※このお話の主人公、長瀬ひろのちゃんは、魔法で変身させられた浩之ちゃんです。
…ここまで来たらもうあんまり関係ないですが(爆)。


前回までのあらすじ

 ハイジャック、クマ脱走、覗きと、トラブル相次ぐ東鳩高校の修学旅行。しかし、ひろの以下の女子たちはそれらの苦難のすべてを乗り越えて旅を続ける。そして、ついに最後の訪問先、札幌を訪れる。果たして北の都に待つものとは…?

To Heart Outside Story

12人目の彼女

第十七話

「修学旅行へ行こう!C〜さよなら北の大地〜」

 北海道都、札幌市。北海道で、ひいては北日本地方で最大の都市であり、人口は百万を超えている。その一方で、開発が始まったのが明治2年(1869)というから、日本でも一番若い大都市でもある。
 その一角で、長瀬ひろのは困っていた。
「…どうしようかなぁ」
 物憂げな表情で呟くひろの。
「…道に迷っちゃったよ」
 話は二十分ほど前にさかのぼる。この日、自由行動で札幌に繰り出したひろの、あかり、志保、智子、レミィ、理緒の6人。しかし、土産物屋に気を取られた一瞬の間に、ひろのは他の5人を見失ってしまったのだ。
 そういう時はかえって、その場にじっとしている方が良いものなのだが、焦ったひろのは5人を探して土地勘の無い場所を当ても無く歩きまわり…見事に自分の現在地すら見失った迷子と化したのであった。
「ふぅ…困ったなぁ…」
 何度目かの溜息をつく。ここで、あいも変わらず自分の容姿が他人に与える影響について無頓着な事が、ひろのにとっての不幸だった。
 彼女くらい印象的な美少女が、憂い顔で溜息をついていれば、それを見る人々にどんなインパクトを与えるか…そこをもう少し考えれば、この後のトラブルは避け得たかもしれないのに。
「へい、そこの彼女ぉ。何を困った顔をしているんだい?」
 いかにも軽い、重みのかけらも無い声が上がる。
「携帯電話とかあれば良かったのに…」
 ひろのは声を意識せずに考えている。携帯電話の所持は自由な校風で知られる東鳩高校では唯一と言って良いくらいに厳しく制限されている事項の一つで、所持許可を得るにはかなり厳しい資格審査がいる。ちゃんと許可を取って持っているのは、芹香を含めて両手の指で余る程度の人数だろう。当然ながらひろのはその中には含まれていない。
 まぁ、志保のように無許可で持っている生徒もいるのだが、考えてみればひろのは志保の電話番号を覚えていなかった。
「おい、彼女ぉ、無視すんなよ」
 声が近くなって、そこで初めてひろのはその声が自分に向けられたものだと知った。
「え?」
 顔を上げると、そこにはいかにもチンピラ風の青年が3人ほど立っていた。真ん中がリーダーで、左右の一歩下がったところにいるのは子分らしい。
「なんだか困っているみたいじゃねぇか。どうしたい?なんでもお兄さんに話してご覧よ」
 ひろのはその顔と声に、親切さを装った下心を感じ取る。もともと、彼女は(その存在自体はともかくとして)常識的な人物であり、更に最近では上流階級に属する生活環境で暮らしている。
 この3人のような人間に対して、第一印象が良いはずも無い。ひろのは静かな声で答えた。
「いえ…なんでもありません。結構です」
 しかし、ひろのにとっては不幸な事だが、例えどんな答えを返そうと、3人がひろのを離そうとするはずが無かった。既に、彼女は狙いを付けられた存在だったのだ。
「なんだよ、人が親切で言ってるのにずいぶんな態度じゃねぇか」
 リーダーが色めきたった。子分たちもそれに同調する。
「そうだそうだ。せっかく兄貴が親切で言ってくれてるのに」
 3人組に囲まれながら、ひろのは冷や汗を流した。自分がどういう立場に追い込まれたか、この時ひろのははっきり認識していた。
(…ど、どうしよう…)
 さりげなく周囲に視線を走らせ、誰か助けを求められそうな人はいないか、と探してみる。しかし、周りの人々は彼女と3人組のやり取りが目に入っていないのか、それとも面倒に巻き込まれるのが嫌なのかは不明だが、こちらに興味を示す者は誰も居ない。
「おら、なにシカトしてんだよ、ねーちゃん!!」
 苛立ったのか、リーダーがひろのの腕を掴む。
「…痛っ…!」
 ものすごい力で腕を掴まれ、思わず小さな悲鳴を漏らすひろの。その姿は3人組の嗜虐趣味をそそるのに十分なものがあった。
「…や、やめて…くださいっ…」
 震える声で懇願するひろの。彼女にとっての一番の弱点は、「誰かに強引に迫られる」という状況に弱いと言う事だった。図書館で橋本に、東鳩ファンタジアパークで綾香に襲われた記憶がフラッシュバックし、逃げなければ、という思いに反してひろのの身体を縛り上げる。
 そして、彼女のそうした態度は、3人組の興奮をますます燃え立たせるための燃料にしかならなかった。何時の間にか、3人組はひろのを人目につかない路地の奥に連れ込んでいた。
「あ…や、やめて…」
 今や傍目にも分かるほどガタガタと震えているひろのの身体をビルの壁に押し付ける。その拍子に、ひろのの生徒手帳が落ちた。
「ほぉ…東鳩高校…?女子高生かぁ…良いねぇ…」
 リーダーはニヤリと笑った。
「へっへっへ…そんなに怖がる事はねぇよ。大人しくしていればたっぷり気持ちよくしてやるからな」
 リーダーの言葉が、これからひろのに対してどんな行為に及ぼうとしているかを雄弁に示し、それがまた更に強固な鎖になってひろのの身体を縛り付ける。
「お前ら、誰か来ないように見張ってろ」
「へい」
 子分たちに命じ、リーダーはその手をいやらしくうごめかせながらひろのの身体に伸ばしていく。彼の手がまさにひろのの胸に触れかけたその瞬間。
「ぐえっ!?」
「な、なんだお前ら…ぎゃあっは!?」
 子分たちの悲鳴が聞こえた。慌てて振り向くリーダーの目に、崩れ落ちる子分たちの姿が見えた。そして、その向こうに見える小柄な人影。
「な、なんだぁ!?」
 彼がその正体を見極めようと、ひろのの身体を放してそちらへ向き直った途端、彼の動きがぜんまいの切れた玩具よりも唐突に静止した。
「うぁ…?な、なんだ?身体が…!?」
 異変を悟って彼が声を絞り出した時、鈴を転がすような奇麗な、だが冷たさに満ちた声が聞こえてきた。
「長瀬先輩を酷い目に会わせようとする人…滅殺です!」
 同時に、リーダーの身体が再び動き出した。ただし、自分の意思に反して。
「必殺、<殺意の波動>三の位、<渦潮>!!」
「な、なんだ、身体が勝手にねじれて…うげえぁ!!」
「ひっ…!?」
 ひろのは息を呑んだ。リーダーの身体が目に見えない力でねじられるように有り得ない方向に曲がっていき、遂に彼は白目を剥き、泡を吐きながら卒倒した。助かったのは確かだが、非常に恐ろしい光景だった。
 それよりも、ひろのはリーダーが倒れる前に聞こえてきた声に聞き覚えが合った。そして、子分たちを倒した人影に見覚えも。彼女は叫んだ。
「琴音ちゃん、葵ちゃん、マルチ!そこにいるの!?」
 その声に応じるように、3人の人影がすっと現れた。
「ひろの先輩!大丈夫ですかっ!?」
「長瀬先輩、間に合ってよかった!!」
「もう大丈夫ですぅ。社会のゴミさんは片づけたですぅ」
 そう、それは紛れも無く東鳩高校に残っているはずの琴音、葵、マルチの1年生3人組だった。3人は走り寄ってくるとてんでにひろのに抱き付いた。
「な、なんでみんながここに?」
 3人の頭を抱きかかえてやりながらひろのが尋ねると、琴音がにっこりと笑った。
「はい、先輩が凄く困っているって言う波を拾ったので、心配になって飛んできちゃいました」
 琴音が言うと、葵が後を続けた。
「私とマルチちゃんは一緒に連れてきてもらったんです」
「と、飛んできた…それに、連れてきてもらったって」
 ひろのは状況の不可解さに頭を抱えたくなった。琴音が詳しく語った状況は次の通りである。

