2003年 8月19日 クラナド大陸 Air皇国領ゲートシティ上空

『バードマンよりガーディアン各機へ!方位166にボギー(敵機)出現!!距離120、機数約30』
 無線に200キロ以上後方から戦局を見守っているバードマン…E-3<セントリー>早期警戒管制機からの報告が飛び込んできた。それに応じ、編隊長の命令が響き渡る。
『アルファ・リーダーよりガーディアン各機へ!ACMスタンバイ!』
「アルファ3、了解。フォックス・ワン、スタンバイ!」
 ACM…空戦用意の命令を受け、編隊長直卒のアルファ小隊3番機を駆る川口茂美少尉は答えた。彼女を含むAir皇国航空防衛隊、首都防空戦隊は首都カンナを守る最後の砦とも言うべきゲートシティを守り抜くべく、カンナ近郊のウラハ基地から出撃してきていた。周囲を見れば、編隊長の佐久間少佐が操るのは、最近ようやくAir空防隊への配備が始まった新鋭機、サーブJAS39<グリペン>。独自の武装中立政策を貫く北欧の国、スウェーデンが開発したばかりの機体で、小柄ながら制空から対地攻撃までをこなす万能機である。
 一方、彼女が操るのはフランス製のダッソー<ミラージュV>。ジェット機の黎明期から連綿と続く、フランスが誇る戦闘機ミラージュ・シリーズの一機だ。フランス本国では最新作の<ミラージュ2000>、<ラファール>に更新されつつあるが、依然として第一級の戦闘力を誇る。
 しかし、他にはサーブの前作<ヴィゲン>や、ミラージュ・シリーズでもV型以前のIIIやF1などが入り混じり、雑然とした印象を受ける。負け戦が続き、壊滅した部隊の残存機を集めて再編成しているため、統一性がなくなっているのだ。
(これで勝てるのかしら…いや、違うわね。勝たなくちゃいけないんだわ)
 思わず心の中に生まれた弱気の虫を振り払い、茂美は目の前の先頭に意識を集中した。既にフォックス・ワン―中距離対空ミサイル、マトラSuperR530は発射準備を整えている。ミサイルを中間誘導するためのレーダー波が敵機を捉え、ロックオンしたことを示すメッセージがディスプレイに表示されていた。
 突然、警告を表す電子音が鳴り響いた。断続的だった警告音が連続音に近づいていく。自分たちがそうしているように、敵機もこちらへ向けてミサイル誘導用の電波を発振しているのだ。機体がそれを関知し、茂美に注意を促しているのである。
『ボギー群、射程内に侵入!アタック、ナウ(戦闘開始)!!』
 佐久間少佐の野太い声が無線に流れた。同時に、前方を行く彼の<グリペン>から二筋の白煙が噴き出した。ミサイルを発射したのだ。
「フォックス・ワン、ファイア!」
 茂美はそう叫び、操縦桿のトリガーを引いた。軽く機体が浮き上がる感覚と共に、主翼下のランチャー・レールからミサイルが滑り落ちた。それはすぐにロケット・モーターに点火して前方の敵機…その姿はまだ見えない…に向かって飛び去っていく。ほぼ同時に、警告音が激しくなった。敵編隊もミサイルを放ったのだ。
(神奈備命様…どうかご加護を)
 茂美はAir皇国で広く信仰されている神にそっと祈りをささげた。日本人の血を引くクラナドの住民は、それほど宗教的情熱はない。しかし、茂美は家庭環境のせいか、なにかと神に祈りをささげる習慣があった。短時間祝詞を称えると、操縦桿を握る手に力をこめ直す。戦いはまだ始まったばかりだった。

