―それは夕食後、自分の部屋でくつろいでいる時のことでした……―



「う〜〜〜〜ん……宿題も終わらせたし、明日のパーティー、楽しみだなぁ〜〜〜。それにしても、日香里ちゃんのお兄さんってどんな人だろう?」

そう思って布団で横になっていると……

「るき、明日ノ日曜ハ空イテイルカ?」
「う、うひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
いきなりのお師匠様のドアップに思わず悲鳴を上げてしまいました

「ヌゥ………」

「お、お師匠様!?いきなり表れないでくださいよぉ〜〜〜……」

「スマヌ……。ソレハソウト、明日ノ日曜ハ空イテイルカ?」

「?え?えっと……その………一応、5時までは空いていると……おもいます」

「ウム………ソレナラバ大丈夫ダロウナ」

「あの……お、お師匠様?」

「るきニハ明日カラ仕事ヲハジメテモラウゾ…」

「え、ええぇぇぇぇぇぇ……!!!!」

寝耳に水ですよ……

お師匠様………(そりゃ、仕事が近々あるとはいってましたけど(涙))





M.L.

作:ナイトメア

第3話 『初仕事は怪しい危険がイッパイ!?:中編』





…Side of 瑠輝…

「うわ………」

謎の白い迷路のような部屋には……

「女の子?」

そう、女の子が生きたままホルマリンのような容器の中に閉じ込められておりまして……

裸ではありませんが………

「何でメイド服やナース服とかなの?」

理由はわかりませんがキワモノ系の服装でした……

「う………ん……」
「?」

声が聞こえたので、声の発生もとと思われる手術室(?)らしき部屋を覗いてみると……

そこには……

「ふむ……今回は順調のようだな」

「ひぎゃ!ぐがぁ、あがぁ!」

壁にパイプやコードなどで繋がれて磔にされ(絵的にはかなりヤバイ格好です)、
ベコとか、ボギョとかスゴイ音を立てながら体が変形していく(元)男子高校生と、
それを薄笑いしながら見つめる白衣を着た紅い髪の蛇女(下半身が蛇)がいました

紅い…髪の……蛇女?

(まさか……あれがターゲットの『シーディア』!?)

そう思い、状況を静観するべく、静に其処から離脱しようとするも………

ドゴッ「はぅ!」

おもいっきりころんじゃいました

しかも何も無い所で(泣)

「誰だ!」

げ…

見つかちゃった!

あ、でも今のボクは『幽身隠法』で見えなくなっているはず………

でしたが……

「?誰も……!其処かぁ!?」「へ?」ザシュッ

「うひゃぁぁぁ」
ギリギリのところで避けたものの…、巨大なメスで上着を少し斬られて思わず叫んじゃいました

「!へ、あ、何で!?」
じゅ、術が解けてます!?

「成る程な……『隠密』系の術を使っていたとはな……………だがな…」

「何で?どうして?」

「妾には熱を感知する感覚があるからな。その程度の隠密術では姿を隠し切ることは出来ぬ」

ま、当に蛇ですね……

「……だが……」

う…
な、何だかシーディアさんが舐め付けるような眼つきでジロジロと観察してきました……
「ほぉ…これはこれは中々の上物だな……」

しかも、結構危ないことを言ってるよ……

(もしかしてボク、ピンチ?)

「大人しく捕まれば痛い思いは……するかもしれんな……」

「え゛」

確定みたい……

「い、いやぁぁぁぁぁぁーーーーーーッ」ドゴォッ!!!!!!!
「ぐほぉぉぉぉッ!!!!!!」
咄嗟に太腿部分に仕込んでおいたトンファーを抜き放ち、シーディアさん(推定)の腹部目掛けて打ち込んでしちゃいました

「ぐ、ふほぉ……が……お、おのれぇぇ…………」



と、そんなわけで今戦闘中です……



シュッ「ひぇ!」ガキィィン
シュッ「ふわぁ!?」
「でりゃぁぁぁぁぁぁッ!!!」グォ!「うひゃあぁぁぁぁぁぁ!?」

ボクはある時はトンファーで弾いて、またある時は紙一重で避けるなどして必死でシーディアさんの攻撃を避けています

「このちょこまかと………」

「はわわわわ………」

「ならば……」
シーディアさんの手元の巨大メスが一瞬、陽炎の如くゆれたかと思うと……

「覇ァッ!!!!」グヲォォォ!!!
蛇の如くうねる突きの瀑布が放たれてきました

「ひゃああぇぇぇぇぇ!!」
それをボクは何とか避けようとするものの

ザシュシュッ「はぅ!」
その突きの幾らかは避けきれずに肩や脇腹辺りを掠めてしまい

シュッタッタ「うぅ、痛いよぉ〜〜……って、えぇぇぇぇ!?」
何とか出血している脇腹を抑えて距離とるものの、ボクは何気に後ろを見て愕然としてしちゅいました

だって………

「か、壁が抉れてるぅぅぅ!?!?」

かなり深い所まで抉れてましたよ、金属製の壁が、ええ……

「く、妾の『蛇烈衝破』を受けてその程度だとはな………ならば!」
今度はメスで居合い抜きのポーズをとったと思ったら……

ブォン……

「ひゃ!?」
羽虫の飛ぶような音がした瞬間、ボクは反射的に身を屈めていました

すると……

シャキィン…ズズズ―――ン……「え……?ウソォ!?」

後ろの柱(?)が真っ二つに斬れちゃいました……

「『居合撃ち』をもかわすか………ふん、面白い………」

…………な、何だかシーディアさんの眼が燃えているようなのはボクの眼の錯覚なのでしょうか?