 時間的には5分ほど前。今日は土曜日なので、授業は午前中で終了し、2年生がいない事から部活も行われていなかった。琴音、葵、マルチの3人は一緒に遊びに行く約束をしていて、駅前でウィンドウショッピングを楽しんでいた。
「うーん、この麦藁帽子なんてマルチちゃんに似合うんじゃないかなぁ」
「アンテナが引っかかっちゃいますよぅ」
 葵とマルチがにこやかに話しながら商品を見ている中、突然琴音が立ち止まった。
「…どうしたの?琴音ちゃん」
「…はわ?」
 琴音の様子がおかしい事に気がついた2人が自分たちも立ち止まり、琴音の方に向き直る。
「しっ…ちょっと、静かにして…」
 琴音は目を閉じ、じっとその場に立って何かに耳を澄ませるような素振りをしている。何かが聞こえるのかな?と辺りを見回す葵とマルチに、感じた「何か」を掴んだ琴音が言った。
「大変…長瀬先輩が危ない…。先輩がとっても困ってる」
「「えっ!?」」
 突然の琴音の言葉に戸惑う葵とマルチ。しかし、この2人も琴音の超常的な力は知っている。彼女の邪魔をしないように息を潜め、じっと琴音を見守る。やがて、琴音は目を開くと、2人に手を差し出した。
「葵ちゃん、マルチちゃん、長瀬先輩を助けに行こうっ」
「え?」
「た、助けに行くって…どうやってですかぁ?」
 琴音の真意が分からず、戸惑いを深める葵とマルチ。しかし、琴音は有無を言わさず2人の手を握る。
「良いから、私に任せて。長瀬先輩の事だけ考えていて…」
 そう言うと、再び目を閉じて精神集中に入る琴音。葵とマルチも訳が分からないながら、この不思議なクラスメイトの言葉を信じて目を閉じ、ひろのの事を考える。
(ひろの先輩…)
(ひろのさん…)
 3人の少女は輪になって手を繋ぎ、大好きな先輩の事を一途に思った。そして、琴音が叫んだ。
「先輩の場所…掴まえたっ!行くよ、テレポートっ!!」
 その瞬間、3人を不思議な感触が包み込んだ。そして、目を開けた時、3人の目に映ったのは信じられないものを見て硬直している2人のチンピラと、その背後の2つの人影――見知らぬ男と、そいつに抑え付けられているひろの。
「葵ちゃん、マルチちゃん、その2人をっ!!」
 全ての事情を察している琴音が見張り役のチンピラを指差す。言われるまでもなく2人は一気に飛び出していた。
「ぐえっ!?」
 葵の通背拳がチンピラAの腹に叩き込まれ、一撃でそいつを悶絶させる。
「な、なんだお前ら…ぎゃあっは!?」
 一瞬遅れて、マルチがどこからともなく取り出したゴル○ィオン・ハンマーが横薙ぎにチンピラBをぶっ飛ばす。
 そして、琴音の全身から放たれた「殺意の波動」が巨神の剛腕のようにリーダーを捉えていた…

