翼持つものたちの夢
霜月天馬
第二十七話〜卒業 後編〜
「勇希いよいよ今日だね。なんかあっけない感じだね」
「そうだね。でも、なんと言うか感無量な感じだよ」
「そうね。それじゃあ戦闘に備えて朝ごはんをしっかりと食べて行こうか勇希」
「そうだね」
そんな訳で、私達は久々にゆっくりと朝ごはんを食べてから学校へと向っていた。
で、道の途中で疾風と勇蔵に出会った。
「あれ、疾風はともかく、勇蔵が何で此処に」
「ああ。道でばったりあった。というか、一寸疾風のところで厄介になっていた」
それを聞いた私は勇蔵にちょっと問い詰めていた。
「勇蔵。まさか私に隠し事なんてしないわよねえ。何しているのよ……」
私が勇蔵の首を掴んで問い詰めようとしたら、勇蔵はすぐに答えていた。
「なに、直子がV−MAXをリストアしたって疾風の親父さんから聞いてな。俺もカタナをレストアしているんだ。ナンバーを取ったし、旅立ちには乗っていけそうだ。それにしても部品代って意外と安いものなんだな」
「そうね。そっか。勇蔵もバイクを得たんだ。両親はなんて言っていた」
「ん。俺がバイク持つ事に関しても何にも言われなかった。と、言うか俺が何しようと親達は気にもしていないな」
「そう。勇蔵もずいぶん冷遇されているのね。でも、親がいるだけ良いわね」
「確かにそうだな。ってすまん。お前の古傷をえぐるような真似したか」
「ううん大丈夫」
私と勇蔵がラブラブな雰囲気を出していた頃、疾風たちは……。
「疾風〜。ごろにゃ〜ん」
「おいおい。勇希まだ早いぜ」
「そ、そうだったわね。ふふっふ〜。それにしても春には疾風と一緒の学校で〜それに一緒に暮らすとなると嬉しい」
「そうだが、それでも、2月以来勇希は俺の家に入り浸っていたからなあ。これからもよろしく頼むぜ勇希」
「うん」
とまあ、傍でみると私たちと変わらないラブラブだけど、どうやら質がぜんぜん違っていた。なんというか私や勇蔵も砂糖を吐くくらいラブラブなカップルを見せ付けてくれていた。
とまあ、私達は他の連中が見たらかなり引くような雰囲気を出しながら学校へと向っていた。
「おはよ〜。直子、勇希。ってお邪魔だったかしら……」
「あ、委員長。私や勇蔵はそんなに問題ないんですが、問題は勇希たちは……って完全にアッチの世界に行っちゃってますね」
「あはは……」
「おう。おはよう。舞方さん」
「あら、立川君。それにしても立川君と直子が付き合っているなんてねえ。本当に美女と野獣だわ……」
委員長の台詞に私は目もとが笑っていない笑顔で返していた。
「委員長〜。ちょっと聞き捨てならない事言ったわね〜」
「ご、ごめん。直子……話せば判る……」
「問答無用〜」
という感じで私は委員長に軽く突っ込みを入れていた。
「むう〜。ぶった〜」
「ったく。舞方さんよ。人の恋路を邪魔するような野暮は止めておけ。直子が切れたら俺でも手がつけれん」
「ご、ごめん。直子。そ、それじゃあ私は先に行くわね」
「うん。じゃあ教室でまたね」
ってな訳で私は委員長と別れていた。で、勇蔵とも別れた私は委員長から遅れて教室に入っていた。まあ、勇希達もその頃にはラブラブモードを解除していた。いよいよ此処ともお別れかなんか少し寂しいものだけどね。
そして、卒業式が始まりいよいよ答辞の段になり雅が講堂のステージに上がろうとした時、それが起こった。
「雅〜」
「一蹴……」
私は勇希に目配せしていつでも飛び出せる体制をとった。そして、教師が彼女達を抑えようとするのと同時に私と勇希、疾風がそれを止めようと飛び出していた。で、意外な事に勇蔵はともかく、まさか歩まで来るとは思っていなかった。
「雅。ここはあたし達にまかせて。いきい」
「有難う」
「幸せにならへんかったら承知せえへんで」
「すまん。恩にきる」
男の方はそう言って雅の手を引いて走っていった。
「それじゃあ。やりますか歩」
「ええで。直子」
