※このお話の主人公、「長瀬ひろの」ちゃんは魔法で女の子に変身してしまった浩之ちゃんです…が、最近作者もそれを忘れそうです(爆)。


前回までのあらすじ

 北海道への修学旅行に出発したひろのたち東鳩高校二年生一同。函館行きの飛行機がいきなりハイジャックされるというとんでもないピンチに陥るも、駆けつけたセバスチャンによってハイジャッカーは駆逐され、危機は去った。しかし、旅行はまだまだ続く。果たして北海道の大地でひろのたちを待つものとは…

To Heart Outside Story

12人目の彼女

第十五話

「修学旅行へ行こう!A〜くまチック・パーク〜」


「いやぁ…最初はどうなることかと思ったけど」
「函館山の夜景はよかったよね」
「あ、見て見てみんな、あそこにキタキツネの親子がいるよっ!!」
「やーん、かわいいーっ!!」
 賑やかな声が響き渡るバスの車内。のっけから飛行機がハイジャックされるというピンチを切り抜け、修学旅行を続ける東鳩高校二年生一同は、初日・二日目の函館観光を無事に終え、次の目的地である登別に向かっていた。
 なお、ハイジャック犯を駆逐した立役者であるセバスチャンだが、飛行機が函館に降りた直後から姿を消していた。警察の事情聴取にも、機長や乗客たちは決して真相を話すことはなかった。
 誰にだって、この目で見ても信じたくない事の一つや二つはあるのだ。
 ただ、ひろのだけは夜になってホテルから家に電話してみた。

『…はい、来栖川家別邸です』
 真帆が電話に出た。
「あ、真帆さん。おじいちゃん帰ってますか?」
 ひろのが聞くと、真帆は朗らかな声になって言った。
『あ、ひろのちゃん?大変だったわね。セバスチャンさんならもう帰ってきてるよ。かわろうか?』
「あ、だ、大丈夫です。ただ、おじいちゃんには私は大丈夫だから、とだけ伝えてもらえますか?」
 セバスチャンに代わられると、なかなか離してくれないのは確実だったので、ひろのは慌ててそれを断った。
『そう?わかった。じゃあ、楽しんできてね』
 電話が切れた。
「…どうやって帰ったんだ…?」
 ひろのは考えた。
@別の飛行機に捉まって帰った。
A津軽海峡を泳いで渡り、東鳩市までは走って帰った。
B気合一発、瞬間移動。
 だんだん怖い考えになってきたので、ひろのは考えるのを止める事にした。
「まぁ、おじいちゃんならどれを使ってもおかしくないけど…」
 ひろのはそう思ったのだが、さすがにどれも無かった。セバスチャンが超人的なパワーを発揮するのは、あくまでもひろのや来栖川姉妹がピンチに陥った時のみである。そのへんの事情はNHKのメンバーをはじめとするひろのを取り巻く人外の者たちに共通する点でもあったが。
 従って、セバスチャンが帰るに際して使った手段は、YAL217便まで連れていってもらった息子の操縦するリアジェットであった。が、事件が終わると同時に去ったヒーローたるセバスチャンはいろんな意味で伝説となり、彼が去った手段もひろのが考えたように脚色されていくのだが、それはまた別のお話である。

 ともかく、大きな事件に巻き込まれたとは言え、ハイジャッカーに殴られた木林先生が軽い怪我をしただけの東鳩高校一同は旅を続けることになり、ハイジャックの恐怖の反動か、普段よりもハイテンションなノリであった。そして、とりわけハイテンションな人間が今、ひろのの隣に座っていた。
「なんだか、すごく楽しそうだね、あかり」
 ひろのは言った。さっきから隣に座っているあかりは満面に溶け崩れそうな笑みを浮かべている。今朝からずっとこの調子だ。
「だってひろのちゃん、くまだよくま。本物のくまが見られるんだよ。私これが一番楽しみだったんだから」
 あぁ、そうか…とひろのは思った。あかりの大好きなもの、それはくまである。ぬいぐるみにシャープペン、携帯電話のストラップとあかりの身の回りのファンシーグッズは例外なくくまで固められているといっても過言ではない。
 そして、今日の見学地には有名な観光地であるクマ牧場が含まれている。あかりがひろのに抱きついているときくらい舞い上がった状態になるのも無理はなかった。
「あかりってば本当にくまが好きねぇ」
 志保が親友の浮かれっぷりに苦笑する。そこへレミィが言った。
「ベアならアタシも好きだヨ」
「え?宮内さんも」
 同好の士発見、とばかりに色めきたつあかり。しかし、レミィの「好き」の理由は一味違っていた。
「ウン、昔ダッドとアラスカまでグリズリーをハンティングしに行った事があるヨ。3日がかりで地元の人が『オーロラ・ジョー』と呼んでた1トンオーヴァーのビッグゲームを仕留めた時は、心のそこから震えたネ」
 そのときの興奮と感動を思い出し、夢見るような瞳で言うレミィ。好きなのは熊じゃなくて熊狩りちゃうんかい、とかなりの人数が思ったが、あえてツッコむ者は誰もいなかった。
「…そりゃすごいね…」
 感想に困ったひろのは言った。宮内父娘のハンティング、どうやらただの趣味のレベルではないらしい。
「へ〜、良いなぁ。そんなに大きなくまがいるんだぁ」
 そして、あかりの受け取り方もやはり少しずれていた。舞い上がっている人間なんてそんなものである。
「皆さん、そろそろクマ牧場に到着しますよ〜」
 バスガイドさんがマイクを握って言った。あかりの笑顔がますます大きくなり、ひろのたちは苦笑しつつ降りる準備を整え始めた。

