この作品は、『さたびー』様のHPにある『りばーしぶるハート』を題材にした物語です。

日常の一コマとしてお楽しみくださいませ m(_ _)m



『外食に行こう♪』

第五話

〜そして夕食へ〜


作:スパイクさん

―前回までのあらすじと被害―


建造物等の被害

・キッチン=全焼……全面修理

・リビング=消火器の粉で真っ白……全面清掃

・寮の外壁=キッチン部分のみ真っ黒……一部補修作業&一部修理


人身被害

・長瀬 ひろの 『気絶・軽傷(たんこぶ)』

・相沢 祐香  『気絶』

・千堂 和希  『気絶・疲労(徹夜によるもの)』

・折原 美紗緒 『気絶』

・麻生 絵美  『無傷』


その他

・消防車一台出動

・特殊部隊出動(伝達ミス)

・病院での検査(念のため)

・お寿司の出前(混乱していた美紗緒が頼んだもの)

・ピザの配達(混乱していた祐香が頼んだもの)

・通販品「アブトロ○ック」(どさくさに紛れて(?)絵美が頼んだもの)



(筆:あれ?今回は誰もタイトルコールしてくれないのか……仕方ない、私がやるとするか)

(筆:えっと……りばーしぶるハート外伝『夕食を食べよう 第五話〜そして夕食へ〜』開始しますm(__)m)



〜寮のリビング〜

「はぁ〜」

 本日何度目だろう?治子はそう思いながらも再び溜息をついてしまうのであった。あの後、病院に運び込まれたメンバー達は、簡単な検査の後帰宅許可を貰い帰ってきた。

 すると、出前を持ったおじさんが「どこかで火災が発生して道が込んでいた。代金は要らない」と謝りながら品物を置いていった。どうやら、あのパニックで誰かが間違えて頼んだようだ。

 その直後、今度は宅配ピザが届いた。こちらも、「どこかで火事があったみたいで道が込んでしまい遅れてしまった代金はこちらで持ちます」と運んできた男が頭を下げてピザを置いていった。

(筆:それ以前に、このおじさんと宅配に来た男はこの家が焼けていた事に気付かなったのだろうか?)

 結局、(リビングが消化剤で真っ白なため)玄関で食事を取ることになった。みんな無言である。そんな中、意を決した美紗緒が口を開いた。

「む〜……ごめんなさい。」

「ごめんなさい……まさか、あんな事になるなんて解らなかったから」

「祐香ちゃんは悪くないよ〜あたしがやろうって誘ったんだよ〜」

「でも、あたしもみさの案に乗ったんだから同罪だよ。ううん、むしろ作業していたのはあたしなんだから、あたしの責任よ」

「違うよ〜作業の指示をしたのはあたしだから祐香ちゃんはそれに従っただけだよ〜」

 やがて二人は「自分がやった、責任は自分にある」という事で討論しだしてしまった。そんな二人を見かねた治子は、一つ呼吸を置いてこう言った。

「ねえ……二人とも、ちょっといいかな?」

 いきなり喋り出した治子に、祐香と美紗緒は叱られる覚悟を決めた。しかし、治子から出てきた言葉は意外な事だった。

「二人のね、「恩返しがしたい」って言う気持ちは良く伝わったわ。大丈夫、私たちは誰も怒っていないわよ。それより、二人が怪我一つ無くて本当に良かったわ」

 治子の言葉に驚いた二人だったが、次第に涙ぐんできて、最後は治子達に抱きついて声を出して泣いた。もちろん、みんなの心遣いや、自分達の意を汲んでくれたことに対する涙であった。

「さあさあ、冷めないうちにピザとか食べちゃいましょう」

 和希はみんなに呼びかけた。それに答えて、普段通りの楽しい食事の雰囲気に戻っていった。と、そんな時チャイムの音が玄関に鳴り響く。ここで思い出して欲しい。彼女達はリビングでの食事が無理なため今は玄関でお昼を食べている。

 そんな時訪問者が来たら、その人はどう思うだろうか?それを瞬時に悟ったひろのは、みんなに居留守をする意志を告げた。みんなもそれに同意して沈黙を続けた。やがて玄関から人の気配が消えると、急いで食事を食べ終えた。

