
 それゆえに力を入れて書いたんですが…どうもかなりシリアス寄り。殆どのキャラが真面目な性格に設定されているのが敗因(?)ですね。カヲルをギャグ寄りに設定して良かったと、本当に思います(笑)。
 ではまた次回、第拾弐話でお会いしましょう。
…ドリフトキング、藤原ブンタ氏の事は余り気にしないで下さい。
2000年8月某日 さたびー拝


さたびーさんへの感想はこちら


Anneのコメント。

>「どうした?顔が赤いぜ。熱でもあるんじゃないか?」
>突然、加持がリツコの額に自分のそれをくっつけた。
>「!!」
>目の前には加持の顔。今にもキスでも迫ってきそうな体勢に、リツコの顔がますます紅潮する。

やるなっ!!加持っ!!!(ニヤリ)
さすがはネルフ女子職員内好感度上位保持者(笑)

>「加持君…絶対に上を見ないでよ」
>「分かってるって。そう何度も念を押すなよ」
>リツコの声に苦笑する加持。いま、彼は肩にリツコを乗せている。
>加持の肩を踏み台にしたリツコはなんとか天井の点検口をこじ開けようとしていた。

パンツを見られるのを照れるリツコ・・・。萌えるっ!!(笑)
でも、トイレを我慢するシーンはなかったんですね。ちゃぇ〜〜・・・。残念(爆)

>「この間のJA騒ぎだよ!あれで一部の政治屋が面子を潰された事に怒っているらしくてな!」
>「じゃあ、NERVの連中は使徒の事を…」
>「ああ、知らんだろうな。お陰で今第二は大混乱だ。大方逃げ出す算段でもしてるんだろう」
>「人類滅亡という段になってどこへ逃げるって言うんだ。最低限の想像力も無いのかあいつらは」

これは密かに意外でした。
ほら、劇場版が劇場版だけに何となく戦自って悪役のイメージがあるじゅないですか?
でも、このお話では戦自の中にもソウルフルでまともな人材がいる様ですね。

>「六分儀」
>「なんです?」
>「意外に効果があるな」
>「でしょう」
>二人は防火用水のバケツに足を突っ込んで涼んでいた。ゲンドウが家のベランダで良くやっている涼の取り方であった。

立場こそ入れ違えていますも、原作と全く同じシーンなんですが・・・。
ゲンドウの合いの手に何処か可愛らしさを感じません?(笑)



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