「ふ〜ん〜ふふふ〜ん♪」
 ニコニコ笑顔のあかりの鼻歌がゴンドラの中に響き渡る。クマ牧場は台地状の小高い山の上にあり、麓の駐車場から6人乗りの高速ゴンドラが出ている。ひろの、あかり、志保、智子、レミィ、理緒と班がちょうど6人なので、このメンバーでゴンドラに乗っていた。
「ねぇ、あかり。何でそんなにくまが好きなの?」
 志保が尋ねる。どうやら、それはあかりを除く5人全員の共通の疑問だったらしく、5人はあかりの答えを聞こうと身を乗り出した。
「うん、昔浩之ちゃんがはじめてプレゼントしてくれたのが、くまのぬいぐるみだったの。だから、それ以来ずっと」
 あかりは明るく答えた。が、今度はあかりとひろのを除く4人がなぜか沈みこんだような表情になった。
「…どうしたの?」
 ひろのが聞くと、志保がしみじみという感じで呟いた。
「ヒロか…いま、どうしてるんだろう」
 レミィも言った。
「病気…良くなったのカナ?」
「藤田君はなんだかんだで目立つ人やったからなぁ…早う良うなってくれるとええんやけど」
 と、これは智子。
「ずっと面会謝絶なんですよね。心配です」
 理緒も言った。ひろのは胸を衝かれたような気持ちになった。かつて「藤田浩之」だった自分が今の姿…「長瀬ひろの」になってしまってからもう2ヶ月以上になる。自分はもう今の境遇に慣れかけてしまっていたが、かつての自分を心配してくれている人が少なくとも4人いるのだ。
「あぁ、ひろのは知らないんだっけ。ヒロって言うのはひろのが転校してくる前にいた男子なんだけどね…」
 志保がひろの自身である「藤田浩之」について説明をはじめる。いらない、というのも変なので、ひろのは黙って志保から見た浩之の印象を聞き続けていた。
「…でさ…とにかく人の話を聞かないヤツだったわけよ。あたしの仕入れてきたニュースを聞く前からデタラメだって決め付けて」
 ひろのは妙に神妙な表情で、志保が語る自分の悪口に耳を傾けていた。男のころなら反論して口げんかをするところだが、先日の援助交際疑惑払拭での活躍など、志保の隠された面を見るようになってからは志保の事を大いに見直していたので、黙って聞く気になったのだ。
「そんな…それじゃ藤田くんが悪い人みたいじゃないですか」
 なぜか代わりに反論役に回ったのは理緒だった。
「そうだヨ。ヒロユキはナイスガイね。アタシに廊下でぶつかられても、自分のことはさておきアタシのことを先に心配してくれたし」
 レミィも弁護役に回る。
「でもなぁ、ちょっとお節介焼きすぎなところもあったで。私がいらんって言うても、無理やりプリントの半分を持っていったりなぁ。たいした量やなかったのに」
 と智子が言い出した。すると、さっきまで盛んに浩之の悪口を言っていた志保が急にそれまでと違うことを言い出した。
「確かにね。でも、そういうのをイヤミなくやれるのがヒロのすごいところだったんじゃないかな」
 その志保の言葉に、智子、レミィ、理緒がうなずく。ひろのはどう反応していいのかわからず、黙って彼女たちの自分の思い出を聞いているしかなかった。
「ま、ヒロの事だから、そのうち何事も無かったようにひょっこりと帰ってくるかもね」
 志保がそう言って浩之談義を締めくくった時、ゴンドラは鈍いショックと共に、山頂の駅に到着した。そこには、デフォルメされた可愛らしい熊のイラストが描かれたアーチがあり、「クマ牧場へようこそ!!」という歓迎の言葉が記されていた。

