前回までのあらすじ

 様々なトラブル・イベントに巻き込まれながらも、それなりに楽しい学園生活を送れるようになった長瀬ひろの(旧名:藤田浩之)。後輩や友人も増え、次第に以前のペースを取り戻しつつあるかに見えたが…混沌の女神が彼女に授ける波乱の運命からはやはり逃れられない。スーパーメイドロボット・マルチの次に彼女の元を訪れる試練とは…?


To Heart Outside Story

12人目の彼女

第七話

「図書館地獄変」



 その日、東鳩市民体育館は熱気に包まれていた。行われているのはバスケットボールの試合である。東鳩高校を含む市街西部地区の高校による対抗戦。ひろのは志保に誘われ、たまの休日を母校バスケ部の応援に来たのだった。現在、試合は67対23で東鳩高校が勝っている。
「へぇ…やるじゃない、うちのバスケ部」
 ひろのが感心すると、志保が答えた。
「そうねぇ…ま、バスケ部の実力って橋本先輩で持っているようなもんだけどね」
「橋本先輩?」
 ひろのの言葉に、志保は呆れたような声で言った。
「ひろのぉ…あんた知らなかったの?橋本先輩って言えばバスケ部のスーパーヒーローにして学校一のモテる男。女子好感度常にナンバーワンの憧れの人よ?ほら、あの人」
 ひろのは志保が指差す方向を見た。その人物はちょうどボールをパスされ、全速でドリブルしながら敵の前線を突破した。そして、一気にジャンプ。ダンクシュートを決めた。橋本貴之。東鳩高校三年。志保の言う通り、女子の人気ナンバーワンを誇る人物であった。
 ちなみに、男の頃の浩之は女子からの人気はそれなりにあったのだが、分類上「予約済み」とか「こぶ付き」とかであったのでその人気に大した意味はなかった。ちなみにこの分類はあかりとの関係を考慮して決められたものである。
 皮肉にも現在のひろのこそ男子からの人気ランキングが急上昇中で、一位になるのは確実と見なされているのであるが、これもまた本人にとってはあまり意味がない。
「ふぅん…」
 ひろのは気のない返事をした。確かに橋本はバスケは上手いようだ。が、なんとなく軽薄な感じが気に入らない。それ以前に男に興味を持つほどひろのは女の子になりきれてはいない。
 なりきってもまずいが…
「ふぅん…って、意外に醒めてるのね、ひろの…」
 その反応の薄さにがっかりした志保だったが、またしてもボールを支配する橋本に黄色い声で声援を送っている。
(へぇ、志保ってこういう一面があったんだ。ちょっと意外だな…)
 親友のミーハーな側面を見てひろのは志保への認識を新たにする。そう思っている中、橋本がまたシュートを決めた。
「きゃ〜っ!!橋本せんぱぁ〜〜い!!」
 立ち上がり、手を叩いて喜ぶ志保。さらに、むりやりひろのの手を取って立ち上がらせる。
「ひゃっ!?ちょ、ちょっと志保ぉ〜」
「いいから、ひろのも拍手、拍手!!」
 親友の盛り上がりぶりに苦笑し、仕方なく拍手を始めるひろの。それを見つけた人物がいた。
 矢島であった。彼もまたバスケ部員だったのだ。
(な、長瀬さん!?来ていたのか!!そうか、俺を応援しに来てくれたんだな)
 恋する人間に特有の盲目的かつ短絡的な結論に一瞬で辿り着いた矢島は一気にスパークした。
(長瀬さんが来ているこの試合…絶対に彼女に良いところを見てもらうぞ!!)
 一気に燃え…いや、萌えあがった矢島の闘志は天をも衝き、彼は猛々しい程の動きで相手に襲いかかった。
「あ、矢島君だ」
 志保が言った。突然動きの変わった選手がいるので、注目したら彼だったのだ。
「ホントだ。そう言えばレギュラーだったんだね」
 そのひろのの言葉に、志保はニヤッと笑った。
「手ぐらい振ってあげたら?頑張るかもよ、彼」
「へ?」
 志保の唐突な言葉にひろのは戸惑った。
「いやいや、矢島君にゃひろのはちょっともったいなさすぎだけど、手を振ってサービスしてあげるくらいはオッケーなんじゃないかなぁ…と思って」
 ひろのは考えた。普段の言動からして矢島が彼女に片思いしているのは確実だったので、もしここで手を振ったりすると、そりゃもう相手は覿面に勘違いするだろう。間違いなく。
「やだ。絶対にいや」
 きっぱりとしたひろのの拒絶の言葉に、さすがの志保も矢島への同情を抑えられない。
(矢島君…不憫なヤツ)
 しかし、事態を面白くする事に関しては努力を怠らないのが志保の真骨頂。隙を見てひろのの手を掴み、頭上に持ち上げるとひろのの声を真似して叫ぶ。
「がんばって〜、矢島くぅ〜ん!!」
 そして、手を振る。
「し、志保っ!?」
 慌てて手を放させるひろのだったが、その手を振る姿と声援はしっかり矢島の元に届いていた。
(はぁぁぁ!!長瀬さんが、長瀬さんが…俺に声援を送ってくれている…!!)
 その至福の境地が命取りであった。
 ピピーッ!!
 ホイッスルが鳴り響き、矢島をピンク色の至福の境地から強制的に呼び戻した。
「トラベリング」
 審判が無情にも宣告した。幸せのあまりドリブルするのを思いっきり忘れていたらしい。
「馬鹿野郎、矢島ぁっ!!なにやってんだお前は!!」
 顧問の先生が怒髪天で叫び、控え選手との交代を命じる。矢島はがっくりとうなだれて退場していった。
「…ありゃ…」
 それを見ながら志保は言った。
「あ、あはは…ちょっと失敗だったかな…」
「…大失敗だと思うよ」
 さすがに矢島が気の毒になってひろのが答えた。しかし、この時彼女は矢島に気を取られすぎて気づいていなかったが、志保に手を振らされた時、その射線上にもう1人の人物がいたのである。
「フッ…長瀬ひろのか…最近評判は聞いていたが、予想以上だな…決めた。次のターゲットはあの娘だ…!!」
 その人物――橋本はそう呟き、クックックッと忍び笑いをもらした。となれば、あとは活躍して自分の姿をさらに彼女の心に刷り込むだけである。
 女子の人気ナンバーワン。しかし、男子の好感度ワーストワンの橋本のあだ名は「東鳩高校一のナンパ野郎」。その男が、ひろのをその毒牙にかけるべく動き出したのである。
 なお、試合の方は矢島の退場があるも戦況に影響はなく、東鳩高校の圧勝であった。ひろのは自分にかつてない危機が迫りつつある事も知らず、のんびりと運動公園内の喫茶店で軽くお茶した後、他に用があると言う志保と別れ、そのまま家路についた。

