2004年 4月27日 セントアーク市 ゲートパーク地区
周囲には焼け焦げ、倒壊した家並みが広がっている。かつてはこの辺りも人々が幸せな生活を営んでいた町だったのだろう。しかし、今はただの廃墟だ。そこには生命の息吹は何も感じられない。しかし、鉄と火薬の嵐に荒々しくなぎ倒された街の中では、それでも多くの兵士たちが息を潜めて敵の襲来を待ちうけていた。
その街の周囲に広がっていた野原は、町並み以上に破壊しつくされた荒野と化していた。市街地中心部への突入を図る敵軍が、徹底的な砲撃を浴びせた結果である。埋設していた地雷はほとんどが吹き飛んでしまい、いまやそこには軍隊の進撃を押しとどめるものは何も無い。それは、街に篭る部隊にとっては不利な材料だったが、しかし司令部代わりになっている一軒の家の中では、それをものともしない空気が流れていた。
「佐祐理…残存戦力は定数の8割以上…戦闘に支障は無い」
「あははーっ、お疲れ様、舞」
硝煙と迷彩、そして泥に汚れてはいるが、美貌の女性であることが分かる二人の将校が会話を交わす。ここ、ゲートパーク地区…セントアーク外郭防衛線の一画を担う防御拠点を守備する中隊――無線符丁<マジカル>――の隊長である倉田佐祐理大尉と、副官の川澄舞少尉の二人だった。
「さて、砲撃は済みましたから、次はセオリーどおり敵が突撃して来ますね。総員、対戦車戦闘用意ですよーっ」
佐祐理の指揮官マニュアルを彼女なりにアレンジした命令を受け、カールグスタフ対戦車ミサイルを抱えた対戦車兵たちが瓦礫を積んで作り上げた専用の陣地から現れた。その準備が済むころ、まだ硝煙に煙る野原の彼方から、重々しいエンジン音と神経に障るキャタピラの唸りが聞こえてきた。
「前進観測班より報告。敵兵力は戦車6、ATV(装甲歩兵戦闘車)8」
「わかりました。もっと敵をひきつけますよ」
通信兵の報告を聞いて佐祐理は頷き、じっと敵の出現を待った。その中隊長の落ち着き払った姿に、指揮下の全員が動揺することなく交戦開始を待っていた。やがて、白い煙をすかして黒々とした巨大な影がアスファルトを踏みしだきながら出現した。Tactics連邦軍の主力戦車、ルクレールだ。それまではロシア製のT-80を主力としていたTactics軍が湾岸戦争の教訓から導入した初の西側諸国製戦車である。その後方からは歩兵を輸送するための車両であるロシア製のATV、BMP-3が続いてくる。大火力の100ミリ低圧滑腔砲を装備し、同種の車両としては世界でも第一級のスペックを誇る。
その先頭車両が佐祐理の設定したキルゾーンを完全に踏み越えたその瞬間、彼女は間髪入れて攻撃開始を命じていた。
「あははーっ、交戦開始ですよーっ!」
命令と同時に、陣地の数箇所に展開していた対戦車兵がいっせいにカールグスタフを発射した。白煙を引いて飛んだ弾体が次々先頭のルクレールに吸い込まれる。最初の一発は車体のあちこちに貼り付けてあった反応装甲によって防がれたが、続けざまの着弾に耐え切れず、そのルクレールは火柱を上げて吹き飛んだ。
しかし、残った車両群は動揺も見せずに散開し、主砲や機関砲で応戦を開始した。陣地のあちこちで連続した爆発が起こり、大口径機関砲の着弾が小さな噴火のように土の柱を巻き上げる。佐祐理たちの中隊も、ひるむことなく対戦車兵器を放ち、あるいは砲兵の援護を受けて戦い続ける。ゲートパーク地区の戦闘は今まさに佳境だった。
カノンコンバットONE シャッタードエアー
外伝 翼の還る処
Mission0.99 魔女の大鍋
同日 セントアーク上空
セントアーク市の上空は、戦塵や火災煙によって灰色に濁り、その直下で行われている激戦の凄まじさを窺わせた。
『こちらスカイエンジェル!座標ズール−マイク01で味方が近接航空支援を要請しているよっ!!』
『こちらエコー・リーダー。それは俺たちが近いな。任せとけ』
