オジロワシ血風録

第五章  学友会執行部隊



   4.演習


 石川は司令室で書類を見ていた。今週は彼が四隊長会議議長を務める週だ。
 すぐに決済をしなければならないもの、なるべく早く処理をした方がいいもの、後回しにして差し支えないものと大まかに分類して、それぞれ担当者からの説明が必要なものとそうではないものに更に分けていく。
 そんな中の一つを取り上げて、石川はざっと目を走らせる。読み進めていたが、途中でかすかに眉をひそめた。腑に落ちないところがあるらしい。
 しばらくそのまま眺めていたが、小さく息を吐くと、卓上の電話に手を伸ばした。
「こちらウィスキー・チャーリー。チャーリー・シエラはいるか?」
 石川は受話器に向けて話した。
 彼が使ったのは、特定個人用コールサインである。行動隊の番隊隊長以上と、探索隊の学部班長以上にあたる人間に特別に与えられるものだ。「ウィスキー・チャーリー」とは"Wise Chemist"の頭文字を取ったもので、石川を指す。一方の「チャーリー・シエラ」は"Clever Sniper"の頭文字で、猿渡を指す。無線や電話など直接顔を合わせないときに使われるもので、対面しての会話では使われることはない。
『おります。少々お待ち下さい』
 電話の向こうの声は、あまり聞いたことのない声だった。一年生なのかもしれない。少し声が固かったような印象を受けた。最高幹部からの電話で緊張していたのかもしれないが、石川にとっては些末なことだった。
『俺だ』
 電話に出た猿渡の声には、けだるさが感じられる。それを聞いた石川は、
(まさかとは思うが、こいつ昼寝でもしていたのか)
 と思った。何しろ、猿渡にはその種の前科が多すぎる。先入観を持ってしまいがちになるのは、やむを得ないだろう。
「ああ、俺だ」
『何だ、用か?』
「まあな。お前さんの意見書を見ていたんだが、どうにも引っかかるところがあるんだ。ちょっと来てくれないか?」
『今からか? 忙しいんだが、後じゃだめか?』
 猿渡の返事を聞いた石川の眉がかすかに動いた。把握している限り、猿渡には急用などないはすだ。行動隊で行われている講義も、本日は休みだと聞いている。1番隊隊長としての仕事にしても、今この時間に秘密部屋にいられるのだから、急ぎの仕事はないとみていいだろう。
 石川は以上のことから判断して、猿渡の言葉を言い訳、それも下手な部類に属するものだと判断した。ならば遠慮する必要はないと、石川は口元をゆがめた。
「ほほぉ、忙しいのか。そうかそうか。じゃあ、仕方ないな。貴様の提案は却下だ」
『ちょ、ちょっと待て。どうしてそうなるんだ?』
 予想外の反応に、受話器の向こうの猿渡は慌てている。
「こっちは分からないことがあるから聞いてるんだ。なのに、非協力的な態度を取るんだったら、却下されても文句言えんだろうが」
『んぐ……』
 猿渡が奇妙な声を上げた。
『ああ、分かった、じゃあすぐに行くから、待ってろ!』
 猿渡が宣言するかのようにまくし立てると、電話が切れた。それを聞いた石川は満足げに頷き、
「単純な奴……」
 と独りごちた。
「まぁ、そこがヤツのいいところでもあるけど……」
 絶対に面と向かっては言えないな、と思いながら、石川は猿渡の提出した書類の表紙を眺めてると、抽斗の中の文書をいくつか取り出し、ざっと眺めた。
 提出された書類の表紙には、『図上演習実施手順』という個性のかけらも感じられない文字が印刷されていた。