 さて、次の日。
「おはよう…あれ?」
 登校してきたひろのは志保に声を掛けた。が、普段のハイテンションぶりは微塵も見せず、完全に沈みきっていた。
「あかり…志保はどうしたんだ?」
 小声であかりに訊ねる。
「…わたしにもわからないの。朝からずっと…ああなんだよ」
 あかりも首を横に振って答える。仕方なく、ひろのは椅子に座り、志保の目線と合わせて話しかけた。
「おはよう、志保」
「…ひろの?」
 初めて反応があった。顔を上げた志保の目が赤い。
「志保…泣いてたの?」
 あかりが息を呑んだように言った。
「あ…」
 志保は微かに息をのみ、それからにこっと笑った。ただ、ひろのとあかりにはどこか無理のある笑顔に見えたが…
「志保、何があったの?」
 ひろのの質問に、志保は泣き笑いのような顔で答えた。
「あたしね…フラれちゃったんだ…橋本先輩に」
「「ええっ!?」」
 ひろのとあかりの驚きの声が奇麗にユニゾンした。
「昨日…ひろのと別れた後で先輩に告白したんだ…でも、断られちゃった」
「そうだったんだ…」
 ひろのは呟いた。昨日、やたらと志保が騒いでいたのは、好きな先輩の活躍を見て興奮していたからだけではなく、これから告白する緊張を紛らわすためでもあったのだ。
「ホントはね、わかってたんだ…告白したってうまく行かないかもしれないって。でも、先輩……君じゃ俺とは釣り合わない…って…」
 そう言うと、またしても志保の目からぽろぽろと涙が零れ落ちた。ひろのとあかりは一瞬顔を見合わせて志保の言葉の意味を反芻し、そして、次の瞬間怒りで真っ赤になった。
「ひどい…!そんな言い方ってないよ…!!」
 あかりは自分も泣きそうな顔で怒る。
「志保…ごめん。思い出させちゃって」
 ひろのはできるだけ優しい口調で言った。志保の頭を抱きしめるようにして撫でてやる。
(橋本…許すまじ)
 志保を泣かせた事ももちろんだが、「…君じゃ俺とは釣り合わない」という傲慢極まりない言い方に腹が立っていた。絶対に許せない。女の敵だ。
 自分が「女の子の立場に立って」橋本に対して怒っている事を、ひろのは自覚していなかった。
「いや…きっと、それで良かったんだよ。そんなつまんない男、志保には似合わないよ」
 そのひろのの言葉に、彼女の胸に顔を埋めて泣いていた志保は顔を上げた。まだ笑う事はできなかったが、とにかく泣き止んではいた。
「…ありがとう、ひろの。あかり」
「…いいよ。大した事してない」
「もう少しこうしてて良い?」
「…良いよ」
 そうやって、HRが始まるまでひろのは志保の頭を抱きしめてやっていた。