「…と、言うわけなんです」
 琴音が話し終わると、ひろのは驚いたように言った。
「す、すごいね…もうそんな力が使えるんだ」
 ひろのにとって琴音の成長ぶりは葵のそれを越えるほどの目覚しいものがあった。まさか、1000キロ近い距離を超え、しかも2人も同行者を引き連れて瞬間移動してくるとは思わなかったのだ。
…まぁ、普通は思わないだろうけど。
「それにしても、ひろの先輩、どうしてこんな所に?神岸先輩や長岡先輩と一緒じゃなかったんですか?」
 葵が尋ねてくる。そこで、ひろのはみんなとはぐれた事や、その後このチンピラに絡まれた事情を話した。聞き終わる頃には、3人の顔は怒りで真っ赤になっていた。
「許せない…<瞬獄殺>にしておけばよかったわ」
「崩拳でも足りなかったかも…」
「パイルバンカーを使えばよかったですぅ」
「とりあえずトドメ刺しときましょうか」
 口々に物騒な発言をする一年生3人組。
「ちょ、ちょっと…3人とも…それはいくらなんでも」
 その恐ろしげな発言に、思わず止めに入るひろの。いくらなんでもこの3人を殺人犯にするわけには行かない。
…もう死んでるかもしれないけど。
 3人はちょっと不満そうだったが、ひろのが言うなら、と3人を跡形も無く抹消する作業を止めた。
「ところで、今日は札幌でしたよね、長瀬先輩」
 琴音の言葉に、ひろのは頷く。
「うん…そうだけど」
「じゃあ、私が先輩を案内してあげます!」
 琴音が元気いっぱいに上げた声に、ひろのは驚いて聞き返した。
「琴音ちゃんが?」
「ええ。あれ?言ってませんでしたっけ?私、北海道出身なんですよ」
 琴音は自身たっぷりに言った。正確には函館出身なのだが、もちろん札幌にも足を運んだ事があり、名所旧跡の案内くらいはやってみせる自信がある。
「それじゃあ…お願いしようかな」
 ひろのが言うと、琴音は目を輝かせた。
「はいっ!喜んでっ!!」
 続いて葵とマルチも同行を申し出る。何しろ、東鳩市へ帰るには琴音の超能力で連れていってもらわなければならないので当然だろう。
 こうして、ひろのは琴音の案内の元、札幌市内の観光を続ける事になった。

 ひろのたちが路地を立ち去ってから数分後…
「んなっ!?に、二代目っ!!しっかりして下さい!!誰にやられたんですか!!竜神会の連中ですか!?」
「と、東鳩高校の女子生徒が…ぐふっ…」
「二代目ーっ!!くそ、東鳩高校の女子生徒!!東鳩高校の女子生徒を捜せ!!」
 などと言うドラマが繰り広げられた事はひろのたちの想像の埒外にあった。

