1ヶ月前 NREV本部 第二実験場

 巨大な空間がそこには広がっていた。打ちっぱなしのコンクリートに包まれた、幅、奥行き、高さとも100メートル単位で計れるそこには、グロスシーブルーで塗装された巨大な人型の存在――エヴァンゲリオン零号機が、壁から突き出した拘束具に固定されていた。
「実験を始める」
 赤いサングラスをかけたゲンドウが、グラスを指で軽く押し上げて命令する。
「起動開始」
 この日、この実験場では零号機と専属パイロットであるゲンドウの息子、六分儀シンジとのシンクロテストが行われていた。過去の7ヶ月、シンジは初回の1.2パーセントから少しづつシンクロ率を伸ばし、前回の試験では38.9パーセントを記録していた。
 今度こそ、実用限界値である40パーセントを越えるかもしれない――技術班の期待は大きかった。そして、実験は順調に進んでいた。
「電源接続完了。起動システム作動開始」
「稼動電圧、臨界点まであと0.5、0.2…臨界今!」
「起動プロセス第二ステージへ入ります」
「パイロット、シンクロスタート」
「シナプス挿入、シンクロ開始」
「パルス送信、全回路正常」
「初期コンタクトに異常なし…」
 そして、実験は次の段階へと進んだ。
「第3ステージに入ります。シンクロ率…」
 その瞬間、画面の異常無しを示す青い表示が一斉に赤に変わった。
「何事だ!」
 ゲンドウが叫んだ。
「パ、パルス逆流!中枢神経素子に拒絶が始まっています!」
 画面上の、パイロットとエヴァの神経接続を示す模式図が真っ赤に染まり、接続が次々に解除されて行く様が描き出された。
「伊吹二尉、コンタクト停止。6番までの回路を開け」
 ゲンドウの指示が飛び、マヤは慌ててコンソールにコマンドを打ちこむが、蒼白な顔でゲンドウに向き直る。
「信号が届きません!拒絶されています」
 そうしている間に、厚さ1メートルの超強化ガラスでできた窓の向こうで、エヴァが苦悶する病人のように頭を抱え、苦痛を訴えるかのように咆哮するのが見えた。その激しい動きに背後の壁にひびが入り始め、ついに拘束具がもぎ取られる。
「いかん!実験中止、電源を落とせ!」
 そのゲンドウの命令により、マヤが慌ててコンソールの赤いボタンを押しこむと、アンビリカル・ケーブルのコンセントが爆発ボルトによって強制的に排除され、全ての戒めを失った零号機は、何かを探すように実験場内を彷徨しはじめた。
 やがて、零号機は制御室の方に向き直ると、そこに何かを見つけたかのように制御室の方向へ向かって来た。
「内部電源が切れるまで後どのくらいだ」
 ゲンドウが尋ねた。
「戦闘パッケージではありませんから、後約35秒です!」
 そうオペレーターの一人が答えたとき、制御室を巨大地震のような猛烈な衝撃が襲った。零号機が拳を固めて制御室の窓を殴りつけたのだ。至近距離からの戦車砲の一撃にも平然と耐える窓に、無数のひびが入る。
「シンジ!」
 ゲンドウは中にいる息子の身を案じて叫んだ。そのエヴァの行為は、攻撃しようという明確な意図を持ったものではなく、麻薬患者が禁断症状の苦しさに耐えかねて、自分を傷つけようとする様に見えた。叫んだゲンドウがそのまま窓に駆け寄ろうとした所で、男性オペレーターに羽交い締めにされる。
「離せっ!命令だぞ!」
「いけません副司令!危険です!」
 その時、零号機が振りかぶった拳を再び窓に叩きつけた。ガラスが割れ砕け、無数の破片が飛び散る。ショックでゲンドウとオペレーターは床に叩きつけられた。
「ぐわあっ!」「きゃあっ!」
 室内の人間がある者は破片に打たれ、あるいは衝撃と振動につき転がされる中、ゲンドウは奇跡的に無傷でその身を床から起こした。
「ぐ…」
 ゲンドウが零号機を見据えた瞬間、その背中で白煙が弾けた。
「いかん、強制イジェクションか!」
 ゲンドウが叫んだ。危険を関知したエントリープラグの内臓コンピュータが、外部のロケット・モーターに点火してプラグを強制的に体外へ排出したのである。
 それは屋外であればパイロットの体を安全に脱出させたであろう。しかし、そこは広いとは言え、地下の実験場だった。一瞬上昇したプラグは激しく天井へ叩きつけられた。しかしロケットモーターの噴射は続き、プラグはその勢いで天井を蛇が伝うように迷走する。やがて壁に激突したところでようやくロケットの燃料が切れ、力を失ったプラグは床面に落下した。
「いかん!シンジ!シンジっ!」
 ゲンドウは駈け出し、破れた窓から数メートル下のキャットウォークに飛び降りた。その勢いで階段を駆け下りて行く。その時、壁に開いた穴から硬化ベークライトが噴き出し、動きを止めた零号機に浴びせ掛けられた。そのまだ固まりきらない硬化ベークライトが、床に転がるエントリープラグにも向かって行く。
「シンジっ!今助けるぞ!」
 プラグに走り寄ったゲンドウは、ハッチの開閉ハンドルに手をかけた。次の瞬間、ジュッと言う嫌な音がして凄まじい激痛がゲンドウを襲った。ロケット・モーターの噴射炎でハンドルが灼けていたのだ。
「ぐわあああっ!!?」
 絶叫し、思わずのけぞるゲンドウ。そのショックに常に付けているサングラスが床に落ちる。しかし、ゲンドウは決して手を離さず力任せにハンドルを回した。ハッチが開き、床にLCLがこぼれた。ゲンドウはハッチを押し開け、中に入る。
「シンジっ!大丈夫かっ!」
 プラグの中で、シンジはその声に反応して顔を上げる。右目の上に大きな裂傷があり、血が流れ出しているほか、左腕がおかしな方向に折れ曲がっていた。しかし、シンジは傷ついたその顔に、父を心配させまいとするかのように笑みを浮かべた。
「大丈夫だよ…父さん…」
「馬鹿者、そんな強がりを言う事は無い。すぐに救護班が来る…」
 そう言うと、ゲンドウはシンジの体を抱き上げ、プラグの外へ運び出した。その背後でプラグが半分固まりかけたベークライトに呑まれていった。
「副司令!シンジ君!大丈夫…ですか…!?」
 駆けつけた救護班員が、普段サングラスに隠されて見ることの出来ないゲンドウの素顔、そこにあるものを見て思わず息を呑む。
「私のことは良い。それよりシンジを頼む」
「は、はいっ!」
 救護班員はあわててシンジを担架に載せ、状態をチェックし始めた。
「君」
「は、はいっ…!」
 ゲンドウに呼ばれ、救護班員は緊張の面持ちでゲンドウを見た。
「私の『これ』の事は内密に頼む」
「は…」
 そう言うとゲンドウは目を閉じ、ポケットからケースを取りだし予備のサングラスをかけた。そして、床に落ちたサングラスを拾い上げる。それは、レンズにひびが入っていた。
「まだ…私を許せない…そう言うことなのか?」
 ゲンドウは零号機を見上げ、問い掛けるように呟く。それは一体誰にたいしての問いなのか、答えが返ってくることは、もちろん無かった。