 次の日の朝、朝練と言う事でひろのは駅前でバスを降り、学校へ続く坂道を登っていた。時間は7時10分くらい。さすがに始業1時間半前ともなると、辺りに生徒の姿はほとんど見られない。
 ひろのが坂を登りきり、校門が見えてきたところで、彼女はそこに1人の人物が立っている事に気が付いた。180は軽く越えているだろう細身の長身に、あえて着崩したらしい学生服。
(…橋本…先輩?)
 ひろのは立ち止まった。橋本は校門の横にある通用口を塞ぐように立っており、彼が退いてくれない限り中には入れない。
「…すいません。そこを通していただけませんか」
 ひろのは言った。橋本はゆっくりと首を動かして彼女に目をやった。
「…長瀬ひろのさんだね」
 なぜ名前を知っているのか、とは聞かなかった。さすがのひろのも、最近は自分がある程度有名人であるらしい事ぐらいは自覚している。
「ええ…ですから、そこを…」
「退いても良いよ」
 橋本はひろのの言葉を遮るようにして言った。
「ただし、君が俺の彼女になってくれるなら、ね」
「な…」
 ひろのは絶句した。からかわれているのか、とも思った。橋本はニヤニヤと笑っているだけで、本心で何を考えているのか全くわからない。
「…何の冗談を…」
「違うなぁ。俺は本気だぜ、ひろのちゃん」
 橋本はなれなれしい口調で言った。背中に寒気がする。あかりや真帆にならともかく、こんな男にちゃん付けで呼ばれるいわれはなかった。
「…結構です。裏門から入りますから」
 ひろのは踵を返した。ちょっと遠回りになるが、裏門からだっては入れない事はない。こんな男にこれ以上からまれるのは絶対に嫌だった。
 だが、バスケで鍛えた俊敏さで、橋本はひろのの前に回り込んだ。
「つれないなぁ…この間は俺に手を振っていたじゃないか」
「…えっ…?」
 ひろのは首を傾げた。こんな男に手を振った覚えはない。いや、振らされはしたが、それは矢島に対してであって、橋本に対してではない。断じてない。
「それとも、唯の照れ屋さん…なのかな?可愛いね。俺はそういう娘は嫌いじゃないぜ」
(…まずいな…なんか、こいつ絶対に勘違いしてる)
 ひろのは少し焦った。どうしたらこの男を振りきれるのか。緊張で顔が上気し、心臓が高鳴る。が、こと女の子の振る舞いに関してはすべてを己の都合の良い方に解釈する橋本には、ひろのが照れているようにしか見えない。
「あれ?ひろの先輩!」
 とつぜん、その緊張を破るような声が辺りに響き渡った。
「あ、葵ちゃん…」
 それは、少し遅れてやってきた葵だった。というよりも、彼女が来る前に練習前の準備を整えるのがひろののマネージャーとしての努めなのだが。
「珍しいですね、こんな時間にまだ校門前にいるなんて。手伝いますから、さっさと準備しちゃいましょう!」
「う、うん…」
 葵に言われるままにひろのは通用口を潜って校内に入った。そっと振り向いてみると、橋本は苦々しげな顔つきでこっちを見ていた。が、ひろのが振り向いた事に気が付くと急に笑顔になる。ひろのは慌てて顔を戻した。
「葵ちゃん…助かった。ありがとう」
「え?何がですか?」
 葵が屈託のない笑顔を向ける。ひろのはううん、なんでもない。と言って誤魔化した。これは自分とあの勘違いナンパ男の問題。彼女を巻き込む事はできない。

 その後、普段通りに朝練を終えたひろのは芹香を迎えに行った。そこで、彼女は琴音と出会った。
「あ…長瀬先輩!おはようございます」
「おはよう、琴音ちゃん」
 ひろのはさっと手を挙げて挨拶した。今は周囲に他の生徒も多いし、橋本の姿も見えないので安心して琴音と話す事ができた。
「何をしてらっしゃるんですか?」
「うん?ああ、芹香先輩が来るのを待っているんだ」
 ひろのは琴音に朝練の日は芹香を迎えに出る約束をしている事を話した。やがて芹香も到着し、3人は連れ立って玄関を潜った。学年が1、2、3と綺麗に分かれているため、ばらばらと別れて靴箱を開ける。
 どさどさどさ…
 ひろのの足元に封筒がいくつも零れ落ちる。ラブレターだ。
「長瀬先輩…今日も多いですね」
 琴音が目を丸くした。ひろのの靴箱には1日平均2〜4通、多いときには7通くらいのラブレターが入っているのは珍しくないが、今日はとりわけ多い。10通はあるのではないだろうか?
「ん?この五通は差出人が一緒だ…って、橋本ぉ!?」
 ひろのは拾い上げたラブレターを取り落とした。緑、ピンク、黄色、水色、白と五色に分かれた、ただし同じデザインの封筒に分けられたラブレターの差出人は全て「Takayuki Hashimoto」となっていた。
(ヤバイ…ヤバ過ぎだあいつ…ひょっとしてストーカーって奴か…!?)
 真っ青な顔で立ちすくむひろのの様子をただ事でないと悟ったか、芹香と琴音が駆け寄ってくる。
「…(どうしました?ひろのさん)」
「先輩、顔色が悪いですよ…大丈夫ですか?」
 その言葉にひろのは我に返った。こんなヤバイ相手の話にこの二人を巻き込むわけには行かない。
「い、いや…大丈夫。心配しないで」
 ごそごそとラブレターを拾い集めると、たまたま近くにいたマルチを呼びとめる。
「はわわ〜っ?なんですか、ひろのさん?」
「マルチ…これ、捨てておいてくれる?」
 返事も聞かずにマルチに封筒を押し付け、よろよろと歩き去る。その姿を見て、芹香と琴音は顔を見合わせ、目と目で何かを伝え合った。いや、魔女と超能力者の間に言葉は必要なかったのかもしれないが…