 五分後、猿渡が司令室にやってきた。
「俺の意見書のどこが悪いっていうんだ?」
 開口一番、猿渡は石川に突っかかった。最近になって随分とおとなしくなってきたが、高校時代は喧嘩に明け暮れていた猿渡である。並の人間では、睨まれると竦み上がるだろう。
「曲解されちゃ困るな。俺は悪いとは言っていないぞ。引っかかるところがあると言ったんだ」
 付き合いが長いだけあって、石川は平然としている。
「何にしろ、俺に聞きたいことがあるんだろ。いったい何だ?」
「いくつか分からないことがあるって言ったろ」
 石川はそう言うと、猿渡が提出した冊子を広げた。
「まず第一に、図上演習を大々的にやる意味についてだ。姐御にも聞いたが、図上演習ってのは司令部要員を対象にした演習だろ? なんで行動隊総出でやるんだ?」
 石川の言うとおり、図上演習というのは地図上で戦術訓練を行う演習だ。訓練の対象となるのは戦術指揮官とその幕僚であり、一般の隊員には全くと言っていいほど関係がない。だが、猿渡の提出した書類には、「図上演習と併せて行動隊演習を実施する」と記載してある。
「人数が多い方が、派手でいいだろうが」
 猿渡の答えに、石川はかすかに眉を動かした。
「……久々にシメてやろうか? 木刀を使ってだがな」
「すまん、俺が悪かった」
 石川がすごむと、猿渡はすぐに頭を下げた。
 行動隊最強の剣士である柳生ほどの腕ではないにしろ、石川も薬丸自顕流の剣士だ。趣味の延長ではあるが、今でも毎日一時間程度の打ち込み稽古は続けている。以前柳生が石川との試合を、自顕流との試合は殺し合いになるという理由で断ったことがあるため、〈オジロワシ〉隊員は石川を怒らせないように気をつけている。
「最初からまじめに答えればいいものを」
 石川は顔をしかめた。
「で、本当のところはどうよ?」
「行動隊の全体演習に組み込んで、番隊司令部だけじゃなく、各級指揮官の訓練も兼ねさせたいと思ってる。図上演習の結果で部隊を動かし、指揮官の判断力を鍛えるんだ」
 猿渡は説明を始めた。
「編制替えからこっち、本格的な演習はまだやってないんでな。まだ部隊の特性をつかめてない奴も多いと思う。俺にしても、歩兵隊の扱い方はだいたい理解してるが、白兵戦部隊の使い方はちょっとな、自信がない」
「おいおい、大丈夫か? 1番隊隊長ともあろう奴が、そんな弱気でどうする」
「だからこそ、演習で慣れておきたいんだ」
 石川の危惧を逆手にとって、猿渡は自分の主張を押し通す。
「なるほど。まぁ、そういう考えもあるか」
 石川は軽く頷いた。
「第二に、演習の統裁官をどうするんだ? これを見ると、行動隊総隊長と副隊長が訓練対象者に入っているが」
 と尋ねた。
 統裁官とは演習の判定を行う担当者で、戦闘の結果や損害などの判定に最終的な決定を下す役である。通常は演習を主催する人間、行動隊でいえば、総隊長の礼か副隊長の猿渡が務めるべき役である。
「俺達の訓練も兼ねてるからな。統裁官は教授かデルタに頼もうと思ってた」
「デルタはまだしも、俺でいいのか? 俺は行動隊の人間でも、別班の人間でもないぞ」
 石川は難色を示した。「デルタ」こと別班班長の堀内覚とは違い、彼は戦闘部隊の指揮を執ったことは一度もない。教育隊時代に簡単な戦闘訓練を受けただけで、探索隊に配属されてからは戦闘とは全く縁のない勤務となっている。
「正直な話、いてくれるだけでいい。細々としたことは他の人間がやるから」
「露骨にお飾り扱いするんじゃねぇよ」
 石川は顔をしかめた。
「それなら、細かいところまで任せようか? そうしてくれるなら、こっちもいろいろと楽だからな」
「……時間が合えば、立ち会いくらいはしてやる」
 猿渡の言葉にしばらく考え込んだ石川は、結局譲歩した。とてもではないが、行動隊員でもない石川が演習の細部にまで口を挟めるはずがない。ただでさえ多忙の探索隊総隊長が、専門外のことにまで深く関与することは出来ない。
「最後の疑問だが、何故今なんだ?」
 石川は書類を猿渡の前に置いた。
「こっちでは不穏な気配を探知していない。いくつか細かい動きは把握してるが、この程度であれば一個小隊も送れば十分対処できるものだ。そんな状況なのに、なぜこんな演習を行うんだ?」
「身も蓋もない言い方をすると、だ」
 猿渡は胸ポケットからマルボロを取り出した。それを見た石川も、机の上に置いてあったラッキーストライクをライターごと手元に引き寄せる。