新世紀エヴァンゲリオン REPLACE
第伍話「シンジ、心のむこうに」


現在 NERV本部 第二実験場(閉鎖中)

 実験中の事故により凍結指定を受けていたエヴァ零号機は、先日ようやくその指定を解かれ、その体を拘束する硬化ベークライトの除去作業が始まっていた。
 完全に固まればダイヤモンドに匹敵する硬度を持つベークライトを、特殊な溶媒とプログレッシヴ・ナイフと同原理の超振動ドリルで地道に砕く作業はすでに峠を越し、零号機の体にこびりついたものを除去する作業だけが残っていた。
「六分儀シンジ…マルドゥック機関の報告書における最初の被験者――ファースト・チルドレン。副司令の息子、か…」
 パイロットに関するファイルを見て、その作業を監督しているミサトは独り言のように言った。
「欺瞞だらけね」
「委員会」には零号機暴走の原因はパイロットの心理的不安が要因であると報告されている。提出されたデータも、それを裏付けるものだ。だが、それらは全て改竄あるいは操作され、「真の原因」から目をそらすようにされていた。
 だが、ミサトの口調はそうした委員会への報告に対して向けられたもののようではなかった。

同時刻 第壱中裏山 第4使徒調査本部

 先日、レイが第4使徒に止めを刺した裏山のふもとには、巨大なプレハブの建造物が数棟建設されていた。その中でもとりわけ大きな一棟にレイは加持に連れられてやってきていた。冬月に呼び出されたのだ。
 そこには、調査中の第4使徒――その残骸があった。すでにその体は半ば以上解体され、一部はNERVに運ばれている。それでもその巨体は依然として百メートルを越す長さを持っていた。
「これが…わたしたちの敵」
 レイは呟いた。戦っている間はエヴァの視点で見ているし、落ちついて相手を観察する余裕も無かっただけに、改めて今見るとき、その巨大さには圧倒される思いだった。
「そうだ」
 上から降ってきた声に、レイは頭上のキャットウォークを見上げる。
「冬月のおじ様!」
「うむ、久し振りだな。この間の一件は加持君から聞いたよ。大変だったな」
 先日の戦自のイリーガル(非合法活動員)による拉致事件の際、冬月は出張で第三新東京市を留守にしていたのだ。
「はい、でも、もう大丈夫です」
「うむ。もう二度とあのような事は起こさせんよ」
 冬月は頷いた。既に事件を教訓とした保安対策の改訂は進められているし、戦自に対する報復工作も二重三重のルートからはじめられている。
「で、副司令、今日レイちゃんを呼んだのはどう言うわけです?」
 加持の問いかけに、冬月は大事な事を思い出して苦笑した。
「おお、忘れるところだった。今日レイを呼んだのは、敵がどういうものか知ってもらう為なのだ」
 そう言うと、冬月は下に降り、建物の一角にあるコンピュータルームへ二人を案内した。
「今回はレイはよくやってくれたよ。砕かれたコア以外はほぼ原型をとどめておったからな。実に貴重なサンプルだよ」
 冬月は言ってレイの肩を叩いた。レイが「えへっ」と言う感じに破顔する。
「で、どんなことが分かりましたか?」
 と加持が尋ねた。
「うむ、それがな…」
 冬月がコンピュータのリターンキーを叩くと、画面に「CODE:601」の文字が表示された。
「コード601?解析不能という事ですか」
 加持が言った。
「うむ。どうやら使徒は粒子と波、両方の性質を備える光のような物質で構成されているようだな」
 その冬月と加持の会話に、レイが疑問に思った事を尋ねて見る。
「ということは、使徒って生き物じゃないんですか?」
 その質問に、冬月は微笑んだ。
「なかなか良い所をついた質問だな。その疑問は半分は当たり、もう半分ははずれと言う所だ」
 そう言うと、冬月は現在までに解析された使徒の体の構造を表示させた。
「これがコア、使徒の動力源だ。作動原理は全く不明だが、これから動力を供給されて動く所は機械のような特徴を備えている。しかし…」
 そう言うと冬月は別の画面を表示させた。複雑な数式が書き込まれたグラフだ。それが二つ並んでいる。
「これを見てどう思う?」
 レイはその二つを見比べた。
「何かはわからないですけど、よく似てますね」
「似ているなんてもんじゃない。左右のグラフの間には1.11パーセントの違いしかないのだ。99.89パーセントは一致する。そして、信じられない事だが…」
 冬月は言葉をいったん切った。
「左は人間の遺伝子配列、右は使徒の固有波形パターンなのだよ」
その意味が理解されるまでに数秒の時間がかかった。加持が口を開く。
「司令…するとなんですか?使徒はチンパンジーよりも人間に近い存在だと?」
「それは…はっきりとはわからんな」
 その時、部屋の扉が開いた。
「司令…コア残骸の切り離しが完了しました」
 解体現場の指揮を取っていたゲンドウだった。
「わかった、今行く」
 冬月はレイに「また後でな」と言うと、ゲンドウと一緒に部屋を出ていった。

コア調査現場

「オーライ、オーライ!」
 天井を走るクレーン付きのレールからコアの残骸が吊るされ、誘導員の指示にしたがってゆっくりと移動して行く。やがて、コアは冬月とゲンドウが待つ台座の上に降ろされた。二人はコアに早速取りつき、どんな些細な事も見逃さないという雰囲気で調査を進めていく。
「ふむ…調査できそうな素材はこれだけかね?」
「はい、他は劣化が激しい為、私の権限で破棄しました」
「そうか…コアは破壊対象になる以上仕方あるまいが…これだけでも上々の成果だな」
「ええ、綾波君は良くやってくれています」
 ゲンドウが発した「綾波君」という呼び方に、冬月はゲンドウの方を見た。その顔には何の表情も浮かんでいない。
(辛くは無いのかね…六分儀…)

休憩室

 レイと加持は少し高いところにある休憩室に入り、作業の様子を眺めていた。眼下では、冬月とゲンドウがこちらに背を向けて熱心に調査を続けている。
 ふと、レイはその二人の後ろ姿を見ていて、違和感を感じた。ゲンドウが常にしていた手袋が今日は無いのだ。常夏の日本でなぜ手袋をしているのかと疑問だったので覚えていたのだ。
「あれ…副司令さん、今日は手袋どうしたんでしょう?」
 レイが言うと、加持は首を捻った。
「あれ…もう直ったのか?全治3ヶ月と聞いていたのに」
 全治3ヶ月と言う言葉にレイは反応し、加持に何があったのかと事情を聞いた。
「ああ、あれはレイちゃんがここへ来る3週間くらい前だったかな…実験中の事故でシンジ君がプラグに閉じ込められそうになってね。その時に副司令が灼けたハンドルを素手で開けてシンジ君を助け出したんだよ」
「そんな事が…」
「あの時副司令の手の火傷が、跡が一生残るかもしれない、って言うようなひどいものだったんだけど…いや、治ってよかった」
 加持の言う通り、砕けたコアの残骸を触って調べるゲンドウの手は、全く異常が無く普通の状態だった。
(あの冷静そうな副司令さんが…やっぱり親って良いなぁ…)
 レイは親の居ない自分の身の上を思い、ゲンドウとシンジの関係をうらやましく感じた。