 一方その頃、ひろのとはぐれてしまったあかりたちはおろおろしていた。
「あうぅ〜ひろのちゃ〜ん。どこに行ったの〜?」
 おろおろするあまり、マルチ化してしまったあかりが半泣きで辺りを見回している。
「困ったわねぇ。連絡手段が無いし…」
 志保が溜息をつく。
「心配ですね…知らない街で迷子になるなんて」
 と理緒が言う。しかし、智子、レミィは事態を楽観視していた。
「まぁ、大丈夫やろ。いざとなったらホテルに戻るっちゅう手もあるんやし」
「ヒロノももう子供じゃないんんだカラ、何とかするヨ」
 札幌での宿は、市内にある22階建ての大きなシティ・ホテル。これも来栖川系列だ。地下鉄の駅からも近いし、余程の方向音痴でもない限りちゃんと帰ってこれるはずだ。
「…そうね。ここでじっとしていても仕方ないし」
 志保も同意し、5人だけで観光を続ける事に決めた。まだ泣いているあかりの襟首を掴み、ずるずると引き摺って行こうとする。
 しかし、残念ながら…彼女たちは観光を続ける事はできなかった。なぜなら…

 さらにまた別の場所。
「ふぅ…」
 豊平川にかかる橋の上。一人アンニュイな表情でたたずむ少女がいた。
「綾香と遠く離れた今、チャンスだと思っていたのに…」
 そう呟くのは、坂下好恵嬢、16歳。彼女はこの旅行で心に期した目標があった。それは、ひろのをゲットする事。
…懲りない娘さんである。
 とは言え、彼女の最強のライヴァルたる綾香が東鳩市に残る今、この旅行はひろののハートを掴む絶好の機会であるはずだった。しかし…
 クラスの違いとは、意外にも大きな壁であった。何しろひろのは2−A、好恵は2−Dであり、常に一番離れた場所にいる。
 ハイジャック騒ぎの時は、ひろのたちの席とは違う区画にいたため、事態解決になんのリアクションも起こせなかった。
 クマ騒動の時は、彼女がクマ牧場へ向かうゴンドラに乗る前に騒ぎが勃発し、ゴンドラが運行停止したために、やっぱり何のリアクションも起こせなかった。
 そして、何よりも手強かったのが、噂に聞くひろのの影の護衛、NHKこと長瀬ひろの保安協会の<リボン>と名乗る謎の人物だった。
<リボン>と初めて遭遇したのは、函館のホテルで好恵がひろのの部屋に侵入を試みた晩の事である。
「…ここまでは…良し」
 消灯時間から数時間後、草木も眠る丑三つ時に行動を起こした好恵は、気配を完全に断ってそっとひろのたちの部屋に接近していた。侵入さえできれば、あとは誰にも悟られずにひろのをさらって逃げる事は、好恵の能力を持ってすれば容易い事である。既に空き部屋がある事も彼女は確認済みだった。フロアごと借り切っているため、人数の関係で空き部屋が出てくる事を彼女は知っていた。
「あとは、そこに連れ込みさえすれば…」
 とにかく、既成事実(爆)さえ作ってしまえば後はどうとでもなる。本来、好恵はこう言うやり方を好む人物ではないが、「綾香にだけは負けたくない」と言う想いが、彼女にこの手段をとらせていた。
 しかし…
「ちょっと待って」
 突然聞こえてきた声に、好恵は跳びあがらんばかりに驚愕した。全く気配を感じなかったのだ。あわてて振り向いた好恵は、相手のその異様な格好に更に驚く。
 ラブリーなピンクのくま柄のパジャマ。しかし、頭には黄色いリボンを巻いたとんがり頭巾を被り、右手にはおたま、左手にはフライパンを引っさげている。
「お、お前はっ!?」
 好恵の誰何に、謎の人物は静かに応える。
「長瀬ひろの保安協会書記、<リボン>。ひろのちゃんには指一本触れさせないよ」
 好恵は構えを取りつつ、<リボン>の力量を推し量る。
…できる。
 好恵は唸った。世の中綾香や葵以外にも強者はいるものらしい。
「ならば…力ずくで押し通るまでよっ!」
 好恵は言うなり、神速の蹴りを<リボン>へ向けて放つ。しかし、翻るフライパンがその一撃をくわんっ!という音を立ててブロックした。<リボン>がおたまで反撃してくる。咄嗟にガードする好恵。ぱこんっ!という音を立ててその一撃は防がれた。
(やはり、やる!!)
 好恵は思った。だが、倒せない相手とも思えない。本気を出して<リボン>を打ちのめそうと考えたその時、階下から声が聞こえてきた。
「なんだ、今の音は!」
 先生たちの声、その瞬間、好恵は<リボン>の狙いを悟った。敢えて大きな音を立てる得物を使う事で、先生たちの介入による勝負無しを目論んでいたのだ。
「くっ…勝負はお預けよ!」
 そう言い残し、好恵は自室に向かって走る。<リボン>もすぐにかき消すようにいなくなった。
 その後も、<リボン>の巧みな妨害のため、好恵がひろのに近づく事はできないままだった。まったく、思わぬ伏兵がいたものである。
「ふぅ…」
 この数日間の徒労を思って、またしても好恵が溜息をついたその時だった。背後から知らない男の声が聞こえてきた。
「おい、そこのおねいちゃん」
「…?」
 好恵は振り向いた。自分がナンパなどされるタイプではない事は知っている。はたして、ナンパの用で来たものとは思えない柄の悪そうな3人組がそこにはいた。
「何か御用かしら?」
 好恵が言うと、その3人組のリーダー格と思しき男が折りたたみナイフを取り出して言った。
「大人しく来てもらおうか。いやだって言うんなら痛い目に会ってもらうぜ」
 好恵は何かがおかしい、と思った。昼間っからこういう連中が出るのもそうだが、金を出せと言うわけでもないらしい。何が目的なのか…
(…私の身体とか?)
 実は空手で引き締めたスタイルには自信のある好恵。身長174p、スリーサイズは上から89、60、87。今のところ綾香に勝てる数少ないポイントだ。
(…空しい)
 そう考えるとちょっと悲しくなる好恵だった。
(まぁ、それはそれとして、身体目当てとか言うわけでもないようね)
 好恵は3人の目を見て取った。その手の奴等なら、目がいやらしく光っていたりするものだが、そういう感じでは無い。一体何が目的なのか不明だ。
(目的はともかく…喧嘩を売って来た以上は容赦は不要ね。ちょっとばかりストレス解消に付き合ってもらいましょうか)
 好恵はこの3人をぶっ飛ばして、うまく行かないひろのゲット作戦の憂さを晴らす事にした。まこと不幸なのはチンピラばかりなりである。