 ひろのが教室に来ると、すでにあかりと志保の2人は先に来ていた。
「おっはよーん、ひろの」
「ひろのちゃん、おはよう」
 口々に挨拶する2人にひろのは軽く手を上げて挨拶した。
「2人ともおはよう。今朝は早いんだね」
 志保がどうやら気を取り直したらしく、元気にしている事にひろのは安堵する。が、逆に自分の元気がなくなっている事をあかりに見ぬかれた。
「ひろのちゃん…なんだか元気がないんじゃない?」
「え…?そんな事ないよ」
 あわててにっこりと笑う。しかし、あかりには通用しなかった。
「うそ。なんだか無理してるような感じだよ」
(…なんで、こういう時だけ鋭いかな…)
 心の中で思いつつも、ひろのはあくまでも「何でもない」で押し通し、自分の席に腰掛けようとした。しかし、椅子を引いた時になにかが「かしゃん」と言う音を立てて彼女の足元に転がった。
「ん?なんだろう、これ…」
 それは、リボンを掛けた小さな包みだった。不思議そうな表情のひろのに、あかりと志保も彼女の蕎麦へ寄ってくる。
「なんだろ、プレゼント?」
 あかりが言った。確かに、その包みはアクセサリー程度の大きさのものをプレゼント向けに包装したように見える。ネックレスかブローチならぴったりと言うところだろう。
「あれ?<ファニー・ティ>の包み紙だよ、これ」
 志保も言った。<ファニー・ティ>はひろのも知っていた。服やアクセサリのブランドで、彼女たちの世代を中心に人気の高いブランドで、お値段のほうもそれなりに高い。ひろののために芹香が用意してくれた服や装飾品の中にも<ファニー・ティ>ブランドのものはいくつかあった。
 あまり趣味が合わないので着た事はほとんどないが…
「まさか…ん…?」
 その時、包みの裏にくっついていたらしいメッセージ・カードがはらりと机の上に落ちた。ひろのはそれを持ち上げ、開いてみた。
「…!!」
 予想通り、それは橋本からのものだった。
「わざわざ応援に来てくれた君に感謝して。My Sweet Heart Hirono T.Hasimoto」
「…」
 ひろのの肩がぶるぶると震えた。My Sweet Heart Hirono?何寝ぼけた事言ってるんだ、腐れストーカーが!と心の中で絶叫するのだが、あまりの怒りと気持ち悪さに声が出ない。
 しかし、次の瞬間に起きたことはひろのの予想を越える出来事だった。
「…これは…どう言う事なの?ひろの…!」
 志保だった。声が怒りに震えている。その声がひろのの金縛りを解いた。
「ど、どう言う事って…」
 何故志保が怒るのか。困惑するひろのに、志保が言った。
「あたし…橋本先輩に振られたのよ。その橋本先輩がどうしてひろのにプレゼントを贈るの?ねえ、どうして…!」
「どうしてって…私にもわからないよ…あの人が勘違いしてるとしか…」
 志保の怒りの原因がわからず、声が尻すぼみになるひろの。だが、志保の怒りは収まらず、ますます熱くなっていく。
「わからない?嘘!<ファニー・ティ>のアクセサリなんて気軽に買えるもんじゃないのよ!!ひろの、あんたまさか橋本先輩と付き合っているんじゃ…」
「…なっ!?」
 ひろのは絶句した。志保が何に対して怒っていたか、ようやく理解したのだ。同時に、それはとんでもない誤解だった。
「ち、違うよ志保!それは誤解だよ!」
 あわてて事情を説明しようとするひろの。しかし、志保はそれを聞き入れなかった。
「誤解!?何が誤解なのよ!!日曜日、あたしが一人盛り上がっている時に、あんたそうやって涼しい顔して、心の中では笑ってたんじゃないの!?」
「志保、いくらなんでもそれは言い過ぎだよ!ひろのちゃんはそんな事する人じゃないよ!!」
 これにはさすがのあかりも立ちあがって志保をなだめようとするが、今の志保に対してはそれは逆効果でしかなかった。
「な、何よ…あかりまで…!!」
 志保はくるりと背中を向けて、教室を飛び出していった。
「ま、待ってよ!志保!!…ひろのちゃん、追わなきゃ!!」
 ショックで呆然としているひろのの手をあかりが引っ張る。
「…あ?ああ…そうだな」
 ひろのはあかりに促されるままに教室を飛び出し、廊下の左右を見まわした。志保の姿はどこにも見えない。
「…あかり、右を頼む。俺は左の方を探すよ」
「うん、わかった」
 あかりと二手に分かれ、ひろのは校舎の中を志保を探して走り回った。しかし、彼女の姿はどこにも見えなかった。1時間目の授業が始まっても、志保は教室へは戻ってこなかった。