翌日 第壱中プールサイド

 学校が一週間ぶりに再開され、レイたち2−Aの女子は水泳の授業の最中だった。
(ううう…みんな良いなぁ…)
 プールサイドに座り、レイはクラスメイト達を見ていた。レイは水泳の時間があまり好きではなかった。泳げないからではない。むしろ、どちらかと言うと水泳は得意な方だ。にもかかわらず好きではないのは、水着を着ると悩みの種――同世代の女の子たちより発育の遅い胸のことが気になってしょうがないからだ。
「どうしたの、レイ。浮かない顔しちゃって」
「調子でも悪いの?」
 そう言ってレイの顔を覗きこんだのは、マナとヒカリだった。ちなみに、マナはかなり胸が大きくスタイルが良い。ヒカリもマナほどではないが発育は良い方だ。
「え?ううん。なんでもないの」
 ちょっと暗い気持ちでレイは横を向いた。胸は発育途上でも、そのスレンダーな肢体は男子生徒にはかなり評価されている――と言うのはこの際慰めにはなりそうも無い。
 その男子生徒達は、横を向いたレイの視線の先で、炎天下に走り高跳びをすると言う試練を強いられていた。
(あれ?)
 レイの目に留まったのは、今日から復学してきた六分儀シンジだった。1メートル40センチに設定されたバーを楽々と飛び越えている。
「へえ…すごい」
 目を丸くするレイ。
「あら、レイ、何を見てるの?」
 そう言いながらマナはレイの視線を追って行き、そこにいた人物に目を止めて、チェシャ猫のようなニヤリ笑いを浮かべた。
「あら、レイったら六分儀君がお好み?以外とお目が高いのね〜」
「な、何を言うのよ…」
 そのマナの言葉にレイは顔を赤くする。
「あはは、赤くなった〜レイったら相変わらず可愛いわね〜」
「や、やめてよ、マナ…」
「六分儀君のうなじ…六分儀君の二の腕…六分儀君のひ、ざ、こ、ぞ、う〜…」
「ま、マナぁ〜目が怖いよ…」
 ますます赤くなるレイ。こういうところがマナにからかわれる最大の原因なのだが、もちろんレイは気づいていない。
「うふふ、ジョークよ、ジョーク」
 その言葉に思わず力が抜けがっくりとうなだれるレイ。
「でも実際の話、六分儀君は成績抜群、運動神経抜群、顔も可愛いし、それでいて『女には興味がねえ』って感じのクールな態度。彼に萌え萌えな女子って多いのよ」
「そうなんだ…」
 マナの言葉にレイは頷いた。運動神経に関しては見ればわかる。頭のほうも…博士号も持っているという副司令の息子だと考えれば納得できる。顔に関しては…まあ、確かに可愛いかもしれない。
 でも、クールな態度って言うのはどうかなぁ、とレイは思った。クールなのと冷めていると言うのはちょっと違うような気がする。今も、彼は出番が終った後は他の男子から少し離れた所に座り、誰にも声をかけず、またかけられる事も無かった。
「六分儀君…友達、居ないのかな」
 その光景を目にして、レイは疑問を口にした。その疑問に、マナとヒカリは顔を見合わせる。
「そう言えば…」
「彼が1年のときに転校してきてから、ずっと一人だわね」
 シンジは自分が孤独である事などなんとも思っていないのかもしれない。それでも、その姿はどこと無くさびしげなものにレイは思えた。 

放課後 NERV本部 第一実験場

 学校が終った後、レイはエヴァの起動訓練の為NERV本部へ来ていた。プラグスーツに着替え、初号機の中で訓練開始を待っている。目の前には、凍結を解かれここへ移動してきたばかりの零号機があった。零号機の再起動実験は明日に迫っている。
(あれ?)
 零号機へ続くアンビリカル・ブリッジの上に見覚えのある人影を見つけて、レイはモニターを拡大した。シンジとゲンドウだ。
(…六分儀君…あんな表情ができるんだ)
 何を話しているのかは分からないが、父と話すシンジの顔は、14歳の少年らしい生気に満ち、時折快活そうな笑いを見せていた。ゲンドウも、普段の怜悧そうな印象を与える無表情ではなく、穏やかな笑顔を浮かべている。
 それはまさに、絵に書いたような親子の会話の光景だった。
(親子…か。うらやましいな)
 レイにも親か、それに類する人と接した記憶が無いわけではない。しかし、父親の事は全く知らないし、母親の顔もほとんど霞んでしまっている。松本の養父母の事はさすがに覚えているが、10年も「綾波レイ」ではない別の人間として生きてきた記憶は、あまり思い出したくないものだった。
(お父さん、か…)
 レイはもう一度心の中で呟き、モニターの拡大度を元に戻した。シンジとゲンドウの姿はたちまちモニター上で元の大きさに戻った。それでも足りないのか、レイはさらに倍率を変え、二人が点のようにしか見えない解像度に変えた。
 シンジとゲンドウの姿は、彼女にはなんだか眩しいものの様に思え、それを見ることが辛くなったのだった。

NEON GENESIS EVANGELION
OTHERSIDE STORY "REPLACE"