 クマ牧場は本土の基準では考えられない広さを持った施設だった。メインのクマ園の他、今日の昼食が予定されているジンギスカン鍋レストラン、土産物屋、遊園地などが台地の上に点在しており、園内を走るシャトル・バスも運行されている。TFPの倍くらいの面積は有るかもしれない。
「うわぁ〜すっごぉ〜い!!」
 志保が歓声をあげた。確かに北海道の広さを実感する光景である。
「あー、一応注意しておくが、見学地はクマ牧場であって遊園地ではないからな。抜け出して遊園地に行ったりする奴は速攻で本土へ送還するからそのつもりで」
 木林先生がハンドスピーカーで注意する。生徒達が返事をすると、先生は肯いて出発の合図を送った。思い思いのグループを組んだ生徒達が、ぞろぞろとクマ牧場へ向かって歩いていく。
「いらっしゃいませー。クマ牧場へようこそ。ごゆっくりお楽しみください」
 正面ゲートをくぐった瞬間、ひろのの目の前に、パンフレットが差し出された。見ると、くまの着ぐるみがパンフレットを差し出している。ひろのはその着ぐるみのキャラに見覚えがあった。確か、「クマチュウ」という名前で、あかりのシャーペンもこのキャラのグッズだった。どうやら、ここのマスコットだったらしい。
「あ、どうも」
 お礼を言うと、ひろのはパンフレットを開いた。最初に挨拶がのっており、続いて園内地図。今いるのは正面ゲートで、真っ直ぐ行けばクマ山に出られるようだ。
「結構広いな…時間内に回り切れるかな?」
 ひろのがそういった時、後ろで悲鳴が聞こえてきた。驚いて振り向いたひろのの目に、信じられないような…いや、信じたくない光景が飛び込んできた。
「きゃーっ!いやーっ!!何をするんですかお客さぁんっ!!!」
「くまだぁ〜可愛い〜はにゃぁ〜ん」
 そこでは、さっきのクマチュウの着ぐるみを着たパンフレット配布係の人が、あかりに抱きつかれて困っているのが見えた。
「あ…あかり…何を…」
 ひろのにしてもそう絞り出すように言うのがやっとで、智子と理緒はずっこけて倒れていた。レミィは何がなんだか、と言う目で成り行きを見ている。
「何をやってるのよ、あんたって娘はぁっ!!」
 そこへ、すばやく接近した志保のツッコミがあかりの首筋に炸裂する。力なくぐにゃり、と崩折れるあかりを抱きかかえ、志保は、あはは、と笑って誤魔化しながら幾度となく着ぐるみの人に頭を下げ、速攻で逃げ出した。我に返ったひろのとレミィも、それぞれ倒れた智子や理緒を担いで逃げる事にした。