「その前に、今更だが、吸ってもいいか」
「全く問題ない。それは愚問だぞ」
 二人とも、ヘビースモーカーである。そして、司令室では喫煙を禁じられてはいない。空気清浄機を稼働させておけば、喫煙しない礼も文句は言わないのだ。
「それもそうだな。じゃあ、遠慮なく」
 猿渡は一本咥えると火をつけて、大きく吸い込み、派手に煙を吐き出した。石川も同じく一本咥えると一服つけ、空気清浄機の電源を入れた。
「正直な話、時期はいつでもよかったんだ。なるべく早くという希望はあったけど、何が何でも早急にってわけじゃない」
 猿渡は、半分ほど吸ったマルボロを灰皿に押しつけた。そのままもう一本取り出して火をつける。
「複数の番隊が出動するような事態は起こりそうにないからこそ、演習を行って問題点の洗い出しをしたい。これが姐御の意見さ」
「暇なうちにやっちまおうってことか」
 石川も半分ほど吸ったラッキーストライクを灰皿に押しつける。こちらはチェーンスモーキングはせずに、提出された書類に何かメモをとっている。
「そういうことだ」
「確かに、何かあってからボロが出てくるのはまずいしな」
 石川は目を落としながら、何度かうなずいた。それを見た猿渡は、
「納得してもらえたか?」
 とたずねた。
「完全にではないが、まぁだいたいはわかった」
 石川は書類を机の上に投げ出した。
「後は姐御に聞くことにする」
「おいおい、提出者は俺だぜ? なんで俺に聞かないんだよ」
 猿渡は不服そうな顔になった。
「とぼけなくていい。これ、姐御が八割以上作った文書だろ」
「なんだ、知ってたのか」
 肩をすくめる猿渡には悪びれた様子もない。
「知らなかったけど、読めばわかるよ。いつ書いてたのかまでは知らんけど」
 石川はそう言ったが、これはハッタリである。
 猿渡は「文書でっち上げの名人」と称されるほど、文章の作成能力が高い。特に、短時間でレポートなどを作るのに長けている。だが、文章の癖のようなものを考慮すると、猿渡が一から作り上げたものではないと石川は感じた。今回提出されたものと似たような構成の文書をどこかで見た記憶があるような気がして、あれこれと書類を見比べたところ、礼が夏に提出した行動隊の編成替えに関する書類に文体が非常に似ているため、かまをかけてみたのだ。
「それはともかく、これについては俺一人で決めるわけにもいかない。四隊長会議で討議しよう。すぐにというわけにはいかないだろうけど」
「そうしてもらえるとありがたいが、決定まで俺たちはどうしたらいいんだ?」
「そんなの、決まってるだろ」
 石川は呆れたような目で猿渡を見た。
「確かに今はおとなしいけど、いつS研がやらかすかわからない情勢なんだ。それに備えるためにも、訓練、訓練、また訓練。月月火水木金金で訓練だよ」
「俺たちは日本海軍じゃねぇぞ!」
 猿渡は目をむいた。
「まぁ、月月火水木金金は言い過ぎにしても、座学などは継続して続けてほしい。操典類の講義が思ったより進んでいない、って報告も受けてるしな」
「マリーンめ、余計なことを……」
 猿渡は呻いた。座学に関しては、教育隊隊長の澤登駿介から委託される形で、礼と2番隊隊長の山田健が行っている。その進捗具合については、二人から澤登に報告され、そこから石川に上がっているのだ。
「他人を恨むな、自分の至らなさを恨め。どこかで誰かが言っていそうな言葉だが、まずは自分たちの役割に専念してほしい」
「……わかった」
 不承不承という言葉を絵に描いたような表情で、猿渡が頷いた。
「こちらで確認することは以上だ。何か聞きたいことがなければ退出していいぞ」
「俺の方からはないな。じゃあ、頼んだぜ」
 猿渡が退出したのを確認すると、石川は図上演習に関する文書を机の抽斗にしまい込んだ。抽斗には「要相談(時期尚早)」と書かれた小さい付箋紙が貼り付けてある。
(礼も気が早いな)
 内心で石川は苦り切っていた。先週末に受けた報告では、一回目の訓練検閲を全ての番隊がパスしてはいるが引き続き錬成が必要であり、特に3番隊と5番隊は出動を控えるべきであるというものだった。そんな状況なのに、なぜこんな文書を作らせたのか理解に苦しむ。
(時間を見つけて問い詰めてみるか)
 石川は溜息を吐くと、先ほどから我慢していたラッキーストライクを取り出し火をつけた。