EPISODE:05 A doll

夜 冬月邸

 その晩は珍しく冬月も早く帰宅していた。普段の彼は、司令として無数の雑務に追われる為、司令室に隣接して設けられた仮眠室に寝泊りする事が多い。今日も5日ぶりぐらいの帰宅であった。
「ほお、今日はカレーか」
 加持が持ってきた鍋から漏れる香りに、冬月が目を細める。
「ええ、良いスパイスが手に入りましてね」
 加持は笑いながら言った。この時代、カレーは非常に高級な料理として認知されていた。セカンドインパクトに伴う気候変動で、ルーに使われる香辛料の産地が壊滅してしまったからである。特に南半球の産地は文字通りの全滅状態だった。
 もちろん生産量が全くのゼロになってしまったわけではないが、カレー一杯を食べるにはフルコースを頼むのに匹敵する覚悟と予算が必要になっていた。
 レイも滅多に食べられないカレーに胸をときめかせていた。代替生産地が見つかり、再びカレーが一般の食卓に並ぶようになるには、後半世紀はかかるとさえ言われている。
「では、どうぞ」
「うむ、いただこう」
「いただきます!」
 冬月は両手を合わせてからスプーンを手に取り、レイは言うが早いがスプーンをカレーに突き立てていた。
「美味しい!」
「うむ、加持君の腕は大した物だ。NERVが無くなってもシェフで食って行けるぞ」
 同居人たちの賞賛の声に、加持は照れたように頭を掻く。
「いやあ…昔必要に迫られて身につけた技術なんですけどね」
「…必要?」
 レイが不思議そうな声で言うと、加持はなんでもないと言うように首を振った。冬月は事情を知っているのか、苦笑いを浮かべて言った。
「そうだろうな。彼女の料理は酷かったからね」
「し、司令…」
 あたふたする加持と笑いを浮かべる冬月の間で、レイだけが何がなんだかわからないという表情を浮かべていた。
 やがて食事も終り、レイがお茶を飲んで一息ついていると、冬月が隣に座った。
「済まないが、レイ。明日これをシンジ君に渡してくれんかね」
「え?」
 冬月が渡したのは、シンジのIDカードだった。先日の戦自のハッキング騒ぎで、NERVでは全職員のIDを再発行する羽目になっていた。レイ自身のIDも既に書き換えられている。
「今日渡すつもりだったんだが…彼がさっさと帰ってしまったんでね…同居人二人も今日は夜勤でおらんし」
「ええ、良いですけど…」
 レイはIDカードを受け取ると、それに目を通した。カードの写真の中のシンジは、レイの笑顔を浮かべたそれと違い、無表情な愛想の無いものだった。その写真をじっと見つめていると、洗い物を終えて戻ってきた加持が笑いながら言った。
「ほほぉ…随分熱心に見ているね、レイちゃん」
 そう言われたレイは真っ赤な顔になった。
「な、何を言うんですか…ただ、わたし同じパイロットなのに六分儀君の事ぜんぜん知らないなぁ、と思って…」
 すると、冬月はどこと無くさびしげな表情になって言った。
「良い子だよ、シンジ君は。わしにとってはもう一人の孫のようなものだ…ただ、親子揃って不器用だがね」
「不器用って…何にですか?」
 レイが聞き返すと、冬月の顔からは笑いが消え、遠くを見つめるような表情になった。
「生きる事に、だ…」
「…」
 それっきりリビングには静寂が広がり、テレビの音だけが響いていた。

翌日早朝 

「えっと…コンフォート17、コンフォート17っと…あ、あった。これね」
 レイがシンジの所を訪れたのは、登校前の早朝の時間帯だった。わざわざそんな事をしなくても学校で顔を合わせるのだが、昨日マナにからかわれたせいか、学校でシンジにカードを渡すのは恥ずかしいような気がして、冬月に住所を聞いたのである。