 そして、2分後。
「さて…なんで私を襲ったのかしら?」
 好恵は首根っこを掴んで宙にぶら下げているチンピラCに尋ねた。
「た、助けてくれ!落すのはやめてくれ!」
 足をじたばたさせるチンピラC。彼の足元には地面が無かった。かわりに、10メートルほど下に輝く豊平川の水面。そう、好恵はチンピラCを橋の欄干を越えて吊り下げているのだった。
 ちなみに、他の2人は既に数百メートル下流を漂っている。
「素直に事情を話してくれたら落さないわ。さ、どうなの?」
「い、言います!言うから助けてぇ…」
 チンピラCが話す事情を聞くうちに、好恵の顔色が変わった。
「な、何ですって!?こうしちゃいられないわ!!」
 好恵はチンピラCを放り捨てると、彼が川に落ちていく悲鳴と水音を背に走り出した。連中の言った事が本当なら…
(ひろのさんが危ない!!)
 危機感にかられ、突風を巻き起こす勢いで走り去る彼女を、何も知らない札幌市民たちが驚きの目で見ていた。

 さて、当のひろのはすっかり観光を終えて、琴音たちと一緒に地下鉄の駅からホテルへ向かっていた。
 選んだ観光名所はクラーク像でおなじみの羊が丘や、藻岩山展望台などのメジャーどころに、琴音おすすめの地元Jリーグチームを祭った神社などを見て回った。残念ながら、同じ様な場所を回るはずのあかりたちには再会できなかったが。問題と言えば、楽しさのあまり門限を少しオーバーしそうなところだろう。
「そろそろホテルか…ありがとう、琴音ちゃん。色んな所に行けて楽しかったよ」
 ひろのが言うと、琴音は真っ赤になって首を横に振った。
「と、とんでもないです!長瀬先輩のためだったらこれくらいなんでもありません」
 その健気な言葉に、おもわずひろのは琴音の頭を撫でる。それをマルチが羨ましそうな顔で見ていた。
「それじゃあ、そろそろお別れだね。来週は学校で会おう」
 ひろのがそう言って、1年生3人組に別れを告げようとした時、葵が首を傾げながら言った。
「なんだか様子が変ですよ、ひろの先輩」
「え?」
 ひろのが葵が指差すホテルの玄関の方を見た。何やら先生たちが集まって深刻な様子で話をしている。門限破りを掴まえるにしてはおかしな様子だ。
「…どうしたのかな?ちょっと待っててね」
 ひろのは1年生トリオに言うと、小走りに先生たちの方へ向かって走っていった。
「只今戻りました。遅くなってすみません。どうかしたんですか?」
 ひろのが挨拶をすると、先生たちが驚いた目でひろのを見た。
「長瀬!お前一人か?一緒にいた神岸や長岡達はどうした?」
「いえ…その、途中ではぐれてしまって」
 木林先生の質問にひろのが答えると、先生たちはまた深刻そうな表情になった。
「実はな、門限を過ぎても帰ってこない女子が50名近くいるんだ。お前と同じ班は5人全員だ」
「え?まさか…」
 ひろのは信じられない、と言うように首を振った。智子がいる限り、門限を間違えるなどと言う初歩的なミスをするとは思えない。
「だろう。保科がいるから安心だと思ってたんだが…」
 木林先生も同じ感想を抱いていたらしい。その時だった。
「ひろのさん!無事だったのっ!?」
 背後から大声が聞こえた。驚いて振り向くひろのの目に、息を切らした好恵の姿が映った。
「さ、坂下さん…?一体どうしたの?それに、無事だって…」
 ひろのが尋ねると、好恵は息を整えながら答えた。
「そ、それが…うちの女子生徒がヤクザをぶっ飛ばしちゃって、それでヤクザが仕返しに目に付いたうちの女子生徒を捕まえているらしいのよ」
 びしっ!!
 ひろのは凍り付いた。自分でぶっ飛ばしたわけではないが、心当たりがあり過ぎた。
「さ、坂下!それは本当かっ!?」
 驚く木林先生に、坂下ははっきりと頷いた。
「はい、私も襲われまして…返り討ちにした相手から聞き出した話なので多分間違いありません」
 この坂下の答えに、先生たちはパニックに陥った。