「俺たちも腕が鳴るぜ」
とまあ、私達は二人に襲いかかろうとしていた教師達の足を止めるべく、私と勇希は教師の懐に入って一撃繰り出した後に投げて飛ばしていた。
で、勇蔵は問答無用で拳と蹴りを駆使して教師を粉砕するが如く殴っていた。疾風はスマートに投げを主体に戦っており、歩はその辺に有ったマイクスタンドを武器に遠距離から的確に急所を狙って攻撃していた。
で、それから30分程した頃……。
「無念……」
「くそう〜。放せ〜」
「かなり無謀だったかしらね……」
「でも、目的は果たせたからいいんじゃあない直子」
「ホンマに雅達。幸せにならへんかったらあたしがマジに殺すわよ……」
私達は見事に教師達に捕まっていた。で、此処は職員室。
「深山、白菊、立川、木瀬。お前達何をしたのか判っているのか」
教師の言葉に私は反論した。
「判っているわよ」
「何故、成績優秀なお前達がこんな真似をした。卒業式を壊すなんていう真似をだ……」
「それは……」
「俺たちは友の為にやったことだ。薄汚い大人たちの言い分で俺たちの将来を壊されてたまるか」
私が言葉に詰まっていると、疾風が突然助け船を出すように言っていた。
「彼女は私たちとは関係ない事。私はただ彼女達が逃がす時間を稼ぐだけのことをしただけです」
私は堂々とそう言い放った。其処まで堂々とされていては流石の教師も何もいえなくなってしまっていた。
で、結局私たちの処分は特になかった。まあ、私達は教師にとっては相当な問題児だったからそんな人間はいて欲しくないんでしょうね。
それが証拠に私たちが職員室を去るとき教師達が堂々と万歳三唱していたのを聞いたからね。
「勇希。私たちって相当の問題児だったみたいね」
「そのようね。でも、私たちがいなくなるからって万歳三唱とはねえ……。気合がそがれちゃうわね」
「まさか、お咎め無しなんてねえ。下手に居させて問題起こすよりもさっさと追い出した方が得策と考えた訳やね」
「そうだろうな。とりあえず教室に戻るか。直子、終わったら一緒に帰らないか」
「それ良いわね。最後にカラオケでフィーバーしますか」
私の提案に勇蔵や歩、疾風に勇希も賛成していた。で、何はともあれ教室に戻る事にした。
「俺たちも戻ろうぜ勇希」
「ええ。疾風」
で、3年のフロアに着いた私達は勇蔵達と別れてそれぞれの教室に戻っていた。で、そこでは意外な人物が教室にいた。
「あ、委員長」
「直子、それに勇希遅かったわね。これ、預かっていたわよ」
そういって委員長は私達に筒状のものを渡してくれた。
「ありがとう。これって証書だよね」
「そうだよ。えーとね直子。私もう委員長じゃあないわよ」
「そうだね。それじゃあ香菜。これから勇蔵達や歩達とカラオケ行くんだけれど行かない」
私は香菜に対して提案していた。で、彼女の返事は意外なものだった。
「あ、良いわね。勇希ちゃんと一緒なんでしょ」
「そうだよ。ついでに言うと、立川の兄貴と木瀬の姉御も一緒に来るって」
「それにしても直子も結構やるときはやるのね。実はあたしもあの時教師の足を引っ掛けてやったわ」
「よくばれなかったわね」
「まあね。だって判らないようにしていたから……」
「本当に香菜って恐ろしいわ。私も貴方だけは敵にしたくないものね」
「そうね。私にとっても直子は敵にしたくないわ。それじゃあ今回の襲撃と卒業の祝杯にカラオケにでも行きましょ」
「いいわね〜」
とまあ、私は勇希たちを放置して二人だけの雰囲気をかもし出していた。で、勇希達もすでに準備を終えたから私達はのんびりと昇降口へと向っていた。
で、玄関先ではすでに勇蔵達がいた。
「遅かったな直子」
「まあ、まあ。立川はん待つのも男の甲斐性やで」
「確かにそうだが……」
「ごめん。勇蔵。遅くなって」
「まあ、数分程度だから別にかまわんがな」
とまあ、私は勇蔵と一緒に会話していた。
「で、どこのカラオケ屋行く」