カノンコンバットONE シャッタードエアー

外伝 翼の還る処

Mission0.25 災厄の夏


 1999年7月、人類は小惑星<コーヤサン>の地球激突と言う未曾有の危機に見舞われた。しかし、人類はその英知を結集して隕石迎撃用の巨大レールガン<ストーンヘンジ>を建造。ロシュの限界を超えて破砕し、地球に降り注ぐ<コーヤサン>の欠片、その大半を撃破してその危機を脱した。
 しかし、それでもなお大きな被害を受けたクラナド大陸北西の大国、Tactics連邦は失われたものを取り戻すべく、2003年7月下旬、周辺諸国へ電撃的な侵攻を開始した。
 Taciticsに次ぐ国力を持つKanon国はその攻勢を何とか受け止めていたが、大陸中央の小国家群はさしたる抵抗も出来ないまま次々に降伏。そして、専守防衛を国是とし、軍事力をあえて小さなままにしてきたAir皇国もまた、Tacticsの強大な戦力にたちまち国土を席巻されていた。国境線付近の防衛陣地は一週間から10日ほどの抵抗の末に崩壊。国土の西端にある<ストーンヘンジ>が奪取された。Tactics軍は更に東進し、その先鋒は首都カンナの西方200キロ付近まで侵攻していた。それ以上の敵の進撃を辛うじて食い止めているのが、茂美たち首都防衛戦隊と、それに支援される最終防衛線の将兵たちの奮戦だったのである。

 ミサイルを発射した茂美を初めとするAir防衛隊機は敵に正対したまま飛行を続けていた。今、彼女が放とうとしているマトラR530や、アメリカのAIM-7<スパロー>のようなセミアクティブ・レーダーホーミング指揮のミサイルは、その中間飛行時に発射母機のレーダーで誘導してやらなくてはならない。そのため、敵機に当てたレーダーパルスが外れるような急激な機動は禁物なのだ。
 その戦いは、チキン・レースに似ている。先に逃げればこちらのミサイルは外れ、必要以上に粘れば自らも撃墜されかねない。口の中が乾き、首筋を冷たい汗が流れる。心臓の鼓動が速度を増す。何度経験しても慣れることがない恐怖の時間だ。茂美も操縦桿を倒したいと言う欲求に耐え、必死にミサイルを誘導しつづけた。
 やがて、ミサイル警報が悲鳴にも似た高音になった瞬間、茂美は操縦桿を倒すと同時に機体後部からミサイルに対する囮となるフレアとチャフを続けざまに放り出した。横に滑った彼女の<ミラージュV>の斜め上方をミサイルが通過し、放たれたチャフに飛び込んで爆発する。辛うじて相手の一撃を回避したのだ。安堵の息をつく間もなく、茂美はディスプレイに目を走らせる。彼女の一撃は敵の一機を粉砕し、地上に叩き落していた。
「シャーマン、スプラッシュ・ワン!」
 茂美は撃墜を宣言した。<シャーマン>は彼女のコールサインだ。実家が神社であったことから巫女を意味するコールサインがついたのだが、実のところ茂美が巫女の格好をするのは正月と夏祭りくらいのものだった。
『スプラッシュを確認。まだ敵はいる。何とかふんばってくれ』
 バードマンからの通信が入る。茂美はレーダーを見て思わずはしたない台詞の1つも言いたくなった。敵にも相当な損害を与えたようだが、味方の損害もまた大きい。眼下の大地のあちこちから黒煙が立ち上っている。
(性能はこっちが上なのに…)
 茂美は唇を噛んだ。軽武装中立を掲げるAir皇国は余り軍事費に力をいれていないとはいえ、防衛隊が使用している航空機は欧州諸国の使っていた1〜2世代前の機体が主力とし、質は高い。これに対し、Tactics連邦空軍はロシアから機体を購入しているが、最新鋭のSu-27系列、いわゆる「フランカー・ファミリー」やMig-29<ファルクラム>はKanon戦線に投入され、Air侵攻軍が装備しているのはMig-23<フロッガー>やMig-21<フィッシュべッド>など、かなりの旧式機が多い。
 Air防衛隊の機体でも、十分圧倒できるはずの戦力だが、何と言っても数が多い上、技量では既に大陸中部の中小国家群平定戦で実戦をくぐってきたTacticsのパイロットたちの方が勝っていた。