「あああ…何てことだ!!」
「こんなトラブル続きの旅行は始めてだ!何かの呪いかっ!?」
 しかし、そんな先生たちを後目に走り出した人物がいた。
 ひろのだった。
「あっ!長瀬!どこへ行くんだ!?」
 木林先生の問い掛けに、ひろのは大声で答えた。
「決まっています!みんなを助けないと!!」
「な、何を言っているんだ!戻ってこい!!」
 先生たちの制止の声を聞かず、ひろのはホテルの敷地を飛び出していった。
「長瀬さん!どこへ行く気?」
 そこへ、好恵が走って追いついてくる。ひろのは怒鳴った。
「坂下さんまでつまらない事を聞かないで!みんなを助けに行くに決まってる!!」
「…場所、分かるの?」
「あ」
 ひろのは立ち止まった。何も考えずに飛び出してきたのは良いが、よく考えればどこに行って良いものかさっぱり分からない。好恵は苦笑し、ひろのの肩を叩いた。
「私が知ってる。さっき聞き出したから。案内するわ」
 その頼もしい言葉に、ひろのの顔が輝いた。
「本当!?ありがとう、坂下さん!!」
 久々に必殺「1000万ドルの笑顔」が炸裂。好恵はその威力に鼻血を出しそうになったが、辛うじてこらえる。
「た、大した事じゃないわ」
 そう好恵が答えた時、パタパタと言う足音が三つ響いてきた。
「私たちも手伝います!ひろの先輩、好恵さん!!」
「そうです!この一件わたしたちの責任でもありそうですし…」
「置いてけぼりはいやですぅ」
 言わずと知れた葵、琴音、マルチの3人だった。
「あ、葵?あなたどうしてここに」
 驚く好恵に、葵は言った。
「事情は後で。とりあえず先へ進みましょう」
「…そうね。葵がいれば百万の味方を得たようなもんだわ」
 好恵が答え、5人に増えた一同が走り出そうとすると、さらに新手が出現した。
「ちょっと待った!!僕らも行くよ!!」
 振り向く5人の視界に、雅史、矢島、垣本以下の2−A男子一同がいた。
「そうだな。女の子たちだけに行かせるわけには行かないぜ」
 矢島が言う。彼らは手に例の土方刀だけでなく、もうちょっと本格的な木刀やその他の武器になりそうなものを握っていた。
「まぁ、この間の覗きのお詫びがしたいんだそうだ。連れていってやってくれよ」
 垣本が身も蓋も無い事を言ったが、ひろのは親指を立てて歓迎の意を表わした。
「ありがとう、みんな。見直したよっ!よし、行くよ!!」
「「おおうっ!!」」
 一同が鯨波の声を上げる。かくして、後々まで「札幌の討ち入り」の名で語り種になる戦い…と言うか一方的虐殺は始まった。

 その頃、札幌最大のヤクザ、北波組。古風な日本邸宅の構造を持つその内部では、捕まった東鳩高校の女子生徒たちが広間に押し込められていた。ひろのとはぐれたあかり、志保、智子、レミィ、理緒もその中に混じっている。あかりとレミィは人外の力を持つとは言え、それを発揮できる条件が限られている。ヤクザには対抗できなかった。
「ちっ…この中にはあの女はいねぇな…早く捕まえてこい!」
 そう言って荒れているのは、琴音の「殺意の波動・渦潮」で全身ぞうきん(腕をねじる「ぞうきん」攻撃のパワーアップ版)を食らったあのチンピラリーダー。実は、この北波組の二代目、つまり跡取りであった。
「今、若いモンに飯を食わせてます。そうしたらもう一遍出します」
 若頭の一人がそう答えた。
「で、この娘たちはどうするんで?」
 別の若頭がいやらしそうな目で言うと、二代目は答えた。
「そんなもん好きにすりゃいいだろ」
「へへへ、そうこなくっちゃ」
 このやり取りに、女子達は震え上がった。
「えうぅ…やっぱり贅沢した罰が当たったんだわ〜」
 泣きべそをかく理緒を抱きしめて、あかりが慰めるように言った。
「大丈夫よ…きっと助けが来てくれるから」
 あかりには確信があった。ひろのが必ず近くまで来ているはずだと。
 屋敷中に爆音が轟き渡ったのはその瞬間だった。