「そやね〜。天翼から離れるけれど千羽谷(ちはや)まで行く。あの近辺なら穴場のカラオケボックスを
ウチ知っているで」
歩の提案に私はしばし考えていたが、すぐに疾風と勇希が意見していた。
「確かにそれは良いアイディアだけど、今から千羽谷にいったら少し時間かからないかな」
「そうだな。んじゃあ。俺が知っているカラオケ屋はどうだ。ゲーセンと併設だから時間つぶしもできるぜ」
「ん。良いわね。私は賛成よ」
委員長、いや香菜は疾風の意見に賛成していた。で、歩はすぐに疾風のアイディアに賛成していた。
「ん。それでええとちゃう。ほんなら白菊はんの知っているカラオケ屋に直行や〜」
しかし、私がブレーキをかけていた。
「それもいいかもしれないけれど私お腹すいた」
「むう、確かに朝から何も食ってないと辛いな……」
「そうね。木瀬さんは」
「実はウチおなかペコペコ」
「俺もだ……。腹へって死にそうだよ……」
とまあ、襲撃メンバーはことごとく燃料切れの状態になっていた。
『キュルルルル』
「あ、いやだ……」
お腹が燃料切れの音が聞こえたので私はふとその音の元に視線を向けてみるとそこには真っ赤にしていた香菜の姿があった。
「となると、先ず最初に食事が先ね」
「そのようね。で、どこに行こうか。疾風はどこが良い」
「そうだな……」
「俺は直子に任せる……」
「ありがと。勇蔵。でも、どんなものを食うかそれが問題だよね」
「なんなら、アソコ行くか。ウチらのバイト先」
「うーん。そうなるわね。じゃあ行こうか」
「へえ〜。直子のバイト先って見たこと無いわね。興味あるわじゃあ私も異議なし」
歩の提案に私達は賛同していた。香菜も興味があったみたいだったのですぐに決まり私達はバイト先であるPiaキャロットへと足を向けていた。
で、5分後……
『カランコロン』
「いらっしゃいませ〜Piaキャロットへようこそ。って木瀬さんに深山さん。お食事」
店長の留美さんが応対にやってきていた。
「そうですよ。6人で、禁煙席を頼みたいけれどあいてる」
「ええ、大丈夫よ。貴方達。今日が卒業式」
「そうです。店長お世話になりました」
「そうね。それから木瀬さん今日が卒業という事は明日からしっかりと鍛えてあげるわよ」
「お手柔らかに……」
「じゃあ、注文が決まったら呼んでね」
「ええ」
そんな訳で私達は食事をするべく、メニューを見ていたけれど何を食べようか迷ってしまっていた。
「どれにしようか迷うな……」
「そうだな。まあ、俺は久々にビフテキと行きたい所だが、懐が少しやばいからビッグハンバーグセットにしておくか」
「へえ〜。勇蔵は決まったのね。じゃあ私もそれにしようかな」
とまあ、私と勇蔵は仲良く同じメニューを頼むことにした。で、勇希と疾風は……
「うーん。オムライスも良いし、パスタセットも捨てがたい……」
「おいおい。勇希それなら両方頼んだら。どうだ。で、俺と二人で食べあうというのも悪くないぜ」
「あ、良いわね〜」
とまあ、そんな会話ですぐさま決まった。で、香菜が頼む事にしていた。
「あ、オーダーいいかしら」
香菜は留美さんを呼んできて注文をしていた。
「えーとねえ。私はチキンドリアセットをお願いするわ。飲み物はハーブティーをお願い」
「お客様申し訳ありません。チキンドリアは今日は売り切れなんです。申し訳ありません」
「え、じゃあ。えびドリアセットをお願いします。飲み物はハーブティーをお願いします」
「えーと私と勇蔵はビックハンバーグセット1つずつお願い。飲み物は私は緑茶を彼はホットコーヒーね」
「俺はパスタセット、サラダのドレッシングは和風で、飲み物はアイスコーヒーで」
「あたしオムライスセット。飲み物はストレートティーをお願い」
「ウチはこのクラブサンドセットをおねがいするわ」
とまあ、私たちもそれぞれのオーダーを頼んでいた。
「かしこまりました。ドリンクは食前、食後どちらにしましょう」
「食前にお願いします」