 しかし、茂美はその貴重な例外となりつつある存在だった。今も、彼女は一機のMig-27を捉え、その後ろに回り込もうとしていた。Mig-23を改造し、戦術攻撃機に改造した機体だ。これがゲートシティに篭もる味方の上に投弾すれば恐ろしい被害が出るだろう。
(そうはさせない!)
 茂美は決意を漲らせて機体を操った。Mig-27は彼女の追撃を必死にかわそうとするが、いかんせん爆装した攻撃機では、その動きは悲しいほどに鈍かった。苦もなくそのバックを取り、ミサイルを発射する。
「フォックス・ツー、ファイア!」
 彼女の叫びと共に放たれたミサイル―今度は短距離用の赤外線誘導ミサイル、マトラR550マジック2―は、白煙を弾いて敵機に向かった。Mig-27の方もフレアを撒いてその死神の気をそらそうとしたが、タイミングが遅かった。ミサイルはフレアを無視してMig-27のジェットノズルに吸い込まれ、そこで爆発した。機体後部が風船のように破裂し、前半部はきりもみしながら大地に叩きつけられた。
「スプラッシュ!」
 茂美が勝利を宣言した時、警報音が鳴り響いた。勝利の喜びから一転して、全身がきゅっと縮むような緊張感が彼女を襲った。敵機が彼女の機体にレーダー波を照射している…すなわち、狙われていると言うことだ。しかし、茂美は心を落ち着け、素早くレーダー画面を確認し、次いで機体全周を確認する。すると、一機のMig-21がこちらに向かってくるのが見えた。
 Mig-21<フィッシュベッド>は旧ソ連を代表する戦闘機だ。鉛筆に小ぶりのデルタ翼をくっつけたようなそっけないデザインだが、マッハ2以上に達する最高速度を叩き出し、整備も簡便で安価。そのユーザーは多く、旧共産圏やアラブ諸国を中心に10000機以上が生産された。旧式化したとは言え、今でも相当な数がTacticsにも残っている。
 それを迎え撃とうとした時、突然横合いから降り注いだ機関砲弾がMig-21の胴体を薙ぎ払った。空中爆発を起こすその横をすり抜け、見覚えのある<グリペン>が現れる。佐久間の落ち着いた声が無線から聞こえてきた。
『気をつけろ、シャーマン。敵は多いんだ。常に目の前の奴以外にも気を配れよ』
「はい、すいません」
 佐久間の叱責とアドバイスに茂美は頷いたが、その時には二人とも再び散開し、また別の敵を狙っていた。味方は12機に対し、敵は30機。話だけに集中している暇はないのだ。
 十分後、Tactics軍が作戦を中止し、爆弾を投棄して撤退し始めた時には、その数は16機に減っていた。半数近くを撃墜したことになる。茂美の撃墜は2機だった。
『返事ができる奴は応答しろ!』
 佐久間の号令を受け、味方機が応答して来る。出撃時16機だった味方は、10機に減っていた。キル・レシオから行けば勝利と呼べるが、後のないAir空防隊にとっては大きすぎる損害だった。
『バードマン、撃墜されたパイロットはどうなった?』
 佐久間の質問に、少し経ってバードマンから返答があった。
『4名は脱出し、既に救助されたかあるいは救助中だ。2名は残念ながら戦死』
『了解』
 そのやりとりに、喪われた仲間を悼むように編隊全機に沈黙が落ちた。しかし、その雰囲気を吹き飛ばすように佐久間が言った。
『落ち込むな!我々はとりあえず勝った。勝鬨を上げろ!それが死んでいった仲間への供養になる!!』
 一瞬間を置いて、まず茂美が反応した。「おおっ!」と大声を張り上げる。士気を盛り上げようと言う佐久間の意思を受け取り、彼女なりにそれに応えたのだ。ややあって、全員にその空気が伝染し、しばし無線に勝鬨の声が満ちた。
『よーし、元気が出たな!ジョインナップ(合流)!RTB』
「了解!」
 RTBとはReturn To Base…「基地へ戻る」の意味だ。Air空防隊は機首を揃え、ウラハ基地への帰還コースに乗った。