 時間を遡る事一分ほど。ひろのたちは北波組屋敷の正門近くに来ていた。見張りらしいチンピラ2人が退屈そうに立っている。
「よーし、マルチ。手加減は抜きだよ。思い切りやっちゃいなさい」
「はいですぅ。任せてくださいですぅ」
 ひろのの言葉に、いつになく大掛かりな「社会のゴミさん掃除」への期待に胸を膨らませるマルチが、必殺のマルチハイパー・バズーカを取り出した。
「ふぁいあーですぅ!!」
 同時に、垣本のパスしたサッカーボールに、右から雅史が飛び込みながら叫んだ。
「海猫バスター、ドライブ回転バージョン!!」
 バズーカ砲弾と、弾丸のようなねじり回転を加えてそれに匹敵する威力を与えられたサッカーボールが、見張りの反応を遥かに越える速度で正門に突入。大爆発を起こした。もうもうと上がる煙の中、完全に吹き飛んだ門に向けて、東鳩高校の生徒たちが殺到する。
「いっけぇ!突撃、突撃ぃ!!」
「やっちまえ!!」
 男子たちは慌てて飛び出してきた数人のヤクザを取り囲み、数に物を言わせて一方的にタコ殴っては抹殺する。さらに、坂下と葵が併走しながらあたるを幸いヤクザたちをなぎ倒す。
「五の位、<激流>っ!!」
 琴音が振るう<殺意の波動>が石狩川の急流の勢いでヤクザどもを吹き飛ばし、マルチのバルカン砲から吐き出される弾丸の豪雨が死神の大鎌のようにヤクザの隊列を刈り取った。突入からわずか1分足らずで北波組の戦力は壊滅する。単位時間辺りの打撃力では戦術反応弾もかくやと思われる、東鳩高校の人外たちであった。
「な、何だ!何があったんだ!!竜神組の出入りかっ!?」
 慌てふためく二代目。最近抗争中の対立組織かと思ったのだが、相手はもっとタチが悪かった。ばぁん!という音を立てて、広間の襖が蹴破られる。
「ひろのちゃん!」
 あかりが叫んだ。1年生トリオに守られたひろの、続いて表のヤクザを始末した男子生徒たちが続々と出現する。
「ひろのちゃん、来てくれるって信じてたよっ!」
 立ち上がったあかりに、若頭の一人が襲いかかる。
「何してやがる、勝手に動くなこのアマ!」
 しかし、所詮その辺のヤクザなど、ひろのの到着によりハイパー化したあかりの敵ではなかった。
「邪魔!」
 ごばんっ!
 あかりのフライパンがボンズのバットも真っ青の勢いで振り抜かれ、若頭Aは人型に天井を、屋根をぶち破って舞い上がり、数秒の弾道飛行の後に庭の池に落着した。
「ひろのちゃん、怖かったよぉ…」
 ひろのに抱き付くあかり。常識的にはあかりの方が余程恐ろしかったが、ひろのは構わずあかりを抱きとめて頭を撫でてやりながら叫んだ。
「みんな、表はもう大丈夫。逃げるよ!垣本君誘導お願い!!」
「よし来た!」
 ひろのの指示の元、木刀を振りまわす垣本が誘導し、女子生徒たちが表へ脱出していく。
「あ、畜生、てめえら待ちやがれ!」
 若頭Bが拳銃を抜いて制止しようとしたが、それよりも早く響き渡った銃声と共に、彼の手から銃が弾き飛ばされる。
「ロシアの銃もなかなかネ!」
 レミィの仕業だった。あかりにぶっ飛ばされた若頭Aの遺品を拾い上げたものらしい。
「さァそこのアナタ、さっさとEscape or Die? 好きな方を選ぶネ」
 レミィに銃を突き付けられ、若頭Bは慌てて逃げ出した。縁側から外へ飛び出す…が、そこは池だった。派手な水柱が上がり、彼もまた結局、同僚と同じ道をたどった。
 その間、ひろのは二代目と対峙していた。
「やっぱり、あの時のチンピラ!」
 目を吊り上げたひろのに、二代目はたじろいだ。
「あ、あのお嬢ちゃんか…何モンなんだてめぇ…」
「…ただの女子高生」
 ひろのは答えた。まぁ、人脈と誕生の秘密を除けば、彼女は普通の女の子とさして違いはないだろう。周囲は人外だらけだが。
「ち、畜生!ただの女子高生をナンパしたくらいでなんでこんな目に会わなきゃならねぇんだ!!」
 二代目的には魂の叫びだっただろう。だが、ひろのにとっては勝手極まりない言い分だった。
「ナンパ!?あれは明らかに乱暴する気だったでしょうがっ!!」
 ひろのが言い返すと、その一言に怒りゲージが一気にMAXに達した少年少女達が立ち上がった。
「ひろのちゃんに乱暴っ!?」
「なんだと!?許さんッ!!」
「滅殺、滅殺、滅殺ですっ!!」
 怒号飛び交う中、あかりが出刃包丁と菜切り包丁を取り出し、マルチが全兵装を起動。レミィが銃を構え、琴音が<殺意の波動>を噴き出させ、葵、好恵、雅史の闘気が爆発する。
「あ」
 ひろのはちょっとまずい発言をしたかな、と思ったがもう後の祭りだった。
「崩拳っ!!」
「極の位、<瞬獄殺>っ!!」
「海猫バスター、シュート千本バージョン!!」
「おーる・ふぁいあーですぅっ!!」
「Shoot!Shoot!!Shoot!!!」
「夢想転生ッ!!」
「刀削魂っ!!」(さて、どれが誰の技でしょう?)
 ちゅどーん!!
「ぐわあああぁぁぁぁぁぁ……」
 単独でも戦車を粉砕し、合わせれば戦艦をも撃沈する威力を持つ人外七連コンボが炸裂した。二代目が悲鳴の尾を引きながら宙高く飛んで夜空のお星様になり、衝撃波は屋敷を跡形なく粉砕。不毛の荒野へと変えた。
 こうして、手を出してはいけない人間に手を出したばっかりに、札幌最大の暴力団であった北波組はこの世の中からきっぱり滅び去ったのであった。ひろの争奪戦…それはもはや一般人の介入する余地など無い戦いなのだった。
 ちなみに、目撃者の証言にもかかわらず、ヤクザが高校生の殴り込みで全滅したなどと言う話が信じられるわけもなく、北波組の壊滅は何らかの事故として処理された。