 何の手がかりもないまま、二時間目…三時間目と授業は進んだ。ひろのとあかりは授業が終わるたびに志保を探し回ったが、どうしても志保を見つける事はできなかった。

 そして、昼休み。食事もとらず志保を探しつづけるひろのの前に一人の男が現れた。
「やぁ…長瀬さん。プレゼントは気に入ってくれたかい?」
 橋本だった。自信にあふれた笑顔を浮かべ、ひろのが自分に礼を言うのを待っているかに見える。ひろのは橋本の顔を見て一瞬目に怒りの炎を浮かべた。今回の一件、この男の無神経な行動が全ての元凶だ。
 できれば殴り飛ばしてやりたいところだが、ひろのはそれをぐっと抑え、ポケットから包みを取り出した。開封はしていない。
「プレゼント…って、これですか?」
 橋本に見せ付ける。彼は頷いた。
「ははっ、なんだ。まだ開けていなかったのかい?本当に照れ屋さんだなぁ。でも、きっと君に似合うと思って選んだんだ…今ここで付けて見せて…」
 最後まで言わせず、ひろのは橋本に包みをつき返した。
「…こう言う事はしないでください。迷惑なんです」
 怒りを込めた口調できっぱりと告げる。一瞬橋本は驚いたような表情をしたが、すぐに気を取り直したように笑顔に戻る。
「ははっ、なんだい?俺との噂が立つのは迷惑かい?気にする事はないさ。俺と君なら釣り合いの取れたカップルだからね」
…釣り合いの取れたカップル…?
 ひろのの脳裏に、「釣り合いが取れない」と言う理由で彼に振られた志保の涙がフラッシュバックした。抑えきれない怒りが心の中から込み上げてくる。
「だから、みんな納得するはずさ。噂なんて…」
「そういうことじゃありませんっ!!」
 あくまでも自分の都合の言いように解釈する橋本に、ひろのはついにたまりかねて怒りの言葉を放った。
「釣り合いが取れるとか取れないとか、そんな事を言われた女の子が傷ついてないとでも…納得しているとでも思っているんですか!?」
 一瞬、橋本は何を言われたのかわからなかったらしく呆然としている。
「何だって…?君は一体何を」
 今まで女の子からこんな風に責められた事が無いのだろう。初めての経験に戸惑いを隠せない橋本にひろのは更に言葉を叩きつけた。
「そんな…他人の気持ちのわからない人に付き合えなんて言われても迷惑です!これはお返ししますから、もう二度と私に付きまとわないでください!!」
 ひろのは橋本の手に強引にプレゼントを握らせ、きびすを返した。
「ちょ、ちょっと待てよ!!」
 拒絶された事を知り、怒りの表情を浮かべて橋本はひろのの腕を掴み、強引に引き寄せようとした。その瞬間。
 ぱあんっ!
 橋本の上半身がのけぞった。ひろのが反射的に放った平手打ちが炸裂したのだ。完全に激怒しているのに言葉遣いは女の子のままだし、殴るのではなく平手打ち。橋本に対するひろのの怒りは、身勝手な男に対する女の怒りのそれだった。
「…しつこいです」
 そう言い放ち、ひろのは廊下を歩き去っていく。いつのまにか集まっていたギャラリーたちの間に忍び笑いが漏れた。主に男子だ。普段から顔の良さと腕力を鼻に掛けた嫌な奴、と見られている橋本に好意を抱く男子は少ない。
「くそ…散れっ!見世物じゃないぞ!!」
 ひっぱたかれた頬を抑え、橋本は人ごみを蹴散らして歩き始める。その目には恥を書かされたことに対する復仇の念が熾火のようにちらついていた。

 そして、結局志保が見つからないまま、とうとう放課後になってしまった。
「…志保…本気だったんだな」
 ひろのは呟いた。普段は軽い口調で、恋愛の事などなんでもござれ、と言う感じの志保が、実はこんな純情な一面を隠し持っていたんだ、という事をひろのははじめて知った。もし男の頃だったら…きっと気づかなかっただろう。
 自分が女じゃなく、男だったら。「長瀬ひろの」と言うイレギュラーのいない世界では、橋本はあるいは志保の告白を受けていたのかもしれない。
 そうしたら、きっと志保は自慢たらしく学園ナンバーワンのヒーローの心を射止めた事を言いに来て…自分が軽口で応じて。そんな、他愛のない事件で終わっていたに違いない。
「ひろのちゃん…ひろのちゃんのせいじゃないよ」
 あかりが気を遣って話し掛けてきたが、ひろのの気は晴れなかった。
「…ありがとう、あかり」
 それでも礼を言うと、ひろのは立ちあがった。ひょっとしたら志保は帰ってしまったのかもしれない。が、ひろのにはなんとなく志保がまだ学校内に残っているような気がした。まだ探していない場所は無かったかと考えながら、ひろのは教室を後にした。