 今回は鍵をかけていたから良かったものの、もしこの状態が見られでもしたらご近所中の笑いものである。

「でも、だれだったんでしょうね?」

 すっかり泣き止んだ祐香がそう呟いた。まだ目が赤いのが、元気は取り戻したようだ。

「む〜……ひょっとして他にも間違えて何か頼んだのかなぁ?」

 美紗緒もいつもの調子を取り戻しつつそう答える。もっとも、美紗緒の回答は半分は当たっているのだが、半分は外れている。実は、あのどさくさに紛れて絵美が通販を頼んでいたのである。

 しかも、なぜか噂の「アブ○ロニック」であった。先ほどの訪問者は通販を頼まれた宅急便の人であった。みんなが疑問を浮かべている中、無表情ながらも微かにニヤリとしていたりする絵美であった。

(筆:普通はどう考えてもそんなに早く配達されません)


「さて……と、そろそろ業者さんが来る頃ね」

 一番散らかっていない治子の部屋で全員休んでいると、和希が時計を見ながら全員を見渡してそう言った。

「業者……ですか?」

「そ、業者。本当は皐月さんに頼もうとしたんだけれど、お店に電話したら買い取り出張に行ったみたいで出ないのよ。仕方ないから修理とか業者さんに頼んで修理してもらう事にしたの」

 ひろのの質問に和希はそう答える。恐らく、皐月に頼めば一瞬で修理できたであろうが、不在であったので業者に切り替える事になった。

「そうすると……今日は寮に居づらいですね」

「そうね……っと来たみたいよ」

 治子と和希は修理に来た業者の対応のため玄関の方に向かってしまった。

「それじゃあ、私達はお茶を出す用意でもしましょう」

 ひろのの呼びかけに頷く学生メンバー。何故だろう?この中で一番年下のひろのが一番お姉さんに見えるのは。やはり一番苦労しているからだろうか?


〜リビング〜

 ひろの達がお茶を用意してリビングに向かうと、そこでは7・8人の作業服を着た男の人が必死になって修理に励んでいた。作業の頃合が良くなったのを見計らってひろのは声をかけた。

「あの、お茶とお菓子を用意しておいたんで良かったらどうぞ」

 その声に作業をしていた男達は頭を下げて嬉しそうにお茶を貰いに来た。が、最後の一人がお茶を貰おうとすると、親方みたいな人物が最後の一人の頭を叩いた。

「ばかやろう!!バイトはまだ休憩に入るな!!お前はさっき仕事を始めたばかりじゃねーか!」

 そういって再び頭をゴツイ握りこぶしで叩く。

「いてぇ!!」

 バイトと呼ばれた男は頭を抱えうずくまってしまった。それを不憫に思ったひろのは、男の頭をさすりながら「大丈夫ですか?」と声をかけた。近くにいた絵美も、濡れたタオルを叩かれた所にあててあげた。そんな二人の対応に、バイトの男は照れてしまった。

「ど、どうも……」

 辛うじて礼を述べるが、男はそれが精一杯だった。それを聞いたひろのと絵美はゆっくりと微笑んでいた。


「え?夕食は外で食べるんですか?」

 祐香の質問に、治子は頷いた。

「ええ、今日中に修理し終える代わりに、今日一日だけは外に出ていて欲しいみたい。」

 その言葉に沈みがちになる祐香と美紗緒だが、後ろからポンポンと肩を叩かれた。

「「千堂先輩?」」

「大丈夫だって。それより、今日はあたしの奢りだから、何でも好きなものを食べて構わないわよ」

 和希の言葉に目を輝かせる美紗緒。まぁ、外食なんてあまりしないから嬉しいのだろう。無邪気なものである。根本的に美紗緒は子供なのだろう。祐香も、そんな美紗緒につられて自然と笑っていた。

(ありがとうございます和希さん。今日は一杯ごちそうになりますね♪)

(構わないわよ。でも、治子だけ自腹を切ってもらおうかしら)

(う……そんな〜)

(嘘よ。う・そ♪)