 さて、翌日。この日は、もう東鳩市に帰るだけの日である。千歳空港発羽田行きの紅空308便に乗り込んだ東鳩高校二年生一同+αは、いっぱいのお土産と思い出を胸に抱いて、東鳩市への帰路に就いた。
「大変な旅だったなぁ…」
 ひろのは眼下に広がる北海道の大地を見ながら言った。既に機は離陸し、一路南へ向かっている。
「全くやね。気の休まる暇も無い、っちゅうんはこういう事やな」
 智子が相槌を打った。実際、これほどアクシデントが続きながら最後まで旅行を続けた事自体が奇蹟的でさえある。
「でも、良い思い出になったよね」
 と答えるのはあかり。足元には本場のくまグッズを詰めた紙袋が2つもある。
「まぁ…あかりは思う存分くまとひろのに触れたからそれで良いのかもしれないけど」
 志保が苦笑する。
「でも確かにホッカイドウは良いところだったネ。また来たいヨ」
 レミィが屈託の無い笑顔で言うと、理緒が頷いた。
「昨日の自由行動の後半、どこにも行けなかったもんね」
 すると、前の席から顔を覗かせた人物が言った。
「あ、それじゃあ今度来る時は私がガイドをやりますね」
 琴音だった。昨日、力を使い過ぎてテレポートができなくなったので、一緒に帰る事にしたのだ。
「その時は是非誘って下さいね!」
「わたしも行きますぅ」
 同じく同行組の葵とマルチも言う。
「う〜ん、ま、そのうちまたね」
 9人の少女達はいつかまた北海道に行く事を約束し、今は北の大地を後にするのだった。

…しかし、肝心の北海道側では立て続けに起きた大事件の裏に見え隠れする「東鳩高校」の4文字に対する恐怖が長く尾を引き、数年間は修学旅行のたびに厳戒体制が敷かれたと言う事である。

(つづく)

次回予告

 旅の疲れも加わってか、風邪を引いてダウンする理緒。弟の誕生日に何とか流行のゲームをプレゼントしてあげたいと言う彼女の健気な願いに、ひろのは理緒がしているバイトの肩代わりを申し出る。しかし、ひろのを待っていたのは予想を越えるハード・スケジュールであった。
 次回、第十八話
「ひろののアルバイト日記」
 お楽しみに。
 もうしばらくは何も壊しません(爆)。

後書き代わりの座談会・その17

作者(以下作)「いやぁ、ようやく修学旅行編が終わったなぁ」
ひろの(以下ひ)「…一体どれくらいの被害が出たんだか」
作「TFPの時ほどはひどくないはずだ。完全破壊したのヤクザの屋敷くらいだし」
ひ「いや…ほら、風評被害とかあるじゃない」
作「確かに、クマ牧場なんかはそうかもな」
ひ「まぁ、死人が出なかったのが不幸中の幸いかな?」
作「行方不明者は出たけどな」
ひ「あの二代目ね。別にいいけど(冷淡)」
作「どうせ名も無いモブだ。問題ない(鬼)」
ひ「トータルでは、かなり予想より被害が少なかったね」
作「いや…私の計算では最初からこの程度だった」
ひ「北海道沈没とか、焦土化とか、第七師団壊滅とか、凄い予想はいっぱいあったのにね。いくらなんでもそれはないと思うけど」
作「いや…登場する全人外キャラ集めたらそれくらいはアリかもしれない」
ひ「…マジ?」
作「マジ。そのうちジャイア○トロボの十○衆とか九大○王みたいにあだ名がつく勢い」
ひ「…こわ(汗)」
作「暇な方は是非人外該当キャラのあだ名を考えてみて下さい。ではまた次回で」

収録場所:羊が丘展望台クラーク像前


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