「判りました。オーダーを確認しますね」
オーダーの確認がおわると留美さんは流れるような動作でキッチンへと消えていった。
「ふう〜。何時見ても留美店長の動作は美しいわね。私が見ても惚れ惚れするわ」
私がそういうと歩も同意していた。
「そうやな。確かにそれはいえる」
「あたしは治子さんが店長の時しか居なかったからわからないけれど、でもやっぱり治子さんと同様に見ていて美しいと感じるわね」
勇希も同意していた。
「まあ、あの留美さんって言う人、治子さんの先輩に当たる人で、オーナーの娘さんだって」
「へえ〜。それにしても何で直子がそないな事を知ってるんや」
「ん。だって。治子さんから聞いた」
「まあ、確かにあの人は偉大な人だったわね。そういえば直子は行くのよね」
「うん。もう。オーナーと面談も受けて採用が決定したから。まあ、開店までに2号店で修行だけれどね」
「そうか。2号店ってどこだ」
「中杉のちかくだよ。所で香菜はどういう進路なの」
「ん。私。私は鷹乃先輩のところで水泳をやるわ。どこまでいけるか判らないけれどやれるだけやりたいから」
とまあ、料理がくるまで私達は思い思いに語っていた。
「お待たせしました。ビッグハンバーグセットのお客様は……」
「ああ。俺だ」
「私だよ」
「それに、パスタセットのお客様は」
「おう。俺だ」
「クラブサンドセットのお客様は」
「ウチやで」
「オムライスセットのお客様は」
「ああ、あたし」
「えびドリアセットのお客様は」
「あ、私です」
「ご注文は以上ですね。それではごゆっくりどうぞ」
留美さんの流れるような給仕が終わってテーブルの上には私たちが頼んだ料理で埋め尽くされていた。
「それじゃあ直子アンタが乾杯の音頭おねがい」
「ん。判った。じゃあ。えーと、私達が無事に卒業できた事と、それから任務の成功。そして、私達のこれからに乾杯!」
「「「「「かんぱ〜い」」」」」
私達はそれぞれ熱い飲み物や冷たい飲み物の入ったグラスやカップを掲げながら飲んでいた。本当ならアルコール類といきたいところだけど、流石に未成年で学生服着ている以上それはやばいので止めていた。
私と勇蔵は黙々と料理を平らげていたし、歩と香菜はある程度会話しながら平らげていた。まあ、途中でお互いの料理の味見をしていたりしていたわね。で、疾風と勇希の二人は……。
「疾風。食べさせてあげようか……」
「いや、自分で食べられるよ。それよか。勇希。俺のパスタセット食べてみるか」
「え、良いの」
「ああ、いいぜ。その代わりな……」
「判ったわよ」
と、まあかなり仲むつまじい雰囲気だった。で、食事も終わって、私達は本命のカラオケをするべく店を出ていた。
それにしても、5パーセント割引なんて店長太っ腹ですね……。で、すぐに私達はカラオケのあるアミューズメント施設に入っていた。
「え、えーと。6人なんですが部屋の空きあるかな」
「ええ。大丈夫ですよ。何時間やります」
「そうだな。勇希何時間したい」
「そうね。3時間も歌えば十分なんじゃあないかな」
「じゃあ。3時間でお願いします」
「はい。それじゃあこれがマイクとリモコンです。部屋は203号室ね」
そんなこんなで私達はカラオケボックスに入っていた。まあ、仲で私達はかなりフィーバーしたわ。
楽しい時はあっという間に過ぎるとはよく言ったもので、興奮の坩堝にちかい3時間はあっという間に
終わってしまった。で、店を出て私達は駅前の通りを歩いていた。
「それにしても、本当に楽しかったわね。勇蔵もそう思うでしょ」
「うむ。確かにな。直子よ。出発は何時だ」
「えーと2日後だね。勇蔵は」
「俺も同じだな。どうせ荷物って言っても殆ど無いしな」
「そう。じゃあ一緒に行けるかもね」
「そうだな」
で、そんな楽しい時間も終わりを告げていた。
「えーと。香菜、歩。あんた達もお元気でね」
「うん。直子、勇希も元気でね」
「それじゃあ」