 エレベーターで上に上がり、指定された部屋の前に立つ。そこには「六分儀ゲンドウ・シンジ/葛城ミサト」の表札がかかっていた。
(もう一人の同居人って…ミサトさんだったんだ)
 そう思いながら、レイはインターフォンのボタンを押し込んだ。やわらかな電子音が数回リフレインする。が、返事は無い。
「あれ?」
 レイは首を傾げながらもう一度ボタンを押した。が、やはり返事は無い。
「おっかしいなぁ…まだ学校に行くには早すぎるよね」
 そう言いながらレイは試しにドアノブに手をかけた。ガチャリ、と言う音がしてドアが開く。
「あれ?」
 今朝2回目の疑問の言葉を口に出しつつ、レイはドアをそっと開いた。
「…六分儀君?綾波ですけど…おじゃまします」
 レイはそう言うと玄関に入った。部屋の中は奇麗に片付けられていた。その点では冬月邸もそうである。が、決定的に違うのはこの家には生活の匂いが少ない事だった。綺麗過ぎるのだ。
 なんとなく居心地の悪い感覚を覚えつつ、レイは靴を脱いで綺麗に揃えると部屋に上がった。シンジの靴はまだあったので、どうやらまだ家にいることだけは確からしい。
 玄関からすぐのダイニングキッチンには、テーブルが置いてあり、上にはコップに入った水と、幾つかの栄養剤や薬の瓶、それに写真立てがあった。好奇心に駆られたレイは、思わずその写真立てを手にとって見る。
 そこには四人の人物が写っていた。ゲンドウらしい中年の男性。サングラスはかけていない。妻らしい女性。そして、シンジと、今のレイよりやや年下と思える少女。幸せそうな家族の肖像。
「六分儀君…?いや、違う…」
 レイは首を傾げた。写真はやや古びていて、最近のものとは思えなかった。何よりも、ゲンドウがまだ若い。では、このシンジそっくりの少年は一体?
 そう思ったとき、後ろでガチャリという音がした。ハッとしてレイが振り向いたとき、そこにはシャワーを浴びていたのか、腰にバスタオルだけ巻いたシンジが立っていた。
「あっ…その…」
 レイはかってに入ってごめんなさい、と言おうとしたが、シンジの恰好を見て顔が真っ赤になり、言葉を続ける事が出来ない。
 シンジは不思議そうな目でレイを見ていたが、彼女の右手に握られた写真立てを見て、怒りの表情を浮かべた。
「…返してよっ!」
「きゃっ!?」
 つかつかと歩み寄り、シンジはレイの手から写真立てをひったくった。そのショックでレイは床にしりもちをつき、シンジは取り返した写真立てを大事そうにテーブルの上へ戻した。
「いたた…」
 レイが立ちあがろうとすると、シンジはレイの方を見た。一瞬レイはびくっとなったが、シンジの顔にはもう怒りの色は無かった。
「…なにか用?」
 シンジに言われ、例は自分の用を思い出した。
「あ、あの…新しいIDカード。冬月のおじ様に頼まれて…」
 そう言ってレイがスカートのポケットにしまっていたIDカードを出して差し出すと、シンジはさっきとは打って変わった丁寧な手つきでそれを受け取った。
「ありがとう」
 そう言うと、シンジはテーブルの上にカードを置いた。そして、自分の部屋に行こうとしたが、その時レイがまだ床にへたり込んだままなのに気がつき、レイの方を見た。その目には何の感情もこもっていなかった。
「…他に用事が無いなら、出て行ってくれる?」
 その声に怒りの感情は無かったが、他人に対する明確な拒絶が現われていた。レイは慌てて立ちあがり、「ご、ごめんなさい!」と言うと、部屋を出ていった。
 一人残されたシンジは着替えを済まし、薬や栄養剤を水で飲み下すと、写真立てに目をやった。
「――行ってきます」
 