 そして、数分後。
「ったく…あかりのせいでとんだ大恥かいたわ」
「あはは…ごめぇん、志保。つい…」
 文句を言う志保にあかりが謝り、回復した智子と理緒は頭を抱えていた。
「あはは…ま、まぁいいじゃない。それより、早く先に進まないと時間が無くなるよ」
 仕方なく、ひろのは志保をなだめに割って入った。
「…そうね。時間も限られている事だし」
 志保は怒るのを止め、先頭を切って歩き出した。ひろのたち5人も後に続く。二分ほど歩くと、目の前に直径百メートルはあろうかという大きな円形の檻と、その中心にある高さ20メートルほどの小高い山が見えてきた。
「わぁ、熊がいっぱいいる!」
 理緒が叫ぶ。そう、それがクマ牧場の目玉である特大のクマ園だった。何頭ものクマ達が、思い思いの格好で寝そべったり、えさを食べたりしている。ここにいるのは北海道特産のエゾヒグマで、立てば人間の背丈を軽く越え、やわな立ち木くらいは一撃でへし折るパワーを持つ、日本最強の肉食獣である。
 しかし、そうやってクマ園の中でのんきそうな顔をして過ごしているクマ達は、確かに可愛らしさと愛敬を感じさせた。もっとも、クマ園と客を隔てる5メートル以上有りそうな高いフェンスと檻ごしに見ているからそう思うのであって、近くに寄ればまた違う感想が出てくるのは間違いない。
「へぇ、こりゃすごいなぁ」
 ひろのもその眺めに感心しながら、クマを観察した。日向で日光浴をしているもの、水浴び場に肩まで浸かってまるで風呂にでも入っているかのようなもの、なかなかに個性豊かである。その中に、ひときわ大きなクマがいた。ボスかな?と思っていると、そのクマがゆっくりとひろのたちのほうを振り向いた。
「ぷっ、あはははっ!!あいつ、クマチュウそっくり!!」
 志保が笑い出した。大きな体に似合わずつぶらな瞳のそのクマは、確かにマスコットのクマチュウそっくりだった。ひろのたちは知る由も無いが、このクマは「忠吉」と言って、このクマ園のボスであると同時に、まぎれもなくクマチュウのモデルだったりした。
「見て見て、あかり。あの大きなクマ、クマチュウそっくり…って、あかり?」
 横にいるはずのあかりに声を掛けようとしたひろのは、そこにいるはずのあかりの姿が見えない事に首を傾げた。と、その瞬間、周囲から悲鳴が上がった。
「た、大変だ!女の子が檻の中にっ!!」
 まさかっ!?と慌てて檻の方を見たひろのは、確かにそこに幼なじみの少女の姿を見た。いったいどうやって檻とフェンスの二重の囲いを突破したのか…謎であったが、それを追求している場合ではなかった。
「わっ、わわぁっ!?あかりぃ!!何やってんのっ!!」
 驚愕したひろのはあかりを呼び戻そうと慌てて声を張り上げるが、彼女には全く届いていない。
「クマチュウ…クマチュウだぁ…本物だぁ」
 至福の表情を浮かべ、ゆっくりと忠吉に近づいていくあかり。どうやら、忠吉の容姿を見てくま好きのリミッターが外れたらしい。
「…?」
 忠吉の方でもあかりに気が付き、彼女の方を見た。小柄な人間の少女。クマに対して脅威を与えうる存在ではないはず…だった。
「クマチュウ…クマチュウ…」
「…!?」
 しかし、忠吉は恐怖した。無理も無い。最悪の麻薬患者に近いトリップ状態にある今のあかりの姿は、同族が見ても言い知れぬ恐怖と言うか、「こいつに近づいてはいけない」と言う本能的な警告を受け取らざるを得ないものだった。人間より野生の勘に優れたクマがそれを感じないはずが無い。
 凍り付いたように動けない忠吉に、ついにあかりの間合いが接触する。
「クマチュウ〜〜〜〜!!!!」
 一気に忠吉に抱き着こうとするあかり。その瞬間、生存本能が恐怖に打ち勝った。飛び込んでくる脅威に対し、一撃で鹿をも仕留める威力を持つ忠吉の張り手が振り下ろされる。
「あかりーっ!!」
「神岸さん!!」
 少女達の悲鳴が上がった。だれもが、あかりの無残な最期を思い浮かべた。しかし…
「いや〜ん、クマチュウ〜!」
 あかりは忠吉の張り手をあっさり見切り、忠吉に抱き着いていた。とろけそうな笑顔を浮かべながら、忠吉の毛皮にほお擦りしている。
 忠吉は呆然としていた。必殺の一撃をかわされ、「敵」に懐に飛び込まれたのである。長年ボスとして君臨してきた彼の、初めての敗北。その瞬間、忠吉の緊張は限界を突破した。
「…」
 彼は気絶し、仰向けに倒れた。見ようによっては、あかりが忠吉にタックルを食らわせて押し倒したようにも見える。どよめきが上がった。「クマチュウ」が気を失ったとも知らず、その巨大な肉球をぷにぷにとつついて楽しんでいたあかりだったが、山のかげからこっちを見ている無数のクマに気が付く。
「クマチュウ…クマチュウがいっぱい…」
 忠吉を存分に堪能したあかりは、次なるターゲットに向かって動き出した。
「……!!」
 慌てたのはクマ達である。最強無敵のボスを一蹴した、恐るべき存在が彼らの方に向かってくるのだ。
「…!」
 まず、若い一頭が逃げ出した。それにつられて、崩れるようにクマの群れがあかりと反対の方向へ逃げ出す。が、ここは大きいとは言え檻の中だ。逃げ道はない。外に出ない限りは。
 かくして、クマの群れはフェンスに殺到し、一匹では壊せないそれを破壊した。続いて、檻も。そこにはあかりではない普通の人間たちがいた。
「うわああああ!!クマが逃げ出したああ!?」
 逃げ惑う観客。それを追って…と言うつもりはないのだが、あかりから逃げるために走るクマ達。
 大暴走が今始まった。