 それから1時間ほど、ひろのは校内を歩き回っていた。屋上や校舎の裏、体育倉庫などを見て回る。しかし志保は見つからず、途方にくれ始めていたとき、ひろのは見覚えのある小さな人影に出会った。
 マルチだった。手にノートパソコンを持ち、微笑みながら歩いている。すると、彼女も相手に気がついたのか、ひろのの方に寄ってきた。
「こんにちわですぅ、ひろのさん」
「あぁ…こんにちわ、マルチ。そうだ…志保を見なかった?」
 ひろのはマルチならあるいは何処かで志保を見たのではないかと思い、聞いてみた。
「はわ?志保さんですかぁ?…そう言えば今日は見ていませんですぅ」
「そう…」
 マルチは見た目はポケポケっとしているが、一応は高性能のコンピュータを搭載し、記憶は完全に残されている。そのマルチが覚えていないと言うなら確かに見ていないのだろう。
「…で、なにしてるの?マルチ。そのノートパソコンは?」
 ひろのが尋ねると、マルチは照れくさそうに微笑んだ。
「あぁ、これですか?これは充電中の待機端末ですよー。充電中は私の本体は動けませんから、この中に移って待機するんですぅ」
「ふぅん…って、研究所とかで充電するんじゃないの?」
「それが、今日はちょっと放電が大きくて、帰るまで持ちそうに無いので、学校で少し充電していきますぅ」
 ひろのは頷いた。大方、今日も「社会のゴミさん」掃除のために、派手にレーザーやスタンガンをぶっ放したのだろう。さっき校舎裏でそれらしき屍の山を目撃していたからだ。
「しょうがない奴…で、充電ってどこでするわけ?この辺マルチの教室じゃないだろ?」
「はい、図書館を使わせて頂いてますぅ。あそこは静かですから」
 ひろのはなるほど、と思ってから、今日図書館はまだ探していない事に気がついた。考えてみれば迂闊だった。志保は新聞部員で、よく資料調べで図書館に行っていたのを、「似合わない」と男の頃からかっていたのを思い出したのだ。
「そっか…図書館か。よし、マルチ、私も行くよ」
「はわ?」
 ひろのは何があったのかわからないマルチを促すように図書館に向けて歩き出した。