んでもって……


「をぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
「ひにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
今度は床が爆発しちゃっちゃたりなんかしてますよぉー!!

「『狙鋭轟破』まで避けきるとはな………」

いくら避け切れても、衝撃波とかでボクはフラフラになってますよぉ〜〜〜

「お次はッ!!」ガッ「!?」

?何か様子がおかしいですね?

ガッガッ「な!?ぬ、抜けん……」

あ、メスが床深くにまで突き刺さってます……

(いまだ!)
そう思ったボクは一次離脱しようと後ろに跳ぼうとしたんだけど……

ゴチッ

頭が痛いなぁーっと思った瞬間……

「きゅ〜〜〜〜……」
ボクの視界は真っ黒に…………

「…………あ、阿保か?(汗)」

それがボクの意識が無くなる前に聞いた最後の声でした………







…Side of Outside…

ゴチッ
「きゅ〜〜〜〜……」

後ろの突起のようなものに後頭部を打ち付け気絶する少女

少女の突然のドジに、紅い蛇の女は暫し唖然とするが……

「ま、まぁ、これで新しい得物も手に入ったことだし、良しとするか(汗)」

そいって少女に近づき、胸元より注射器を取り出し……

「途中で起きられると後々面倒だからな……麻酔でも撃っておくか…」

針を首に刺そうとするも……

「其処までにしておくんだな」

突然の声にそれを阻ま……

「!?」プス

れはしたが……

「「あ」」

おもいっきり少女・瑠輝の頭部に刺さる注射器………



再び気まずい空気が辺りに流れる





…Side of ???…

「其処までにしておくんだな」
何とか追いつき、先行していたルキ(推定)に何かしようとしていたターゲットを呼び止めたんだが……

「!?」プス

「「あ」」

オイオイオイオイ、おもいっきり注射器らしきものがルキ(多分)の頭上に刺さってるよ、ヲイ




何とか気を取り直してターゲット…シーディアに向かい合い……

「シーディア……悪いがあんたを捕縛させてもらうぞ」

「ちぃ!仲間がいたか………!」

「まぁ、さっき来たばかりだったわけだが」

「よくここが判ったな……」

「まぁ、入り口自体は見つけにくかったんだが……こうもドンパチ音がされちゃあ、見つけてくれと言っているもんだぞ?」
実際、入り口付近に少々人だかりが出来ていたんだけどね…(入り口自体は発見できていなかったみたいだけど)

「くっ……迂闊だったか……!(ニヤリ)」

シーディアはルキ(確定かな?)の方をチラリと見ると笑みを浮かべる
どうせ人質にでも取るつもりなのだろうが……

「甘いなッ!」ヒュッ
俺はシーディア目掛けてあるものを投げ付けた

ドゴォッ「がぁッ!」
そのまま奴はルキから離れた位置に転がっていき……

「もういっちょッ!」
俺は更に追撃にと、さっき投げたやつと同じものを投げつけてやった

「く……な、何……を!?って、く、『食い倒れ人形』ォォォッ!?!?!?」

そう、俺は『食い倒れ人形』を投げ付けていたのだ(それほど重くない奴だけどな)

理由は……特に無い(キッパリ)