「ええい、まったくあの娘は!!」
 叫ぶ志保。ひろの、智子、レミィ、理緒もあかりが向かっていったクマ山の反対方向へ向かって檻を回り込むようにして走っていく。すると、反対方向から悲鳴をあげながら人々が走ってくるのが見えた。
「クマが、クマがぁ!!逃げろぉ!!」
「え?」
 5人娘が人々が口々に叫びながら指差す方向を見ると、そこには檻をぶち破った十数頭のクマがこちらへ向かって走ってくるのが見えた。
「どひいいぃぃぃぃっ!?」
 肝をつぶした志保と理緒が慌てて逃げ出す。
「な、長瀬さん、これはあかんで!私らも逃げな!!」
 智子が叫んでひろのの服の袖を引っ張る。
「で、でも、あかりが…」
 ひろのが言うと、レミィがやはりひろのの反対側の袖を引っ張った。
「アカリなら心配ないネ。彼女はベアよりも強いカラ。それより、何か武器を手に入れないとアタシたちのほうこそアウトになっちゃうヨ」
 そう言って、智子と一緒にひろのの身体を引っ張って逃げる。その間、あかりが追っていったのではない方向へ逃げたクマたちは、脅威から逃れた安堵感と久々に檻の外へ出た開放感から、自らの野生を満足させる方向へ向かいだした。逃げた客が残していったジンギスカン鍋を漁る。自動販売機を破壊し、缶ジュースを空き缶ごと噛み潰して飲む。もはやあかりを探しに行くどころの騒ぎではない。
「あわわ、どうしよう」
 そこら辺で悲鳴が上がり、右往左往する人々の中で戸惑うひろのたち。すると、恐らくこうした非常時に備えてだろう。麻酔銃を持った職員達が駆け付けてくるのが見えた。しかし…
「皆さん、前を開けてください!麻酔銃を使用します!!前を開けてください!!」
 リーダー格の職員が叫ぶ。どうやら、人波が邪魔で撃てないようだ。その間に、クマはどんどん彼らの方に迫ってくる。やがて、限界に達した職員が悲鳴を上げて逃げ出した。それをきっかけに士気が崩壊し、残された職員達も慌てて逃げ始める。
「Oh!これは良いモノが手に入ったネ!!」
 その時、レミィが飛び出し、地面に置かれていた何かを掴んだ。それは、職員達が落としていった麻酔銃だった。
「み、宮内さん、何をする気なんや!?」
 智子が叫ぶ。しかし、レミィは何も答えずに麻酔銃を構えると、無造作に発砲した。空気銃特有の乾いた発射音が響き渡る。
 次の瞬間、先頭を行くクマがヘッドスライディングをするように地面に倒れた。幾重もの人波を縫うかすかな隙間を通して、レミィの麻酔弾はクマに命中していたのだ。
「す、凄い!?あれで当てるなんて!!」
 ひろのは叫んだ。まぐれでない事は、続く連射で明らかになる。レミィの神業的な射撃は狙いを過たず的確にクマを捉え、彼らを眠りの国へ誘う。やがて、ひろのたちへ向かってきた六頭は残らずレミィの麻酔銃によって倒された。
「す、凄いですね、宮内さん!!そんな特技があったなんて!!」
 理緒が言った。しかし、次の瞬間レミィの発した異様な声に彼女はすくみ上がった。
「フフフ、この感じネ…アタシが求めていたのハこのFeelingヨ…」
 顔を上げたレミィはさっきのあかりに似た麻薬患者のような空ろな、それでいて異様な生気に溢れた笑顔を顔面に貼りつかせていた。ひろの、智子、志保もその様子に凍り付く。
「HAHAHA!It's a hunthin time!!」
 そう叫ぶと、レミィは麻酔銃と麻酔弾のカートリッジを納めたケースを引っつかみ、人混みの中へ駆け込んで行った。やがて、遠くから銃声が響き始める。
「どうしたんや、宮内さんは…?」
 智子が呆然と呟くと、志保がぽんっと手を打った。
「そう言えば一度聞いた事があるわ。レミィって弓道部なんだけど、動く的を狙わせるといきなりハイになるときがあって、そういう時は百発百中だって」
「…マジ?」
 ひろのが言うと、志保は「うん、マジ」と答えた。
「…まぁ、飛んでいる飛行機に乗り移ってくる人がおる事を考えたら、そういう事もあるかも知れんね」
 智子が言った。どうやら、彼女もこの人外ワールドに慣れはじめているようだった。
「そんな事で良いんでしょうか…」
 と、これは理緒。彼女の中の「常識」はまだ崩れてはいなかった。
「とにかく…レミィのお陰でこの辺のクマはいなくなりそうだから、あかりを捜そう」
 ひろのは言った。クマがパニックを起こしたのはあかりが原因だから、彼女さえ何とかすればクマの暴走を止められる。志保たちも同意し、4人は一塊になって騒ぎの大きそうな方向へ歩き出した。