 礼に真意を問いただす機会は、思ったより早くおとずれた。
 猿渡と話した翌日、秘密部屋に顔を出した石川は、そこで礼に会ったのだ。
「あっちゃ〜、もう出しちゃったのか〜」
 一通り石川の話を聞くと、礼は頭をかいた。
「どういうことだ?」
「もう少し待ってから出そうって、番長には言ったのよ」
 礼は眉をひそめた。
「二回目の訓練検閲が終わってから、番隊対抗演習をみっちりとやって、それから図演と行動隊演習をやろうって話したのよ。なのに、なんで先走ったかなぁ」
「……つまり、時期尚早だと?」
 石川の言葉に、礼はしかめっ面で頷いた。
「尚早どころの話じゃないわ。正直なところ、今年度中の実施は難しいかもしれないわね」
 礼は溜息を吐いた。
「そもそも、図演をやるにしても、統裁官がいないじゃない。やれるとしたらデルタかマリーンだろうけど、どっちも最近忙しそうだし」
「番長は俺にやってくれって言ってたぞ」
 石川の言葉を聞いて、礼は頭を抱えた。
「何考えてるのよ……探索隊の人間に統裁官をやれなんて」
「まずいのか?」
「まずいなんてもんじゃないわ」
 石川の問いに、礼は即答した。
「判定するだけじゃなく、訓練後の講評も統裁官の役目なのよ? どこがよくてどこが悪かったかも話さないといけないの。こんなの、教授にやらせるわけにいかないでしょ」
「それは……確かに俺には無理だ」
石川は肩をすくめた。戦闘部隊に配属されたことなど一度もない石川にできるわけがない。
「かといって、私には時間がないから無理だし、博士は訓練参加者だから関わらせるわけにはいかないし、あとは……ちょっと、ねぇ」
 礼がぼやく。行動隊の番隊隊長以上は全て参加するため、2番隊隊長の山田に統制官役をさせることはできない。
「博士や姐御以外に、誰か作れそうな奴はいるか?」
「そうね……」
 礼はしばらく考えていたが、唐突に顔を上げて、「いるわ」と言った。
「誰?」
「柳澤君よ」
「柳澤……ああ、あいつか」
 スパイ研からの投降者である柳澤の顔を思い出しながら、石川は頷いた。
「あいつで大丈夫か?」
「能力的には、たぶん問題ないはず。この前少し話したんだけど、考え方に変な偏りもないし、知識面でも問題はないと思えたし」
 礼の口調には強さがある。
「そういえば、あいつの配属先をまだ決めてなかったな」
「いろいろあったしね」
 柳澤は投降してから教育隊で初等隊員教育を受けていた。本来なら二ヶ月かかるところだが、三年生という経歴やスパイ研での役職などが考慮され、一ヶ月で初等教育課程は終わっており、配属先が決められるはずだった。
 ところが、古内章雄の奪還作戦や相馬盈の救出作戦、行動隊指揮官への操典教育などがあり、未だに柳澤の配属先が決まっていなかった。暫定的に探索隊総隊長付とされており、石川の情報分析業務を手伝ってはいたが、立場は曖昧なままだった。
「できればなんだけど、柳澤君はうちにほしい」
 礼の表情は真剣だった。
「指揮官としての適性は未知数だけど、参謀としてなら即戦力として十分つとまるとと思う。妙な気を起こさないように、そばにおいて目を光らせておくようにするから、私にくれない?」
「まるでおもちゃを欲しがる子供みたいだな」
 苦笑する石川に、礼は不服そうに頬を膨らませた。
「失礼ね。あなたと同い年なのよ、私は」
「わかってる。そうふくれるなよ」
 石川はなだめるように、礼の肩を叩いた。
「まぁ、確かに姐御の言うとおりだ。いつまでも宙ぶらりんにしておくわけにもいかない。思い立つ日が吉日とも言うし、人事権は今は俺が握ってる。あいつは姐御に預けるよ。近いうちに正式に発令する」
 隊員の人事権は司令にある。司令が不在の今は、四隊長会議議長が司令の持つ権限を全て掌握している。
「念のために言っておくけど、あまり権限を与えすぎるなよ。奴は、一応はまだ別班の監視下にあるからな」
「その辺りについては、ちゃんと気をつけるから」
 礼は頷いた。
「あ、そうだ。あいつのこと、なんて呼ぶ?」
「あれ、まだ決まってなかったんだっけ? てっきりもう決まってるのかと思った」
 礼は石川の指摘に頭をかいた。本来なら教育課程終了時に与えられるコールサインを、まだ柳澤は与えられていないのだ。
「いつもならこっちで勝手に決めるんだが、遅れた詫び代わりに、あいつに決めさせるか」
「その方が楽ね」
 石川の『教授』は当時の顧問会議議長につけられたものだ。礼の『姐御』は1番隊第一小隊長就任時に榊原につけられたもので、それまでは『お嬢』と呼ばれていた。この二人に限ったことではなく、コールサインは先輩隊員がつけることが多い。自分でコールサインを決めて名乗っているのは、『虎徹』柳生と『ガード』木村の二人だけである。
「じゃあ、諸々のことは、次の四隊長会議で決めるとするか」
「そうしましょう」
 石川の言葉に、礼は軽くほほえんで頷いた。