放課後 NERV本部 メインシャフト

 レイとシンジは本部名物のメインシャフトを貫く長大なエスカレーターに乗っていた。シンジが前に立ち、レイはその後ろからついていくような恰好になっている。が、まっすぐ前を向いているシンジと異なり、レイは顔を横に向けてシンジが視界に入らないようにしていた。時々、顔を赤くしながらちらちらと前を行くシンジを見る。
(み、見ちゃった…男の子の裸…)
 実際にはバスタオルを腰に巻いていたとは言え、思春期の少女にとって刺激的な体験だったのは事実である。おかげで、今日は1日中シンジの方をまともに見れなかった。もちろん、マナには散々からかわれた。
 今もシンジの方をまともに見れず、気まずい感じがしている。もっとも、それはレイだけが感じている事で、シンジがどう思っているかは全く分からない。
「……」
「……」
 なんとも言えない寒々しい空気が流れる。耐えきれなくなったレイは、何とかして話題を見つけようと口を開いた。
「そう言えば、今日、零号機の再起動試験なんだって?」
 レイが言うと、シンジはレイの方を振り向き、黙って頷いた。
「怖くないの?」
 レイは聞いた。シンジが大怪我をしたのは、前回の起動試験で暴走が起きたせいだという事は、冬月や加持から聞いていた。
「怖い?」
 シンジは不思議そうな顔で聞いた。
「君は…綾波さんは、怖いの?」
 逆に問い返され、レイは少し考え込んだ。
「…うん、まだ少しね。やっぱり、命がけの事だし…」
 レイがそう答えると、シンジは言った。
「僕は…怖くないよ」
「怖くない?」
「そうだよ。父さんの事を信じているから」
 それだけ言うと、シンジはもうこの話はこれっきりだというように再び前を向いた。レイはなんと言って良いのか分からず、再び顔を横に向けた。時々、顔を赤くしながらちらちらと前を行くシンジを見る。
 その二人の姿――特にレイの態度は、のちにその光景を目撃したNERV職員達によって様々な形に変形あるいは尾ひれをつけられた噂として流れ、レイを大いに慌てさせる事になるのだが、それはまた別の話である。