 こそこそと喋る和希と治子。いつもは治子が仕切っているので、こう言うパターンは非常に珍しい。

「で、どこか食べにいきたいお店はある?」

 和希の問いに、美紗緒は思い切り手を挙げてこう言った。

「む〜『Milky way』がいいな〜」

「ぶッ」

 美紗緒の発言に飲んでいた水を吹き出す祐香。

「み、みさ……それは不味いって」

「どうして?祐香ちゃん?」

「だってほら」

 そう言って目を治子の方に向けさせる。すると、治子は持っていたコップを握りながら笑顔でこう言った。

「いい度胸ね美紗緒ちゃん……『Piaキャロット』のライバル店に行きたいだなんて♪」

 治子の顔は作り笑顔だった。そして目が……目が笑っていなかった。

「ゆ、祐香ちゃんどこかない?」

 無理矢理祐香に話を振る美紗緒。祐香も慌てた声でひろのに話し掛けた。

「ひ、ひろのちゃんはどこかないかな〜?」

「へ?わ、私ですか……えっと、その……千堂先輩お願いします!」

「ちょ!……えと……絵美ちゃん。何か提案は?」

「……『山葉堂』の『練乳蜂蜜ワッフル』」

「「「「「却下!」」」」」

(筆:さすがにそれは夕食にはきつ過ぎるだろう。それ以前に、食べるのが無理くさいぞ)

「あ!そういえば、この近くで最近人気のお店が雑誌に掲載されていましたよ」

 ひろのはそう言って部屋に戻っていった。暫くすると、一冊の雑誌を持ったひろのが戻ってきた。

「これです」

 そう言ってみんなに紹介されているページを見せる。

「へ〜何々?『大正浪漫の味をお作り致します』だって。ん、良いんじゃない」

 和希は賛成のようだ。

「そうですね……どこかで聞いた事があるキャッチフレーズですけれど、人気があるなら大丈夫でしょう」

 祐香もOKサインを出している。

「む〜……支配人さんの名前が『米田』だって……」

 美紗緒は着眼点が間違っている気がする。

「○激団?」

 絵美ちゃん……その発言は不味いです。

「みんなが良いなら、私は構わないわよ」

 最後の治子も賛成のようだ。

「じゃあ、この『桜大戦屋』で決定ですね♪」

「「「「賛成〜」」」


 最終目的地も決まり、いよいよ物語りも佳境へ向かうのであった。


 続いたね!!親父にも続けられた事が無いのに!!


あとがき


 いやはや……ようやくここまで辿り着きました。

 あ、前回「祐香と美紗緒がなぜ無傷なのか」発表するつもりでしたが、話の中のどこにも入る余地が無かったのでここで紹介しておきます。

 実は、彼女達のつけていたエプロンですが、皐月さんの魔術によって特殊加工されています。だから、キッチンが全焼しても二人はエプロンに守られて無事だったというわけです。

 さて、次回はいよいよ夕食を食べに行きます。でも、彼女達が何事もなく夕食を食べられるなんてありえませんよね。(笑)

 では……次回をお楽しみに〜


スパイクさんへの感想はこちら


管理人さたびーのコメント。


>・麻生 絵美  『無傷』

おお、何気に強いぞ絵美。

>・お寿司の出前(混乱していた美紗緒が頼んだもの)
>・ピザの配達(混乱していた祐香が頼んだもの)


 待て。本当に混乱していたのかこの娘さん達はっ!?(笑)

>・通販品「アブトロ○ック」(どさくさに紛れて(?)絵美が頼んだもの)

 絵美よ、それは必要あるのか、君に(笑)。

>何故だろう?この中で一番年下のひろのが一番お姉さんに見えるのは。

 まぁ、サイズの問題もあるかと思われますが(笑)。

>「……『山葉堂』の『練乳蜂蜜ワッフル』」

…あるんですか、山波堂(笑)。それはともかくとして、蜂蜜練乳ワッフルは実在するなら食べてみたいものの一つです。

>「○激団?」

 字違う(笑)。

>皐月さんの魔術によって特殊加工されています。

 なんとなく、普段からいろいろ物が壊されまくっているので皐月が安全のために魔法をかけているという光景が目に浮かびます(笑)

 さて、次回は夕食ですね。この調子で行くとまともに夕食取れそうも無いですが(苦笑)。あとはまだ出番の無い麻咲と皐月はこのままで終わってしまうのでしょうか?(爆)

 皆さんもスパイクさんにどんどん感想のメールを送って催促しちゃいましょう!!


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