同日 ウラハ基地 パイロット待機所

 夕暮れが近づいていた。夜間戦闘能力の低い旧式機の多いTactics軍は夜間は余り出撃してこない。どうやら、この日は持ちこたえたようだった。
 それを裏付けるように、カンナを守るゲートシティをはじめとした外郭防衛線は未だに健在で、Tactics陸軍の猛攻を防ぎつづけている。心配された空襲も、茂美たちのあとに出撃した別の部隊が何とか追い返していた。
「今日は無事に済みそうですね」
 茂美はテーブルの向かい側に座る佐久間少佐に話し掛けた。
「あぁ、そうだな」
 佐久間はお茶を飲む手を休めて答えた。彼は茂美と同郷で、故郷のサマータウンでは廃品回収を営んでいた。そのため、「リサイクル」などという珍妙なコールサインを持っているが、軍人としての能力は高い。その名を裏付けるように、打撃を受けた部隊を再編成して立派な戦力に仕立て上げるのが得意で、空防隊が戦力を維持していられるのも彼の能力にあずかるところが大きい。
「なんでも、もうすぐ陛下の特別放送があるらしい。これでみんなの士気が高まってくれれば言うことはないな」
「陛下が?」
 佐久間の言葉に、茂美はテレビのリモコンを探した。
 Air皇国はクラナド大陸で最も古い国家であり、政治形態は立憲君主制を採っている。皇主は政治的な実権は持っていないが、国の象徴として国民の敬愛を集める存在だった。現皇主は若い頃に趣味の剣道で怪我をして以来あまり健康な身体とはいえなくなっていたが、聡明な皇妃の助力を得て公務に励んできた。この戦争でも、病を押して皇室外交や国民の激励に飛び回っている。
 その、尊敬すべき皇主がテレビで直々に話をされると言うことで、茂美はどうしてもその言葉を聞いてみたくなった。同じ思いの仲間たちも多いらしく、テレビの前ににわかに人垣ができた。茂みがリモコンを操作して国営放送にチャンネルを合わせると、ちょうど特別放送が始まるところだった。
『それでは、首都蒼空宮より、皇主陛下のお言葉をお伝えします…』
 アナウンサーが言うと、画像が蒼空宮…皇居内の会見場に切り替わった。そこに、敢えて古風な衣装に身を包んだ皇主陛下が現れ、一礼すると原稿もなしに語り始めた。
『親愛なる国民の皆さん…わが国は、いまや未曾有の危機に見舞われております。この国難に際し、必死に国を守るために戦っている皆さんに、私は心からの感謝の言葉を述べたい…』
 激務のために相当身体に負担をかけているのだろう。決して顔色は良くないが、それでも力強い口調で皇主は語りつづけた。茂美や佐久間をはじめ、パイロットたちも黙ってその言葉に耳を傾けている。
『私は信じています。今は行く手に暗雲が広がっていようとも、その向こうには青空が広がっていることを』
 皇主の言葉は、「敵を倒せ、戦え」という勇ましいものではなく、むしろ戦争を憂い、融和を訴えるものだったが、その暖かい言葉はそれを聞くAir国民の胸に沁み渡った。茂美も強く心に感じるものがあった。平和を勝ち取ること、その決意を皆が新たにしようとしていたその時、異変は起きた。
「陛下が!?」
 その叫びに、茂美ははっとなって顔を上げた。そして、そこにあった光景に思わず息を呑んだ。
 皇主が胸を抑え、激しい苦痛に顔を歪めている。慌てて皇妃が駆け寄るより早く、皇主は演壇に突っ伏すようにしてくずおれた。「あなた!?」という皇妃の悲痛な声と共に、SPや侍従、侍医といった人々が皇主のそばに駆け寄る。そして、画面が「しばらくお待ちください」というテロップのついた静止画像に切り替わった。
「何があったんだ!?」
 ざわめくパイロットたちの中で、茂美は足元の地面が突然崩れていくような不安な気持ちに襲われていた。


翌日

「皇主、危篤」の報は、隠すこともできずに国内に広まった。その瞬間がテレビで全国中継されていたと言うのが致命的だった。Air皇国防衛隊の士気は目に見えて阻喪した。
 影響はたちまち現れ、翌日、ゲートシティの防衛隊がTacticsの攻勢に耐えかねて崩壊した。戦線には幅数キロの回廊がうがたれ、そこからTacticsの大機甲部隊が怒涛のように侵攻してきた。
 茂美たちは連日のように出撃したが、今までの敵基地より遥かに近いゲートシティ空港が陥落し、そこからTactics軍が行動するようになった影響は致命的だった。ウラハ基地も敵の攻撃範囲に入り、猛烈な爆撃が展開されたからである。部隊の稼働率は目に見えて落ち始めた。