「なめおっ…え?!」「黙ってろ…」
一気に間合いを詰め、愛用しているタイプのナイフをシーディアのメス目掛けて振り下ろす……が…

パキィン…
「な!?」「む!?」
メス諸共ナイフは砕けてしまった……

結構硬かったのね……あのメス………

「(く、メスを失ったか……だが)まだ私には尻尾がある」
力一杯長い尾が俺目掛けて振るわれるものの……

「まだ甘い」ザシュッ「ぐッ!」
砕けたナイフを瞬時に復元し、避けると同時に尻尾の中腹目掛けて突き刺した

「き、貴様!?まさか……『錬生術師』か!?」

「御名答」

俺は『錬生術師』

『金』を生み出すことを目指して生まれた『錬金術師』とは違い、

俺達『錬生術師』は『生命』を創り出すことを目指して生まれた者達だ……

まぁ、大部分は錬金術師や術師と同じようなことを生業としているけどな


「(このままでは部が悪い……)ならばッ!!(睨ッ!)」
突然、シーディアの眼が紅く光り……

「?」
何とも無かった……

「!?!?な、魔眼が……効かないだと!?」
やっぱ魔眼だったか………

「残念だったな」
この【七つ眼の仮面】は魔眼の効果を打ち消す力を持っているのだが………まぁ、俺の場合は顔を隠すためだけにつけているだけに過ぎないがな

「おのれぇぇぇ!」
逆上したらしいシーディアが飛び掛ってくるが……

「素材転送…再構成…装填……」ヂャキヂャキヂャキヂャキヂャキヂャキヂャキ…
何も無い空間に無数の剣呼び出し……

「起動(スタート)ッ!」
飛び掛ってくる奴目掛けて撃ちだした

「何!?ぐぁッ!」
シーディアは剣が当たる直前にガードするものの、防ぎきれず吹き飛び…

「まだまだ!起爆!Material Bombッ!!」
そのまま瞬時に剣を構成している物質を爆発物へと変換し……

チュドォォォォォン「がぁぁぁぁッ!」
爆破させた!!

シーディアは爆発に巻き込まれて更に吹っ飛ばされ……

ドンッ「ぐ……ぁ………」

あちらこちらに火傷の跡が見られるボロボロになったシーディアの姿が其処にあった…

だが、

「く、こうなれば……ぐぅッ!」
シーディアは自らの皮に爪を立て……

ベリッ「ハァハァ……」
一気に引き剥がした

「何?再生……だと?」

皮を引き剥がし終わったシーディアの体には、傷が消えており…

「ふ、ふふふ……そう、これが私の切り札の一部よ…」

……僅かではあるが、

体が縮んでいた……
(そう…何度も使えんだろうな………)


そうは思ったものの……

いくら何度も使えない再生技術であろうとも、厄介なことには変わりなく……

こっちも体力自体にはそれほど自信が無かったわけで……

「どうした?動きが鈍っているぞ?」

「……」

何度か打ち合いを繰り返す内にだんだん俺のほうが押され始めてしまった……

(持久戦になると流石に拙いな……)
などと思ってはいるが、状況をひっくり返す手段は無いわけではないで、奴の様子を見つづけていると……


―ドクン―

「「ん?」」

ルキの方から心臓が脈打つ音が聞こえ……

「……!?何だ?この感じは……」

全身が寒気に襲われる感じを受けた……




…Side of 瑠輝…

―…ドクン………―

アレ?ぼく?ドウシタンダロ?

―ドクンドクン………―

ナンダカ……

―ドクンドクン………―

カラダガアツイヨ………

―ドクン…ドクンドクン………―

ノドガカラカラダヨ………

―ドクンドクン…ドクン…ドクン……―

アアァァ…………スゴク、モドカシイヨ………

―ドクンドクン…ドクン…ドクン…ドクン…ドクン―

オキヨウカナ……

―ドクンドクンドクンドクン…ドクン…ドクンドクン―

イイヤ……オキチャオ……

―ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン―

ソレニスゴク……ア・バ・レ・タ・イ・シ、ホ・シ・イ・シ

―ドクン……―

イイヨネ?

―ドクン……―





…Side of ???…

ビクンッ
―ドクン―
「何?」「な、何だ?」

ルキの体が痙攣したかと思うと心臓の鼓動の如き音がアジト中に響き渡り……

「……何だ……何だこの感じはッ!?」「か、体が動かない!?」

俺は何故だか判らないが血潮が沸き立ちつつも血が凍るようなプレッシャーを感じ、
シーディアは全身が動かなくなったようだ……

そして……

「なッ!?」「あ、あああぁぁぁ………」

ルキは…………



「GRUAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」





続く





後書き

ども、ナイトメアです。

本来は瑠輝の初任務の話は1話か前編後編の2話で終わる筈だったんですが……長引いちゃいました。


管理人のコメント


 手がかりがないまま、学校内をさまよう瑠輝。ターゲットは発見できるでしょうか?

>理由はわかりませんがキワモノ系の服装でした……

 それは趣味だと思います(爆)。


>咄嗟に太腿部分に仕込んでおいたトンファーを抜き放ち、シーディアさん(推定)の腹部目掛けて打ち込んでしちゃいました

 瑠輝……小心なんだか大胆なんだかわからない娘です。この後、激しい戦闘シーンですが……


>後ろの突起のようなものに後頭部を打ち付け気絶する少女

 善戦していたのにこのオチは美味しすぎです(笑)。


>「其処までにしておくんだな」
>おもいっきり少女・瑠輝の頭部に刺さる注射器………

 前回ラストでの新キャラ颯爽と登場! と思いきや……やっぱ不幸ですね、瑠輝(爆笑)。


>何度か打ち合いを繰り返す内にだんだん俺のほうが押され始めてしまった……

 彼(?)も善戦はするものの、返り討ちか? と思われた瞬間……


>「GRUAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」

 どうやら瑠輝にはまだ秘密があるようです。でもその咆哮はメインヒロインとしてどうなのよ(苦笑)。


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