 進むにつれて、あたりはだんだん凄惨な状況を呈し始めていた。あかりに倒されたのか、レミィに撃たれたのか、それは定かではないが、園内のあちこちにクマが倒れている。
「…地獄ね」
 志保が言った。時々、遠くからレミィのものらしい銃声が響き渡る。倒れているのがクマではなく人だったら、これはもう完全に戦場の光景だ。しばらく進むと、道が二手に分かれており、そのどちらにもクマが倒れているのが見えた。
「銃声の方向からすると、左手の方は宮内さんの騒ぎやね。すると…」
「右の方にあかりが行ったのかな…」
 智子の言葉にひろのは頷いた。左手の方が倒れているクマの数が少なく、時々響き渡る銃声のペースから行くと、放っておいてもそっちはレミィに全滅させられるだろう。
「じゃあ、右に行こうか」
 志保が言い、他の3人は頷いて右手の道を進み始めた。その時だった。
「み、みんな!あれ…!!」
 理緒が叫びながら前方を指差す。そこには、一頭のクマが意識を取り戻したのか起き上がろうとしている光景があった。
「や、やばい!!一度引き返して…」
 そう言いながら振り向いたひろのは、背後の今来た道でも別のクマが目を覚まして身体を起こしているのを目撃してしまった。まさに、前門のトラ、後門のオオカミならぬ前門も後門も両方クマ。
「うるぅぅぅぅ」
 クマが唸りを上げた。どうやら気が立っているらしく、血走った目に口からはよだれを垂らしている。あかりに追い回されたのだとしたら、その気持ちは良く分かるなと全員が思った。しかし、彼が狙っているのは自分達だと思うと、相互理解もへったくれも無い話である。
「あわわ…ど、どうしよう、みんな!」
 理緒が震えながら叫ぶ。
「く、クマに遭ったら死んだふりって昔から言うけど」
 ひろのが提案すると、智子がそれを否定した。
「あかん!あの言い伝えは嘘や。クマは匂いで死んでるか生きてるか区別を付けるんや。そやから、死んだ振りをしても意味ない!!」
「マジでっ!?」
 志保が愕然とした表情で言う。そうしている間に、2匹のクマはゆっくりと攻撃の有効射程に入り込もうとしている。4人は身動きが取れないまま、抱き合うようにしてお互いを守ろうとするが、クマの前にそれがなにほどの力になるだろうか。
「も、もうだめ!!」
 4人がぎゅっと目をつぶった瞬間、高らかな叫び声があたりに響き渡った。
「必殺!!海猫バスターぁぁぁ!!」
 ひろのがあの技は、と思う間もなく、衝撃波を撒き散らして飛来したサッカーボールがひろのたちの正面のクマを吹き飛ばした。
「佐藤君!!」
 智子が叫ぶ。そう、そこには雅史が立っていた。公式戦では危険過ぎて使えない必殺シュートの破壊力は健在だった。
「長瀬さん!ここは僕に任せて!!」
 雅史が叫ぶ。しかし、ひろのには気にかかる事があった。雅史の技はボールあってこそ。海猫バスターでボールを使ってしまった今、雅史はもう一匹のクマにどう立ち向かうのだろうか?
「僕の事は心配ないよ!はやく行くんだ!!」
 動かないひろのたちに雅史がもう一度先へ進むよう促す。そこへ、残るクマが襲いかかった。しかし、流水のような動きで雅史はクマの攻撃をかわす。サッカーのフットワークの極みだ。そして、逆襲に転じる。
「たぁ!!」
 ボレーシュートの要領で放たれる横回し蹴りがクマの膝にヒット。思わずよろめくそのあごを、オーバーヘッドキックが捉えた。クマが吹き飛ぶ。
「すごいわね、雅史ったら…」
 志保が呆然と呟いた。
「どうやら、ここは佐藤君に任せて心配ないようやね。先に進もう」
 智子が提案した。
「あ。うん、そうだね」
 ひろのはうなずき、呆然としている志保と理緒を促して走り始めた。後方では、雅史とクマの戦いが続いていた。