管理人のコメント
 今回は「オジロワシ」内部の話。学内で静かに嵐の前触れのような雰囲気が広がる中、それに備えた訓練も彼らの仕事です。

>石川は以上のことから判断して、猿渡の言葉を言い訳、それも下手な部類に属するものだと判断した。

 副隊長なのに進歩がアレな猿渡。実戦では頑張ってるんですが、有能な副官がいないとだめなタイプですね(笑)。


>「おいおい、大丈夫か? 1番隊隊長ともあろう奴が、そんな弱気でどうする」
>「だからこそ、演習で慣れておきたいんだ」

 こういう交渉ができるあたりは、ただの脳筋キャラではないのですけどね。


>「こっちでは不穏な気配を探知していない。いくつか細かい動きは把握してるが、この程度であれば一個小隊も送れば十分対処できるものだ。そんな状況なのに、なぜこんな演習を行うんだ?」

 石川はまだ執行部隊の一件を知らないのでしょうか? 結構不穏な話のはずですが。


>猿渡は「文書でっち上げの名人」と称されるほど、文章の作成能力が高い。

 でもきっと内容はお察しくださいなんですね(笑)。


>「二回目の訓練検閲が終わってから、番隊対抗演習をみっちりとやって、それから図演と行動隊演習をやろうって話したのよ。なのに、なんで先走ったかなぁ」

 案の定、実際の文章作成者との意思摺合せはまだまだだったようです。


>スパイ研からの投降者である柳澤の顔を思い出しながら、石川は頷いた。

 投降者は有能でもなかなか重用されないものですが、それだけ柳澤に実力があるという事でしょうか。作戦能力を検閲させるというのは結構危険な事に思えますが……


>「じゃあ、諸々のことは、次の四隊長会議で決めるとするか」

 次回は会議回でしょうか。いろいろと今後の伏線も出てきそうです。


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