翼持つものたちの夢

霜月天馬

第二部 第一話 〜新たな始まり〜

「いらっしゃいませ。Piaキャロットへようこそ。お客様何名様でしょうか」
「2名だ」
「おタバコはお吸いになりますか」
「いや。すわない」
「判りました。では禁煙席へどうぞ」
 そう言って私はお客を空いている席へと案内し、メニューを渡してオーダーを聞く作業を流れるように行っていた。
「ご注文は……」
「ああ。一寸待ってくれるか」
「判りました」
 私はテーブルを離れ、厨房へむかった。
「15番テーブルオーダー待ち」
「ほい。網焼きハンバーグセットとチキンソテーセット上がったよ」
「わかりました」
 私は出来上がった料理をトレイに載せて、伝票を確認し指定されたテーブルへと慎重かつ急いで注文している番号のテーブルへと運んだ。
「お待たせしました。網焼きハンバーグセットとチキンソテーセットです。ご注文は以上でしょうか」
「ええ」
「では。ごゆっくりどうぞ」
 そう言って私はテーブルを離れた。そう、今私はPiaキャロット中杉店……。通称2号店で働いている所である。高校を卒業して5号店がオープンする直前まで私は2号店で修行を行う事になっていた。まあ、私はともかく蝉代さんも本店で働いてると聞いた時は大いに驚いたけれどね……。
 そんなこんなで昼のピークを過ぎて休憩室で食事を取っている頃。
「ふう。ようやく昼のピークをすぎたわね」。
「そうですね。3号店も昼のランチタイムは忙しかったですが、此処はそれに更に輪をかけて忙しいですね」
「深山さん。あなた3号店にいたんだ。そういえば治子も3号店に居たんだったわね。治子の働きぶりってどうだった」
「治子さんですか。私にとって治子さんはこの世界のイロハを教えてくれた恩人ですね。それに始めての出会いも凄かったですよ。日野森さん」
「あ、私のこと”あずさ”で良いわよ。みーなと間違えられるから」
「そうですか。まあ確かに治子さんは恋愛に関しては少し鈍い所もありましたね。もしかして治子さんのことが気になるとか……」
「な、なんでそうなるのよ」
「え、もしかして図星ですか……」
 私は彼女にとっての地雷を踏んでしまったかな〜。と思いながらも彼女は答えていた。
「そうね。そうなるわね。数多くライバルがいるけれどあたしは負けないわよ〜。そういえば深山さんには好きな人っているのかしら」
 あずさ先輩の問いに私は即答していた。
「もちろん。いますよ。いま、帝国大学の医学部に入った人がね……。やさしいし、それに腕っ節もありますし、それに誠実な人ですよ。でも、最初の出会いは拳を交えてだったけれどね……」
「で、どっちが勝ったの」
「私が勝った。彼も地域の高校を率いる番長だったんですが何とか勝ちましたね」
 その話をしてあずささんは驚いていた……。
「それだけ強いなら神楽坂君よりも役に立ちそうね」
「まあ、高校時代にガデン系やら重量物を取り扱うバイトをメインにしていましたからね。もっともそれで背中に巨大な傷痕をのこしてしまいましたがね。っとすいません。そろそろ私も休憩時間が終わりなので」
 そういって私は残った料理を掻き込むように口に入れて厨房へと向った。
 そして、私は夕方のピークをこなして閉店時間になった。
「おつかれさまです。涼子さん」
「あ、深山さん。お疲れ様。店長が呼んでいるから事務所でまっていてくれないかしら」
「あ、判りました」
 マネージャーの涼子さんに言われるままに私は事務所で待っていた。
「やあ。お待たせ。深山君」
「あ、店長。私にどのような用事でしょうか。もしかして……」
「ああ。君の5号店配属が決まったよ。5号店は1週間後にオープンするので君は明日5号店に向ってくれ」
 店長の辞令に私は肯いた。
「わかりました。5号店の地図を貰えますか。それが無理ならば住所を知りたいのですが」
「ああ。良いよ。これが地図だ。此処で学んだ事を忘れるんじゃあないぞ」
「ええ。有難うございます。店長のことは忘れませんよ」
「じゃあ。5号店でも頑張れよ」
「はい」
 そう言って私は事務所から出た私を待っていたのはあずささんだった。
「深山さん。一体なんだったの」
「私が5号店に配属が決まったから明日5号店に向ってくれって。いう辞令ですね。まあ、私物といっても着替えと洗面用具程度しかないからすぐに荷物は纏められるからいいですがね。そういうわけなので私はこれで帰りますね」
 そんな訳で私は大急ぎで寮へと帰って行った。
 そして翌日……。
「よし、これで荷物の固定はOKっと。さて、それじゃあ行くか」
 私は愛車であるV−Maxに荷物の固定を確認し、シートに跨った。そしてエンジンに火をいれた。
『クキュキュキュ。ドルルルン』
 エンジンは快調そのもののエンジン音を奏でていた。
「一寸。五月蝿いわよ……。朝っぱらから止めてよね……って深山さん」
「ええ。すいません。なるべく音を絞ったのですが五月蝿かったですか……。すぐに出発するので……」
「別に良いわよ。でも、電車があるのに何でバイクなんかで」
「それは、電車よりも早くつきそうなんで。それじゃあ時間も押し詰まっていますので行くわね」
「ええ。治子によろしくって伝えてね」
「判りました。治子さんに伝えますよ。じゃあ危ないので離れてくださいね」
 私はそういうとヘルメットのバイザーを下ろし、単車を発進させていた。
 中杉から藤が浜まで電車で約3時間弱。私のV−maxならば全開で飛ばせば1時間弱で着くわね。
 そんな事を思いながらスロットルを全開の位置へ回していた。

(続く)

あとがき

 みなさんお久しぶりです。そうでない人は始めまして。霜月天馬っす。今回は2部の導入部ですね。
まあこれから5号店での活躍があります。まあ、治子さんや蝉代さんたちも活躍しますし、そして
新キャラも登場予定ですね。まあ、何話になるとは言えませんがね……。

それではまたあいましょう



管理人のコメント

 ということで、始まりました。「つば夢」第二部です。Piaキャロットに就職し、社会人としての第一歩を踏み出した直子。今回は導入編で短い話ですが、今後を予感させるネタはいくつか……
 
 
>私はともかく蝉代さんも本店で働いてると聞いた時は大いに驚いたけれどね……。

 意外な人が意外なところで働いています。蝉代も含めて、第一部キャラの再登場もありうるんでしょうか?
 
 
>もちろん。いますよ。いま、帝国大学の医学部に入った人がね……

 雄蔵、良い学校に入ったんでしょうか。
 
 
>「ああ。君の5号店配属が決まったよ。5号店は1週間後にオープンするので君は明日5号店に向ってくれ」

 舞台は「PiaGO」に移る模様。原作では五号店店長は留美でしたが、本作では治子が店長と言う事で、第一部でのコンビネーションが復活です。まぁ、治子が直子を呼んだんでしょうが……
 
 次回からは五号店が話の舞台になるわけですが、GOキャラとの絡みも楽しみです。



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