 危機を脱した4人が更に先へ進むと、前方から何やら悲鳴が聞こえてきた。人の悲鳴ではない。クマのそれである。意を決した4人は頷きあうと、道の先にある広場に足を踏み入れた。
 どうやら、そこは一種の行き止まりだったらしい。噴水が中央にあり、道はその周りをぐるりと一周している。その更にまわりは芝生になっていて、無数のクマがそこに倒れていた。彼らはただひたすら自分を「可愛がりたい」という一心で暴走した一人の少女によって可愛がられ倒されたのだった。そう、くまジャンキー神岸あかりに。
「あ、神岸さん!!」
 理緒がある方向を指差す。全員の注目がそこに集まった。そこには、ひときわ巨大な体格の獰猛そうなクマと対峙するあかりの姿があった。
「クマチュウ〜」
 まだ、くまジャンキーモードは解除されていないらしい。その、クマにとっては天敵と言うより破滅の使者に近い存在たるあかりに堂々と立ち向かおうとしているのは、次期ボス候補の「カムイ」。親しみやすさと言う点では忠吉に及ばないが、その巨体はいかにも強そうで、さすが次のボスと言われるだけの事はある。
「…あかん、これは近づけんわ」
 智子が言った。一流武道家同士の試合にも似た、対峙する2人(と言うか、1人と1匹)の間に渦巻く気合の流れを、特に武道をやっている訳でもない彼女でさえ感じたのであろう。それどころか、エクストリーム部の活動でそういった光景を何度も目にしているひろのでさえ、感じた事の無い強烈な「気」だった。が、しばらくしてひろのはその気が二つの異なる気が混ざり合っているものだということに気がついた。
(これは…そっか、殺気…というやつだ)
 一つは一度ひろのも受けたことがあるため、すぐに見当がついた。また自分を恨んでいたころの好恵が、公園で自分に向けてきたものだ。クマの方はこれだけの仲間が倒されたにもかかわらず戦う気十分らしく、しきりに威嚇するように吼えている。殺気はそのクマから溢れ出していた。
(じゃあ、こっちは…?)
 もう一つの、奇妙な気の正体。それは、あかりから溢れ出していた。闘気や殺気のような、胸を締め付ける不快感をもたらすものではない。むしろ、感じているだけで自分まで心が浮き立つような、そんな「気」だ。しばらく考えているうちに、ひろのはその気の正体を知った。
(…はっ!?これはもしかして…「楽し気」っ!?)
 そう、朝からバスの中であかりが発し続けてきた「楽しい気持ち」が溢れ出していたのである。さっきから感じていた違和感が、殺気のもたらす不快感と楽し気のもたらす心地よさが同時に感じられることが原因だったと知り、ひろのは頭を抱えたくなった。
(そりゃあ、確かに「気」って言う文字が入っているさ。でも、これは何か違うんじゃないかなぁ…)
 ひろのがそう思っていると、ついに両者の戦いが始まった。
「グオオオオォォォッッッ!!」
 クマのカムイが先手必勝とばかりに襲い掛かる。さすがに、次のボスと言われているだけあって、戦意は旺盛だ。仲間たちがあかりにやられても、足手まといがなくなったくらいにしか考えていない。そうでなくても、忠吉より若い彼は確かにこのクマ園最強のクマに違いなかった。
 しかし、彼にとっての不幸は、あかりが「好きなもの」のためならいくらでも人外の力を振るってのける少女だったと言うことである。
「あ、やっぱりな…」
 智子が言った。カムイの一撃はあっさり宙を切り、あかりは彼の懐に飛び込んでその毛皮の感触を楽しんでいた。
「わぁ〜い、くまぁ〜」
「ウガァ!!」
 いきり立ったカムイが爪を振り回すが、もうそこにはあかりはおらず、今度は背中に回っている。必死の攻撃を繰り返すカムイと、それをかわして別の場所へ取り付くあかり。遠目には美少女とクマがダンスを踊っているような、そんなメルヘンな光景だったが、観客たる4人はちょっと脱力気味にそれを見ていた。
「す、すごいんですね…神岸さん…あんなにクマの攻撃をかわせるなんて…」
 理緒が感心した声をあげると、志保が首を横に振った。
「違うわ…あの娘は天然なのよ。あかりにとっては、クマは猛獣の「熊」ではなく可愛い「くま」でしかないの。だから怖くないのよ…」
 その志保の説明に、ひろのはうんうんと頷いた。非常にわかりやすく、かつ的確な解説だった。
「…ある意味恐ろしい話やね、それは」
 智子がそう感想を漏らしたとき、戦い…というよりはあかりの一方的な「くま可愛がり」は終わりを告げようとしていた。あかりの速さについていけず、目を回したカムイは力尽きてどうとばかりに地面に倒れたのである。
「終わった…ね。志保」
「うん」
 ひろのに目配せされた志保は頷いた。半ば夢見ごこちで倒れたクマの肉球にほお擦りしているあかりに近寄り、右手に取り出した黄金のマイクを持って振り上げる。
 こんっ!!
「きゅう…」
 クマとのひと時に満足したあかりは、人外の力を失った普通の少女に過ぎなかった。志保のマイクを受けて気絶したあかりを抱き上げ、ひろのは友人たちに言った。
「じゃ、帰ろっか。もうそろそろレミィも元に戻ってそうだし…」
 銃声が聞こえなくなったところを見ると、レミィのほうもクマを全部狩ってしまったに違いなかった。
「せやね。もう見学を続けられる雰囲気ちゃうし」
 智子も頷き、歩き出したひろのの後を追う。志保も続き、最後にあまりに常識はずれな光景に白くなっていた理緒が我に帰って走り出す。
「わぁ〜ん、置いて行かないでくださいよぉ〜!!」