『スカイエンジェルよりブラウン小隊へ!輸送船団第一群の護衛に当たってね!!』
『こちらブラウン1。お嬢様方のエスコートは任せといてくれ』
無線にはスカイエンジェルの矢継ぎ早の指示と、それに応える航空隊の返答が溢れている。灰色の空をさらに暗く濁すように、彼我数十機の航空機が飛び回り、激しい戦闘を繰り広げている。茂美たちエア中隊も、既に今日2回目の出撃である。
『こちらシャーマン・リード。スカイエンジェル、何か手伝いの当てはある?』
茂美はスカイエンジェルに通信を送った。この日、彼女は一つの小隊を率いて参戦していた。小隊名は彼女のコールサインに合わせて<シャーマン>とされている。佐久間が茂美に一個小隊を任せる、と言ってきたとき、彼女は驚いて固辞しようとしたのだが、現在ISAFでは唯一の女性のダブルエース…これまでに11機撃墜と言う実績は伊達ではなかった。誰もが彼女なら、と賛成したのである。
それでも逡巡していた彼女だったが、佐久間の
「俺が楽するためにも引き受けてくれ」
と言う説得に、ついに小隊長を努めることを承知したのだった。
スカイエンジェルは少し待ってね、と答え、十秒ほどで任務を振ってきた。
『座標ゴルフ−パパ付近で味方中隊が苦戦中。コールサインは<マジカル>だよっ!そっちの救援をお願いするねっ!』
『了解、みんな、聞いての通り。行くよ!』
シャーマン小隊は速度を上げて港の上を通過し、内陸へ向かった。港には十数隻の輸送船や貨物船が入港し、桟橋からだけでなく、艀を使ったピストン輸送で人々を乗り込ませていた。
4月23日、空軍によるシェズナ山レーダーサイト攻撃<ホワイトアウト>を皮切りに開始されたISAF軍のセントアーク撤退作戦<フレンドシップ>は、これを阻止しようとするTactics軍の全面攻勢開始もあり、開始から4日を経たこの日においても未だ継続されていた。
セントアーク市は北部沿岸最大の港湾都市であり、ヘカトンケイル半島先端部にV字型に切れ込んだ同名の湾の西岸に沿って広がる街である。海に向かって口を開いている反面、その後背にはすぐに山地が迫り、陸路で行くには不便な場所だ。人によっては「クラナドの神戸」などと呼ぶこともある。
それだけに敵の猛攻にも耐える防御力があり、味方が制海権を確保している限り海上から補給を受けられる絶好の要衝だったが、逆に言えばこちらから打って出るに不向きな場所でもあった。これを悟ったISAFは、将来の反攻の拠点としてこの街を利用するという方針を撤回し、貴重な陸上兵力の温存を図る方針に切り替えたのである。
しかし、あらゆる戦いの中で、最も困難なのが撤退戦である。少しでもミスがあれば、撤退は容易に全軍の壊走に繋がるからだ。それを防ぐには、敵の圧力を受ける殿に最も信頼性の高い精強な部隊を置かねばならない。現在、防衛線に展開している部隊は、いずれもそうした優秀な部隊であった。
彼らは港に集結中の友軍部隊が乗船を完了するまでTactics軍の攻撃を食い止め、その後ヘリや輸送機で撤退することになっている。彼らが無事に脱出できるように全力を挙げて支援しなくてはならない。
ゲートパーク地区
佐祐理たちのマジカル中隊は歩兵のみで既に四両の戦車と三両のATVを破壊していたが、そこで憂慮すべき事態に遭遇していた。
「佐祐理、対戦車兵器が切れた」
「それは困りましたねーっ。補給は来ませんか?」
舞のあまり困ってなさそうな報告に、佐祐理がそれに輪をかけて深刻そうでない声音で応じる。しかし、佐祐理はこれが容易ならざる事態であることを理解していた。Tacticsのルクレール戦車はT-80と比較して防御力に優れ、そう簡単には撃破出来ない。そのため、T-80を想定して配備されていたカールグスタフなどの対戦車兵器が予想以上に早く消耗されてしまったのである。
「補給隊は敵の砲撃と空爆で道が寸断されているため、到着が遅れています…あと1時間は掛かると」