 東鳩高校の図書館は特別教室棟の一番端っこにある。設備は立派だが、場所が悪いのかあまり人は来ない。マルチが落ち着いて充電できる場所に選んだのも無理は無い話である。
 ひろのは図書室の本棚の影を探して回った。志保がよく利用していた地元史のコーナーや恋愛小説のコーナーを見ていく。
「…やっぱりいないか」
 十分もして、ひろのはがっかりした顔つきでマルチが充電している席へ戻ってきた。
「…マルチ?」
 ひろのはマルチの顔を覗き込んだ。もう充電に入ってしまったらしい。目を閉じて、手首から伸びるケーブルをノートパソコンと電源コンセントに繋いでいる。ノートパソコンの画面には、デフォルメされたマルチらしいマスコットキャラが画面にモップを掛けながら
「充電中ですぅ。しばらくお待ちください」
 と言っていた。
「しばらくは起きないか…マルチ、私は倉庫の方へ行っているから」
 聞こえているかどうかはわからないが、そう伝言すると、ひろのは図書館のさらに奥にある倉庫に足を踏み入れた。並べる前の本や、あまり利用されない辞典の類が収蔵されている場所だ。
「ここにもいなかったら…あきらめるか」
 そう独り言を言うと、ひろのは乱雑に本の積み重ねられた一角に入り込んだ。空気が少し埃っぽい。
「こっちは…いないか」
 五分ほど経った時、背後でドアの開く音がした。誰かが足早に近づいてくる気配がする。
「…マルチ?」
 充電が終わって、見に来たのかと思い、ひろのは背後を振り向いた。その瞬間、彼女の口を大きな手が乱暴にふさいだ。
「!」
 その手の主はひろのの手首を掴み、ねじり上げると本棚に叩きつけるようにして彼女の身体を本棚に押し付けた。
(…橋本…!?)
 ほんの一瞬だったが、ひろのの目はその男の顔を捉えていた。憎悪に歪んだ橋本の顔を。
「さっきは…よくも恥をかかせてくれたな」
 橋本がドスの利いた声で言う。
「下手にでりゃつけあがりやがって…たっぷりと先輩に対する礼儀を叩きこんでやるから覚悟しろ!」
 そう言うと、橋本はひろのの身体を床に投げ出した。
「…痛っ!」
 衝撃に息がつまり、一瞬意識がぼうっとなる。その上に、橋本のぎらぎらした目が覆い被さってくるようにひろのの身体を押さえつける。
「こうなったら…力づくでもお前に言う事を聞かせてやる」
 その声に、橋本がこれから自分に何をしようとしているのかを悟って、ひろのの身体が凍りついた。恐怖が心の奥底からこみ上げてくる。なんとか戒めをほどこうと、ひろのは必死に暴れた。
「やっ…いや、いやっ!!」
「うるせぇ!大人しくしろっ!」
 橋本がひろのの顔に平手打ちを食らわせた。ショックで身体が半回転し、制服のスカートがまくれあがった。ひろのの飾り気の無いシンプルな白のショーツがあらわになる。慌てて隠そうとするひろのの手を橋本は抑えつけた。
「へっ…安心しな。大人しくしていればこれ以上痛い目には遭わせねぇよ」
(あ…やだ、やだっ!!)
 ひろのは今や、完全に無力な少女になっていた。恐怖に縛られ、意識は必死に逃げようとしているのに身体が言う事を聞かない。
(なんで…どうして、こんな事に…)
 橋本の手が身体をまさぐっている。その感触がさらに彼女の意識を追い詰めていく。
(もう…だめ…)
 手がショーツにかかり、ひろのがぎゅっと目をつぶった時だった。
「あんたぁっ!?ひろのに何っって事してるのよぉーっっ!!」
 聞きなれた誰かの叫び声。次の瞬間、重い打撃音が響き渡った。
「ぐぁっ!?」
 うめき声と共に、橋本の身体が力を失い、ひろのの横に倒れこむ。
「…え?」
 ひろのは目を開け、自分を救ってくれたその人の顔を見た。手に、どうやら橋本の頭をぶっ飛ばすのに使ったらしい百科辞典を掲げ、荒い息をつく少女――長岡志保の姿を。
「し…」
「ひろの、大丈夫っ!?」
「し…ほ…志保ぉっ!」
 百科辞典を投げ出した志保の足に、ひろのはしがみついた。
「志保…志保ぉ…」
 ひろのは小さい子供のように泣いていた。悔しかった。無力な自分が。こんな男に反撃もできなかった弱さが。そして、嬉しかった。志保が自分を助けてくれた事が。
「大丈夫…もう大丈夫だからね、ひろの」
 昨日のお返しをするかのように、志保はひろのの頭を自分の胸に抱きしめた。
「ぐすっ…でも、志保、どうして…?」
 落ち着きを取り戻し、どうしてここへ来たのか、と言いたげなひろのに、志保は謝った。
「ごめんね…ひろの。あたし、どうかしてた。ひろのがあたしをあんな風にからかうなんて…そんな事あるはず無いのにね」
 そう言うと、志保は教室を出ていった後の事を話し始めた。
「屋上で…冷静になって考えて。ひろのに酷い事言っちゃったと思って…謝ろうと思ったんだけど、なかなか勇気が出なかったんだ…遠くにひろのの姿を見るたびに、あたし逃げ出してた」
 ひろのは志保に抱きしめられたまま、彼女の話を聞いていた。
「でも、それじゃいけないと思ったから、ちゃんと謝ろうと思って、他の人にひろのの行く先を聞いたんだ。そしたら、教えてくれたよ。廊下でひろのが橋本先輩のこと引っ叩いたって」
 志保は橋本に眼をやった。2日前の憧れの視線は今はもう無い。
「あたしの代わりに、橋本先輩に対して怒ってくれたって。嬉しかったよ…ありがとう、ひろの」
 そう言って、志保はひろのを抱きしめる腕に力を込めた。ひろののだらりと下げられていた腕に力が戻り、ゆっくりと志保の背中に回される。
「良いよ、もう。志保は私の事助けてくれたんだから…それでおあいこだよ」
「ひろの…」
 二人はゆっくりと立ち上がった。
「…ねぇ、ひろの。カラオケにでも行かない?」
「え…?」
 唐突な志保の言葉に、ひろのは目を丸くする。
「お互いにさ…嫌な思いをしたじゃない。思いきり歌って、遊んで…この何日間かの嫌な事、全部忘れちゃおう」
 志保の言う事の意味をかみ締めるに連れ、ひろのの顔に笑顔が戻って来た。
「うん…良いね。すごく良い。そうしよう!こんな馬鹿の事は忘れて!」
「朝まで歌うわよ!!」
「うんっ!」
2人は連れ立って図書館を出ていった。駅前に続く道に、夕日に照らされた2人の影が長く伸びていた。