NERV本部 第一実験場

「シンジ、聞こえるか?」
 前回に引き続き試験の指揮を取るゲンドウが息子に呼びかける。
「聞こえているよ、父さん」
 スピーカーからシンジの声が流れる。その声には特に緊張や気負いは感じられない。むしろ、前回の事を覚えているスタッフ達の方が緊張しているくらいだ。見学の為制御室へ来ていたレイも緊張の表情を浮かべていた。
「では、零号機の再起動試験をこれより開始する。主電源、コンタクト」
「了解。電源接続。電圧、順調に上昇中」
「起動プロセス・スタート」
 零号機にアンビリカル・ケーブルが挿入された。前回の教訓から、今回は機体内臓電源への充電は行われておらず、ケーブルを抜いた瞬間に機体が停止するようにされている。
「稼動電圧、臨界点を突破」
「起動プロセス第二ステージへ入ります」
「パイロット、シンクロスタート」
「シナプス挿入、シンクロ開始」
「パルス送信、全回路正常」
「初期コンタクトに異常なし…」
 試験は順調に進んでいた。もっとも、ここまでは前回も、それ以前の試験でも成功してきた部分なので、安心する事はまだまだ出来ない。
「第3ステージに入ります」
 いよいよ、前回暴走が始まったフェイズへ差し掛かった。全員が身を乗り出し、息を呑んで経過を見守る。その中で、ゲンドウだけが超然とした態度を保っていた。
「パイロット、零号機と接続開始」
「回線開きます」
「パルス及びハーモニクス正常」
 エントリープラグ内部ではモニターが一瞬が七色に輝き、その後でエヴァのメインカメラからの映像が映し出された。乗っているシンジは精神を集中させるかのように目を閉じており、不安の影は全く見られない。
「シンクロ問題なし」
「オールナード・リンク終了」
「中枢神経素子に異常なし」
「再計算、誤差修正無し」
 シンジは目を開き、ふと一瞬実験制御室内のレイに視線をやった。
「チェックリスト、項目2590までチェッククリア」
 制御室の神経接続を示すモニターが次々と赤から青へ変わってゆく。
「絶対境界線まで、あと2.5…1.7…1.2…1.0」
 レイは零号機を真剣な目で見ながら、いつしか祈るように胸の前で手を組んでいた。
「0.8…0.6…0.5…0.4…0.3…0.2…0.1」
「突破っ!!ボーダーラインクリア、零号機起動しました」
 そのマヤの報告に、制御室内に安堵の空気が流れ、レイはホッとしたように微笑んだ。オペレーター達の顔にも笑みがこぼれる。その光景を眺めながら、ゲンドウは腕を組み、落ちついた声で叱責した。
「浮かれるのはまだ早い。まだ実験が終ったわけではないぞ」
 その声に、オペレーターたちは表情を引き締め、次のフェイズに入る準備を始めた。
「了解。引き続き、連動試験に入ります」
 その時、ゲンドウのいる指揮席の横に置かれた電話が鳴った。

太平洋上 防空識別圏境界上

 海上を不可思議な形態をした物体がゆっくりとした速度で進んでいた。ピラミッドと同様の正四角推を、底面で張り合わせたような形状だが、上下の間にわずかながら隙間があることが観測される。
 青い透明感のある物質で出来たそれに対し、戦自の無人偵察機が接近していく。それがある距離に達した瞬間、閃光と共に無人偵察機は消滅した。
 無人偵察機を運用していた関東防空司令部は、NERVに対し指揮権の委譲を決定した。だが、無人偵察機が捉えたデータや映像を送る事はしなかった。
「ふん、放っておけ。奴らに協力する義務なぞあるものか」
 幕僚の一人が言い放ったこの一言に、戦自が抱く国連やその組織に対する屈折した劣等感や反感が凝縮されていた。
 そして、そうした感情的なものから産み出された連絡の悪さは、大きな影響を次の戦いに及ぼす事になる。

NERV本部 第一実験場

「間違いありませんか?」
 ゲンドウの質問に、電話の向こうの冬月が答える。
「間違い無い。第5の使徒だよ」
「わかりました」
 電話を置いたゲンドウは、ただちに命令を下した。
「テスト中断。総員第一種戦闘配置」
 そう言うと、ゲンドウは傍らにいたレイを見た。
「綾波君、君はすぐに初号機に乗ってくれ。出撃準備だ」
「は、はいっ!」
 答えると、レイは部屋を飛び出して行った。
「副司令!零号機をそのまま出撃させる方が早いかと思いますが…」
 オペレーターの一人が意見具申した。
「それも考えたがな、再起動したばかりで戦闘投入は難しかろう。それに、内部電源を実装して充電しなければ危なくて戦闘には使えんよ」
 ゲンドウが理由を説明すると、オペレーターは納得した表情でコンソールに向き直った。
「一応出撃準備はとらせよう。時間はどれだけ必要だ?」
「は、内部電源搭載の手間を考えますと…どんなに急いでも1時間はかかるかと」
「…それでは間に合わんな。まあいい、一応進めておいてくれ。私は発令所へ上がる」
 そう言うとゲンドウはレイに続いて部屋を出て行き、次いで戦闘時には発令所に詰めるマヤがその後を追って行った。

NERV本部・発令所

 初号機の発進準備が進められる中、使徒の動向がリアルタイムで発令所へ伝達されていた。
「目標は遠野沢上空を通過しました」
 青葉が報告した。
「防衛システムの麻痺は痛いな…」
 冬月は呟いた。先日のMAGIハッキング事件で、現在自動化されたシステムのほとんどはウイルスやバグをチェックするために停止されていた。
「見た所、格闘型ではありませんね。初号機はパレット・ライフル装備で出撃させます」
 ミサトが言った。
「うむ」
 冬月が頷く。
「初号機、発進準備に入ります」
 モニターにはパレット・ライフルを持ったエヴァ初号機が発進台へと移動して行く光景が映し出されていた。
「レイちゃん、頑張れよ」
 加持が言うと、モニターの向こうでレイが手を振って答えるのが映し出された。やがて初号機は位置につき、ミサトが発進の号令を下した。
「エヴァンゲリオン初号機、リフト・アップ!」
 その時、まるでエヴァの出撃を関知したかのように、芦ノ湖上空に差し掛かっていた第5使徒の体を上下に分かつ溝に、淡い光が点った。それは見る見るうちに輝きを増していく。
「し、使徒体内に超高エネルギー反応!」
 青葉が叫んだ。
「何だと!?」
 冬月が叫び、メインモニターに映像を切り返させた。使徒体内でエネルギーが高速回転する様子が模式図として描き出される。
「円周部を加速、収束して行きます!」
「ま、まさか…荷電粒子砲!?」
 ミサトがその正体に気づき、青ざめた顔になった。
「日向君!リフト停止、初号機を地上に上げては駄目よ!急いで!」
「駄目です、間に合いません!」