通信兵が青い顔で言った。それだけ時間があれば、残る敵車両がこの辺りを蹂躙しきっておつりが来るだろう。
「敵の歩兵戦闘車が前進してきます!」
さらに、対戦車兵器が切れたことを悟ったらしいTactics軍が歩兵部隊を前進させてきていた。数は向こうの方が圧倒的に上だ。じりじりとこちらへ向けて進んでくる歩兵の中に装甲車両が混在し、120ミリ砲や100ミリ低圧砲を放ってくる。
「第一線の陣地にいる皆さんを後退させて下さい。引き込んでから反撃します」
佐祐理は即座に決断した。兵力を集め、火力密度を高めてから反撃しなければ、一方的に撃破されるだけだ。彼女の命令を受け、ただちに住宅地の端に近い第一線から兵士たちが後退して来る。マジカル中隊は住宅地を貫く幹線道路両脇に新たなキルゾーンを構築して待ち受けることとなった。
その間に、舞はいくつもの手榴弾を寄せ集めた結束手榴弾を作っていた。家の残骸などを遮蔽物にして敵戦車に接近し、これで撃破するつもりなのである。他の兵士たちも、黙々と同じ結束手榴弾や火炎瓶を用意し始めていた。
「再展開完了です!」
後退して配置に付いた部隊からの連絡を受け、佐祐理は頷くと敵の動きを見守った。こちらからの攻撃が途絶えたことで、敵は安心して道路に踏み込んでいる。佐祐理は命令を下した。
「あははーっ、攻撃再開ですよーっ」
次の瞬間、道路の両脇から苛烈な射撃が始まった。敵の歩兵部隊が銃火を浴びて、刈り取られる稲穂のようになぎ倒される。そこへ、舞をはじめとする決死隊の兵士たちが一斉に飛び出した。敵の反撃を潜り抜け、瓦礫の間を縫って戦車に近づき、手にした結束手榴弾や火炎瓶を投げつける。
舞の投げた手榴弾は見事に一台のルクレールの車体下に転がっていき、そこで爆発を起こした。こうした戦闘車両は下側が構造的に弱い。その爆発は見事に車体下面を破り、ルクレールは息絶えたように停止した。
さらに、エンジングリルに火炎瓶を叩きつけられたBMP-3が松明のように炎上した。乗員が転がるようにして車内から脱出し、それを追うようにして車体が爆発した。
しかし、決死隊の被害も大きい。横殴りの雨のように降り注ぐ銃弾が次々と彼らを捉え、撃ち倒していく。戦車1両、ATV3両を仕留めたものの、半数近い兵士が死傷してしまった。
「舞、大丈夫ですか?」
転がるようにして遮蔽物の陰に戻ってきた舞の所に佐祐理が駆け寄る。幸い、舞は傷一つ負っていなかったが、佐祐理の顔を見上げて言った。
「私は大丈夫…でも、手榴弾や火炎瓶ももうない」
佐祐理はそっと敵の方向を窺がった。彼女たちの奮戦の結果、Tactics軍は一時後退を開始している。撃破された車両が道を塞いでしまったため、それを撤去する作業も必要なのだ。
「あははーっ、少しは時間が稼げたようですね。お疲れ様、舞、皆さん」
佐祐理は明るく笑って見せた。これで、うまくいけば補給が到着するまでの時間が稼げるだろう。しかし、その喜びも長くは続かなかった。
「隊長!まずい事になりました。隣りの戦区が突破されたそうです!!」
通信兵が蒼白な顔で駆けつけてきた。彼のもたらした凶報に、佐祐理の顔から微笑が消える。戦線がどこかで突破されたと言うことは、今度はその突破した連中が向きを変えて背後から襲い掛かってくることになる。佐祐理は自分たちが一転して包囲されかけた危うい状況に陥っていることに気が付いたのだ。
「困りましたね。そうなると急いで撤退しないと…舞、伝令を…」
このままでは全滅する、と悟った佐祐理は急いで指揮下の部隊を撤収させる決断をした。彼女の判断は最大級に迅速なものとして評価しうる。しかし、状況の変化がそれを上回って速かった。
「背後に敵が!」
誰かが叫んだ。ゲートパーク地区の後ろを通る幹線道路上を、突破した敵部隊だろう。戦車とATVの部隊が進撃してくる。あれがここへやって来たら、もはや食い止める力は何処にも無い。
(万事…窮す…ですか?)