 途中の道で、ここへ来る時にひろのたちを襲ったクマを倒した雅史と合流し、交差点まで戻ってくると、反対側から銃を担いだレミィがやってきた。
「ヒロノ、シホ、みんな、無事だっタ?」
 レミィが駆け寄ってくる。どうやら、幸いなことに「ハンター・モード」は解除されているようだ。ひろのは背負っているあかりを見せるようにして言った。
「うん、なんとかね。レミィのほうはどうだった?」
 ひろのが聞くと、レミィは麻酔弾のケースを開けた。36発入りのケースは5発を除いて空になっていた。どうやら狩りの成果は上々だったようである。
「これだけのターゲットがいるハンティングは滅多にないから、十分に楽しんだよヨ。ダッドが聞いたら、きっと悔しがるネ」
 レミィは屈託なく笑う。不幸なのはクマたちだった。いかに最強の生物でも、人外が3人もいたのではたまったものではなかった。
「さて、戻ろうか。そろそろいいかげん先生たちも心配してるだろうし」
 志保が言った。先生たちどころか、生徒やその他の見物客もとうに逃げ出しており、クマが全滅させられた今となっては園内に残っているのはこの7人だけである。もはや見るものもないもないので、7人はクマ園の出口へ向かって歩き始めた。すると、前方から猟銃を持った一団が走ってくるのが見えた。
「ま、まだ残っている人たちがいたぞ!!」
 一人が叫び声を上げ、彼らはひろの達の方へ向かって走りよってきた。
「おいっ、君たち!ここでクマが暴れているのを知らないわけじゃないだろう、早く逃げるんだ!!」
 リーダーらしい中年の男性が叫ぶのを聞いて、ひろのはおずおずと尋ねた。
「あの…あなたたちは?」
 これには比較的若手の男性が答える。
「われわれは地元の猟友会のメンバーだ。職員だけじゃ逃げ出したクマを捕まえられないと聞いて協力しに来たんだが…クマはどこだ?」
 それを聞いて、志保は今自分たちがきた方向を指さした。
「あっちのほうに、いっぱいいましたけど…」
 それを聞くと、猟友会の人たちは「そうか、ありがとう!」と言いながら走り去っていった。顔を見合わせるひろのたち。
「あ〜…どうしようっか?」
 クマが全滅しているの(死んではいないけど)を見て、どんな騒ぎが起こるかと心配したひろのが言う。
「知らん振りしているしかないね」
 智子が言う。まぁ、彼女の言うとおり、知らない振りをしていれば人外の存在を信じない世間のほうで勝手に解釈してくれるだろう。ひろのたちは今日の出来事について口をつぐむことを申し合わせ、足早にその場を去ったのだった…

 その夜、東鳩市、来栖川邸。
「次のニュースです。本日、北海道のクマ牧場でクマが集団脱走すると言う事件が発生し、一時園内はパニック状態になりました。しかし、連絡を受けた地元の警察、猟友会などが駆けつけたときにはすでに脱走したクマは全て眠らされており、警察では何が起きたのか事情を調べています。幸い、怪我人は無かったとのことです」
 ニュースを聞いていた当主の厳彦氏が、将棋の相手をしていたセバスチャンに聞いた。
「ほほう、クマ牧場と言えば今日ひろの君たちが行った所ではなかったかな」
「ええ、確か」
 セバスチャンは答えた。その意外にあっさりしたリアクションに、厳彦氏が尋ね直す。
「心配ではないのかね?」
 すると、セバスチャンは顔をあげた。
「はぁ…クマなら修行時代に何匹か仕留めたことがありますが…意外に美味でしたぞ」
「そ、そうか…」
 厳彦氏はセバスチャン的価値観ではクマなぞ狩る対象でしかなく、脅威とはみなしていないのだと気がついた。まぁ、怪我人も報告されていないのだから大丈夫なのだろう。
「それより大旦那様、王手ですが」
「うおっ!?」
 慌てて将棋盤に集中する厳彦氏。それっきり、ひろのの修学旅行に関する話題は忘れられてしまった。
 しかし、その頃。ひろのたちの宿泊先ではクマのそれよりも熱い男たちの暴走が始まろうとしていたのであった。

(つづく)


次回予告

 かつて、宇宙を征く英雄はこう語った。
「男には、負けるとわかっていても戦わなければならないときがある」
 と。
 それを知る男たちがここにいる。彼らの目的はそう、憧れの美少女たちの艶姿ただ一つであった。男と女、見たい者と見せたくない者、二つに分かれた東鳩高校生徒たちの激闘が今、幕を開ける。
 次回、第十六話
「修学旅行へ行こう!〜温セン・レッド・ライン〜」
 お楽しみに。
 予告と本編の違いよりも執筆ペースの遅さが気になる今日この頃です。


後書き代わりの座談会・その15

作者(以下作)「ふぅ、やっと上がったか」
ひろの(以下ひ)「遅かったね」
作「い、言わないでくれ。まぁ、色々あったんだよ」
ひ「確かにね。マシン故障したりしたし」
作「インターネットなんていまだに繋がらないしな…繋がらないADSLに、意味はあるのでしょうか(爆)」
ひ「こらこら」
作「いやまったく、モバイルマシンがあってよかったよ」
ひ「さて、今回なんだけど…予告だとすごくクマが脅威に見えるんだけど?」
作「最初はクマが脅威になるはずだったんだよ。でも、人外ばかりのこの学校でクマが何ほどの脅威になるだろうか」
ひ「それはまぁ、確かに」
作「予定違いと言えば、いぢわる三人娘をもっと出す予定だったけど…おろおろあたふたする役を理緒に取られちゃって、今回は出番なし」
ひ「気の毒に…」
作「次回は出してやれるといいけどね」
ひ「ところで次回は温泉の話と言うことだけど…」
作「そう、この話始まって以来の読者サービス連発の回になります。どうぞお楽しみに」
(ひろの、無言で作者を張り倒す)

収録場所:クマ牧場行きゴンドラ


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