地上

 交差点の中央部に設置されている装甲シャッターが開き、そこかリニアレールが延びると、高速で登ってきたエヴァ初号機が地上へと姿を表した。レイは使徒を探そうとエヴァの首を左右に振らせる。その時、リニアモーターの撒き散らす磁力で麻痺していた通信機に日向の切迫した声が入った。
「レイちゃん!急いでそこから離れるんだ!早くっ!」
「えっ?」
 一瞬訳がわからず、聞き返すレイ。その瞬間、彼女の前方にあったビルの向こうで、まばゆい輝きが生まれた。
 使徒の荷電粒子ビーム…加速レールで電気を帯びた金属粒子(イオン)を光速に近い速度まで加速し、目標へ向けて投射する、光学兵器と質量兵器の利点を兼ね備えた、まさに神の放つ雷とも言うべき光の奔流は、定規で書くものより正確な直線を描いてエヴァンゲリオン初号機へ向けて放たれた。
 途中にビルがあったが、その破壊力の前には、コンクリートで出来た巨大なビルでさえティッシュ・ペーパーと対して変わりがなかった。ビルはそのエネルギーの前に瞬時に融解し、ビームはわずかに威力を衰えさせただけで初号機の胸を直撃した。
「きゃああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!」
「レイ!」
「レイちゃんっ!!」
 レイの絶叫と、発令所内の人間が上げる絶望の叫びが辺りにこだました。

次回予告

 レイは辛うじて助かった。だが、初めて経験した死への恐怖は彼女に戦場へ赴く事をためらわせる。そのためらいを破ったのは、シンジの一言だった。
 一方、ミサトは使徒を打ち破る為にある大胆な作戦を立案する。全ての人々の願いと日本中のエネルギーを託されたレイとシンジは、果たして使徒を倒す事ができるのか?

 次回、第六話「決戦!第三新東京市」

あとがき

 お、今回はちょっと短めです。
 というわけでお送りしたREPLACE第伍話、如何でしたでしょうか?まあ、あんまり原作から離れていない話ですが…
 今回は何と書く前に「取材」と言うのをやりました。といっても、作中のマナがレイをからかうときの言葉、「六分儀君の○○〜」を書く際に、実際にショタものの同人誌を書いている友人に電話して「ショタの人は少年のどこに萌えるのだ」と聞いただけなのですが(爆)。あ、でもこれは別にマナがショタというわけではありません(笑)。
 次回も原作とあまり変わらない話になると思います。
 では第六話でお会いしましょう。

2000年5月吉日 さたびー拝

さたびーさんへの感想はこちら


Anneのコメント。

零号機暴走シーンのゲンドウ、何だか本当に親子って感じで良いですね。
でも、どうやらそれは違う様子・・・。

>「ええ、綾波君は良くやってくれています」
>(辛くは無いのかね…六分儀…)
>「六分儀君…?いや、違う…」
>レイは首を傾げた。写真はやや古びていて、最近のものとは思えなかった。
>何よりも、ゲンドウがまだ若い。では、このシンジそっくりの少年は一体?

それを示唆するのが、ゲンドウと冬月のこのセリフと六分儀・葛城邸にあった謎の写真立て。
やはりレイは・・・ゲンドウの・・・でシンジは・・・なのかな?(^^;)
だとすると解らないのが、ゲンドウが見せるシンジへの優しさなんですよねぇ〜〜・・・。
うむむっ!!今後が楽しみですっ!!!
・・・って、えっ!?原作通りだとそれが解るにはまだ18話ほど必要なのか(笑)

>「六分儀君のうなじ…六分儀君の二の腕…六分儀君のひ、ざ、こ、ぞ、う〜…」

これ読んだ時、何だか妙に具体的だなぁ〜〜っと思ったのですが・・・。
そうですか、そうですか、なるほどね(笑)<さたぴーさんの後書き参照

>「美味しい!」
>「うむ、加持君の腕は大した物だ。NERVが無くなってもシェフで食って行けるぞ」
>「いやあ…昔必要に迫られて身につけた技術なんですけどね」

きっと過去に涙ぐましい努力があったんでしょうね(爆)

>そう思ったとき、後ろでガチャリという音がした。
>ハッとしてレイが振り向いたとき、そこにはシャワーを浴びていたのか、腰にバスタオルだけ巻いたシンジが立っていた。

それで原作のレイと違って隠そうという意思はあるんですね(笑)
ナニをって・・・。さあ?(爆)



<Back> <Menu> <Next>