佐祐理の額を冷たい汗が伝った。その時、通信兵の野戦無線機に入電を示すランプが点った。レシーバを耳に当てた彼の表情が輝く。そこには歓喜と安堵の入り混じった表情があった。
「!味方ですね!?」
佐祐理が言うと、通信兵はマイクを佐祐理に手渡した。
『シャーマン・リーダーよりマジカル。助っ人に来ました。いまそちらの上空にいます。叩いて欲しいのはどこですか?』
佐祐理は喜色に溢れた表情で空を見上げた。その視線の先を、ISAFのマークをつけた数機の戦闘機が飛び去るのが見えた。
「こちらマジカル1。今から目標の所にブルースモークでマーキングをします。そこを叩いてくださいねっ!」
『マジカル1、了解しました。頭下げててください』
通信を終えると、佐祐理はすぐに迫撃砲分隊を呼び出し、青色発煙弾を背後の敵に撃ちこむよう命じた。
ゲートパーク地区上空
破壊されつくした住宅地の一角から、鮮やかな青色の煙が立ち昇った。その瞬間、ISAF軍機は身を翻してその場所へと殺到した。
位置関係から先陣を切ることになった茂美の<クフィル>は主翼の下に500ポンド爆弾8発を抱いていた。慎重に機体を投弾コースへ乗せていく。既にTactics軍は発煙弾の意味を悟って後退しようとしていたが、それより先に彼女は2発の爆弾を投下した。1発はT−80戦車を直撃し、それを踏み潰した甲虫のような無残な残骸へ変えた。もう一発はBMP-3の横に落ち、そいつを横転させると同時に、爆風で周囲の敵兵を薙ぎ倒した。
自分の投じた爆弾が2台の車両を撃破するのを見て、茂美はほっと息をついた。このところずっと制空戦闘ばかりで、対地攻撃を長らくやっていなかったので、少し自信が無かったのだ。
『ナイス、シャーマン。こっちもその調子でぶっ飛ばす!』
サブリーダーの<バッドガイ>こと岡崎朋也准尉が乗る<ファントム>が降下し、車両が密集している辺りに爆弾を投じる。着弾と共にトラックやATVが吹き飛び、周囲の家に突っ込んだ。
これを見て、残る敵車輌群はなんとか散開して攻撃を免れようとしたが、それよりも先にF-5E<タイガー>が降下して、主翼の下に2基つるしたポッドからハイドラ2.75インチロケット弾を発射した。白煙の束が地面に向かって伸びて行き、無数の小爆発が発生する。戦車の上面装甲が叩き割られ、無数の破片が爆風に乗って生身の歩兵たちを引き裂く。爆煙が晴れたときには、突破に成功して来たTactics軍は完全に破砕されていた。
生き残ったわずかな車輌と歩兵たちが撤退していくのを見ながら、茂美は残る兵装をチェックした。爆弾も機関砲弾もまだ残っている。もう一回攻撃をかけるには十分な量だろう。しかし、撤退する相手に無駄弾を使う事はない、と彼女は判断した。
『リードよりシャーマン全機へ。逃げる奴は深追いしないで。それより、正面の連中を叩くわよ』
茂美はそう命じると、機首を翻した。正面の敵へ向けてシャーマン小隊の全機が突撃していく。
地上
航空攻撃の猛威は圧倒的だった。マジカル中隊を圧迫してきた敵部隊は、空爆によって一瞬に大打撃を受けていた。統制の取れた動きが出来なくなり、爆炎の中を必死に逃げていく。
「はぇー…すごいものですね」
舞と通信兵だけを連れ、指揮に飛び回っていた佐祐理は、味方空軍の奮戦に素直に感心していた。なにしろ、この戦争ではTactics軍が制空権争奪では圧倒的な優位を保っており、味方の航空支援を受けて戦ったことが非常に少なかったのである。しかし、今目の前で次々に敵を撃破していく味方機の存在は、まるで天使の軍勢のように頼もしいものだった。そこへ、舞がやってきて報告した。
「佐祐理、補給が届いた。これで十分戦える」
激戦の最中、迂回に告ぐ迂回を強いられていた補給車がようやく到着したのである。対戦車班には十分な量の対戦車ミサイルが支給され、舞も、新しい手榴弾や弾倉を受け取っていた。
「あははーっ、これで何とかなりそうですね」
佐祐理も笑顔で頷いた。補給と航空支援が十分なら、あと何日でもこの場所に踏みとどまってみせる。佐祐理には自信があった。
『シャーマン・リーダーよりマジカル1。申し訳ないけどそろそろフュエル・ビンゴ(燃料切れ)なの。帰投しなくちゃいけないんだけど、代わりがいるなら呼びましょうか?』
無線に航空隊の隊長から通信が入った。佐祐理は状況を観察した。Tactics軍は大損害を受けており、ようやく撤退に移っている。しばらくは攻めてこないだろう。
「あははーっ、大丈夫みたいです。また何かあったらよろしくお願いしますね」