――と、ここで終われば綺麗にまとまるのだが。

「…う?ここは…」
 橋本は目を覚ました。周囲は暗い空間に覆われている。そして、彼は自分が手錠を掛けられて天井から吊るされている事に気がついた。
「な…なんだ、これは…俺は確か図書館で…」
 はっきりしない記憶を辿ろうとした時、突然周囲に四つの灯りが出現した。
「うっ・・・な、なんだぁ!?」
 その4つの光源に照らされ、異様な人影が浮かび上がった。彼らは、制服で東鳩高校の女子生徒とわかるものの、その頭部は眼の部分にだけ穴をあけた真っ白なとんがり頭巾で覆われていた。正面に一人、左手に一人、右手に二人の計四人だ。
「な、なぜここにK○Kが…!?」
 橋本が思わず声を上げた時、左手に座っていた人物が訂正した。頭巾に黄色いリボンを結んでいる。
「○KK?違うわ。私たちはNHKのメンバーよ」
 よく見ると確かに「NHK」とかかれた腕章をしている。
「な…NHKだと?なぜNHKがこんなことを!うちはちゃんと受信料を払っているぞ!」
 理不尽な扱いに抗議した時、今度は右手にいた二人のうちの一人が言った。
「そのNHKじゃありません。<長瀬ひろの保安協会>…略してNHKです」
 そう言うと、その人物――頭巾のすそから淡いアッシュ・ブロンドの髪をたらしている――は最初に発言した左手の人物に言った。
「<リボン>さん…そろそろはじめましょう」
 すると、<リボン>は正面の人物に向き直った。
「では、始めて良いですか?<ウィッチ>先輩」
 とんがり頭巾の上から黒いとんがり帽子を被った<ウィッチ>がこくこくと頷き、<リボン>は話を切り出した。
「では、第一回NHK秘密裁判を始めます。裁判長はNHK会長である<ウィッチ>先輩。司会進行は私、<リボン>です。なお、被告である橋本先輩には黙秘、弁護人を呼ぶ、控訴、上告などの権利は一切認められていません」
「…な…!?」
 理不尽であった。少なくとも、橋本にとっては。
「では、橋本先輩の罪状について<ドール>ちゃんより報告があります。どうぞ」
 右手のもう一人…<ドール>と呼ばれた人物がたちあがった。耳の部分が妙に盛り上がっている。
「はわわ…では、報告しますぅ。今日の放課後、橋本先輩は図書館倉庫でひろのさんを襲いましたですぅ。その前に、廊下や校門前でひろのさんに嫌がらせをしたとの報告もありますぅ」
「な、何ぃ!?何故知られている!?」
 橋本は驚いた。あの部屋には充電中で止まっているメイドロボの一年生しかいなかったはずなのに。
「…という事だそうですが、どう思う?<ドルフィン>ちゃん」
 静かな中にも怒りを込めた<リボン>の声に、アッシュ・ブロンドの<ドルフィン>は一言で応じた。
「滅殺ですね」
「滅殺です」
 隣の<ドール>も頷く。
「そうだね。私も滅殺が適当だと思うよ…という事で判決を、<ウィッチ>先輩」
「…(滅殺です)」
<ウィッチ>が静かに決断を下した。それを受けて<リボン>が料理用のおたまと出刃包丁を持って立ちあがる。
「じゃ、やっちゃおうか」
「はい」
「はいですぅ」
<ドルフィン>の身体から不可視の力が漏れだし、<ドール>の右腕にいつのまにか装着されたドリルが回り出す。そして、五寸釘と藁人形を持った<ウィッチ>。
「な…や、やめろ!やめてくれ!!うっぎゃああぁぁぁぁぁ…」

 その晩、東鳩高校の近辺では謎の悲鳴が何処からとも無く聞こえ、生きながら地獄に放りこまれたかのようなその声は長く伝説として残ったと言う…

(つづく)

次回予告

 ひろのを襲った空前の危機は去った。しかし、絶後と言うわけではなかった。
 全てを奪われ、復讐に燃えるあの少女が遂に牙を剥く。物理的戦闘力を持たないひろのに抗する術はあるのか。ひろのを守るために葵が立ちあがる!
 次回、第八話
「ここで会ったが百年目」
 お楽しみに。
 予告と内容が違う可能性があるのはもはやお約束です。

後書き代わりの座談会・その7

作者(以下作)「…あれ、ひろのが来てないな」
?「ひろのちゃんなら志保と一緒に帰ったから来ないよ」
作「む、君は<リボン>。お疲れ様」
リボン(以下リ)「と言うわけで、代理のNHK書記、<リボン>です」
作「その…NHKなんだが、何時の間にできたんだ?全然知らなかったのだが」
リ「第二話の辺りから…かな?」
作「で、メンバーは今のところあの4人と」
リ「そうだね。本当はもう一人メンバー候補がいたんだけど」
作「誰?」
リ「葵ちゃん。<ナックル>っていうコードネームも決まってたんだけど」
作「ふむ。なんで誘わなかったんだ?」
リ「部活が忙しそうだから。同好会のままなら誘ったかも」
作「そっか…怖いな」
リ「ひろのちゃんを傷つける人は許さないの」
作「…気をつけよう。しかし、今回は最初と最後を抜くとギャグが無くて、ギャップが激しいな。私もまだまだ修行が足りない」
リ「前回が全面ギャグだったから、バランスを取りたかったの?」
作「そうかもしれない(笑)」
リ「まぁ…いいけど。あんまりひろのちゃんをいじめないでね。やりすぎたら作者でも…滅殺だよ」
作「…肝に銘じておきます」

収録場所:東鳩高校某所・NHK本部にて


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