8月26日 ウラハ基地

 Tactics軍の空襲が終わり、敵機の群れが西方へ去っていく。邀撃にあたった茂美たち空防隊の戦闘機が、未だ硝煙の漂う基地に次々に着陸した。
「お疲れ様です、川口少尉!今補給しますので少しお待ちください!」
 停止した茂美の<ミラージュV>に整備兵が駆け寄り、燃料と弾薬の補給を開始する。ヘルメットを脱いだ茂美は邪魔にならないように整備兵に話し掛けた。
「ご苦労様。…ここ以外の戦況はどうなってる?」
 その質問に、給油中の整備兵が渋い顔で答えた。
「いけませんね…カクレヤシロ基地が陥落したとの報告が入りました」
 茂美は顔を曇らせた。カクレヤシロはカンナ北方の重要な基地だ。そこが陥ちたとなると、もはやカンナを守る重要な基地はこのウラハだけになる。整備兵はさらに続けた。
「陸軍の<リュウヤ・フォース>がまだ各地で激しく抵抗しているらしいですが、盛り返せるかどうか…」
「…難しいわね」
 茂美は答えた。<リュウヤ・フォース>はAir防衛隊が誇るSOF…特殊部隊だ。しかし、いくら精鋭部隊と言え、正規軍相手に勝てる戦力ではない。ゲリラ戦を展開していくらかでも相手の足を止めることができるだけでも上出来と言うべきだろう。
(ウラハと<リュウヤ・フォース>がカンナを守る最後の戦力と言うわけか…やれるところまでやるしかないわね)
 茂美がそう思った時、整備長が親指を立てた。
「整備終了。補給が追いつかないのでミサイルは定数の半分しか割り当てがありませんが…」
 茂美は頷いた。まだあるだけましだ。同時に、今日何度目になるかわからない空襲警報が鳴り響く。
「シャーマン、出ます!」
 疲れた身体に鞭打ち、茂美はキャノピーを閉じると愛機を滑走路へ向かう誘導路に滑り込ませて行った。先に整備を完了した僚機が離陸を開始し、大空へ向けて駆け上がっていく。しかし、その数は余りにも少なかった。
 皇国を襲う悪夢は、その終わりを見せようとはしていなかった。

(つづく)

 
原作者のコメント


「カノンコンバットONE」原作者のU−2Kです。
 私がこの作品を書き始めた時、まさか今のような――最も尊敬するSS作家のおひとりであるさたびーさんに、外伝を書いていただけるとは、夢にも思っておりませんでした。
 それが今回、私が全く思いも浮かばなかったような、川口さんを主役にした、Air皇国の戦いを見事に表現してくださったさたびーさんには、大変感謝していると同時に、この上ない名誉だと思っています。
 そして、一駄文書きとして、自分が幸せ者であるということが実感できます。どうもありがとうございました。
 さて、本編を遥かに凌駕する筆力と想像力で書かれた作品の前に、これ以上は野暮というものでしょう。では具体的なコメントに。

>実のところ茂美が巫女の格好をするのは正月と夏祭りくらいのものだった。
 川口さんの巫女姿……ぜひ見てみたいものです(爆)。

>そのため、「リサイクル」などという珍妙なコールサインを持っているが、軍人としての能力は高い。その名を裏付けるように、打撃を受けた部隊を再編成して立派な戦力に仕立て上げるのが得意で、空防隊が戦力を維持していられるのも彼の能力にあずかるところが大きい。
 なるほど、娑婆での経験が戦争に役立ったわけですか。
 それにしても、KCOは元ネタで単なる脇役だった人たちが大活躍ですね。しかし実際の戦争は、名も無き兵士たちの奮闘によって行われるものですから、それぞれ無数のドラマがある訳で、そう考えると脇役なんか存在しないのかもしれません。

>「皇主、危篤」の報は、隠すこともできずに国内に広まった。その瞬間がテレビで全国中継されていたと言うのが致命的だった。
 このあたりの展開も、本編ではさらっと流してしまいましたが、実際に話になると、本当に衝撃的な出来事です。防衛隊の士気が崩壊したのも頷けます。

 追い詰められつつあるAir皇国。皇国の興廃は、果たしてどうなるのか。茂美たちの奮闘は報われるのか。
 続きが注目されます。


そして、作者(管理人)のコメント

 この度、原作者U−2Kさんの快諾を頂き、川口さんを主役にした「KCO」の外伝を書く事になりました。
 U−2Kさんには誉めていただきましたが、これも魅力的な本編あってのことなのでちょっと面映いです(笑)。
 U−2Kさんが作品の都合上カットしたミッションや、裏事情などを勝手に膨らませて送りますもう一つの「KCO」、本編共々楽しんでいただければ幸いです。


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