『了解。ノースポイントで会いましょう!』
4機の戦闘機がバンクして挨拶すると、一路東の空へ飛び去っていく。佐祐理はそれに手を振って見送り、部隊の点呼を命じた。いつかあのパイロットたちに直接会って礼をするためにも、この場を生き残るために最大の努力をしなければならない。
一週間に及んだセントアーク撤退戦は、4月30日の夕刻、市の中央公園からヘリコプターで脱出したマジカル中隊残存の撤退を持って、完全に終結した。この戦いで、ISAFは貴重な陸上兵力の大半をノースポイントに撤退させることに成功。作戦の成功を宣言した。
一方、Tactics連邦軍も、守備隊の完全撃滅はならなかったものの、セントアークを陥落させたことで勝利を宣言した。表面的に見れば、これによって大陸本土の全域を制圧したTactics連邦の優勢は圧倒的であり、大陸東岸の小さな島々に押し込められたISAFの敗北は時間の問題に見えた。
しかし、セントアークで大きな損害を受けたことは、Tactics上層部にノースポイント侵攻に対する慎重論を生んだ。占領地域における治安維持や、伸び切った補給線の整理と言った点、そしてノースポイント侵攻における最良の拠点となりうるセントアークが市街戦の結果、港湾能力に著しいダメージを受けた事…こうした背景から、Tactics連邦は大陸本土の安定化を優先させることを決定する。
確かに、この時期ノースポイントへの早期侵攻を行う事が困難だったのは間違いない。それでもなお、戦史はこう述べている。無理にでもノースポイントを攻めていれば…あるいは、セントアーク守備軍の撃滅に成功していれば、この戦争の勝者はTacticsであっただろうと。
Tacticsは詰めの一手を打ち損ねたのだ。以降、次第に戦いの流れは次第にISAFの方へと傾いていくことになる。
(つづく)
原作者U−2Kのコメント
前回のシェズナ山レーダーサイト攻撃で、セントアークに篭る部隊の逃げ道をどうにか確保したISAF。
そしてついに、クラナド大陸戦争前半の天王山、セントアーク撤退戦がついに始まりました。
>無線符丁<マジカル>――の隊長である倉田佐祐理大尉と、副官の川澄舞少尉の二人だった。
このふたりは後に、大陸反攻において栄えある上陸部隊第1号となるのですが、この時は文字通りの殿です。
これも、彼女たちが優秀であることの証でしょう。実際、この後は、
>白煙を引いて飛んだ弾体が次々先頭のルクレールに吸い込まれる。最初の一発は車体のあちこちに貼り付けてあった反応装甲によって防がれたが、続けざまの着弾に耐え切れず、そのルクレールは火柱を上げて吹き飛んだ。
とまぁ、強大な威力の120ミリ滑腔砲と強靭なモジュラー式複合装甲を持ち、高度なベトロニクスを内に秘めた第3.5世代戦車のAMXルクレールを撃破してしまうのですから、<マジカル>中隊の戦闘力の高さが窺えます。
>現在ISAFでは唯一の女性のダブルエース…これまでに11機撃墜と言う実績は伊達ではなかった。
おお、そこまでスコアを伸ばしていましたか<川口さん
戦争初期からAir防空戦で活躍し、ISAFに参加してからもレーダーサイト攻撃をしてますから、確かにそのくらいの実績は残してそうです。
それにしても、よくぞ生き延びて、ここまで成長してくれたものです……(しみじみ:笑)。
>黙々と同じ結束手榴弾や火炎瓶を用意し始めていた。
これまた懐かしかったり原始的なものを……(笑)。
しかし、市街地のようなところでは、家のひとつひとつが陣地になったり、ビルが要塞になったりと、平地に比べて歩兵が何倍も強くなりますから、こういった単純なものもかなり有効です。
>サブリーダーの<バッドガイ>こと岡崎朋也
うーん、この元ネタはいつ発売されるんでしょう?(苦笑)
Keyのゲームは男キャラが極端に少ないから、いまだ陽の目を見ていないゲームからも登場させないと、どうしても面子が足りなくなりますね。
といいますか、本編でもやってますし(爆)。
こうして大陸から完全撤退したISAF。それから約4ヶ月の間、大陸を制覇したTacticsとノースポイントに篭城するISAFの戦いは休戦状態を迎えます。
しかし、2004年9月にひとりの新米パイロットが初陣を迎えてから、戦況は確実に動いてきます。
そんな中、川口さんたちも一体どんな戦いを見せるのでしょうか? 続きが注目されます。
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