そう言って香菜たちは駅へと消えていった。
「はあ〜。これでみんなとはお別れなんだよね……」
「そうだな。そういえば直子よ。お前何時出発だ」
「え、えーと。確か2日後だね。もしかして勇蔵もそうなの」
「ああ。そうだ」
「そう。じゃあ一緒に行く」
「もとよりそのつもりだ。まあ、直子が嫌なら俺はやらないがな」
「ううん。そんな事ないわ。私、嬉しい。ねえ、勇蔵。今夜、家でご飯食べない。あんた今日家に居ても誰も居ないんでしょ……」
「いいのか」
「ん。もう。女の子に恥をかかせるつもり」
「判った。そういうことなら受けよう」
とまあ、私は勇蔵を家に招く事に成功していた。で勇希の方を見ても喜んでいる様子から成功したと確信していた。
そして家に着いたとき私は家の前で勇希に語っていた。
「勇希。いよいよだね。この家ともお別れか……。勇希はこの家が壊されるのを見るつもり」
「うん。さびしいけれど。見届けなきゃいけないような気がしてね」
「そう。じゃあ私も見届けなきゃね。おそらくこの跡地に何が出来るのかわからないけれどなんていうか戻るべき場所がついに無くなる訳か……」
「なあ、直子よ。俺はお前の帰る場所になれないか。今は力不足かもしれんが俺は直子の戻るべき場所になってやる」
「ううん。そんなことはないわ。有難う勇蔵。それじゃあ入ろうか」
「そうだな……」
そんなこんなで、私達は家に入った。そして、私と勇希は腕によりをかけてものすごく豪勢な食事を作っていた。
「勇蔵。疾風〜ごはんできたよ〜」
「お、できたか。楽しみだぜ」
「うー。勇希の飯かうまそうだな……」
とまあ、男達の反応もすごかった。で、食堂について疾風たちは絶句していた。
「お、おいおい。これだけ全部か勇希」
「凄いな」
「一寸、作りすぎちゃったかしら」
「勇蔵達をもてなそうと思って作ったんだけれど。やっぱり多かったかしら」
「いや。何とかなるだろう。とにかく冷めないうちに食べようぜ」
「そうだな」
と、いうわけで私達は簡易式テーブルに作った料理を載せていた。で、私たちは黙々といえ、それなりに会談しながら食べていた。
そして、2時間後……
「うー。食った食った〜」
「もう、駄目……入らん……」
「二人とも少し休んでいるといいわ。私は片づけをしてくるから」
「あ、直子。あたしもやるわ」
「そうね。じゃあ二人でやりましょ」
「うん」
そう言う訳で、私と勇希の二人は私たちが使った食器類や道具などを綺麗にそれも顔が写るくらいピカピカに磨きあげていた。
「ようやく終わったわね」
「そうだね。勇希はこれからどうするつもり」
「直子。それを聞くのは野暮よ」
「ああ。そうね。確かに野暮だったわね……」
そんな会話をしつつ、私は勇蔵の元にやってきた。
「ねえ、勇蔵……」
「判っている。俺も直子。お前のぬくもりが欲しいしな……」
と、まあ。私達はラブラブな雰囲気を出していた。ふと、勇希の方をみてみると勇希の方もいい雰囲気になっていた。
で、私たち二人もまた……ね。で、この後どうなったかは皆さんの想像にお任せするわ。
(続く)
管理人のコメント
前回なにやら不穏な相談をしていた直子たちですが、果たして何をするのやら? ともかく、ついに彼女たちの卒業式です。
>「そうね。それじゃあ戦闘に備えて朝ごはんをしっかりと食べて行こうか勇希」
すでに戦る気満々ですか……
>とまあ、私達は二人に襲いかかろうとしていた教師達の足を止めるべく、私と勇希は教師の懐に入って一撃繰り出した後に投げて飛ばしていた。
教師としては、駆け落ちしようとする生徒を止めるのは仕事の内だとは思うんですが……容赦ないなー。
>で、結局私たちの処分は特になかった。まあ、私達は教師にとっては相当な問題児だったからそんな人間はいて欲しくないんでしょうね。
卒業式ですし、案外温情だったのかもしれません。
>「まあ、確かにあの人は偉大な人だったわね。そういえば直子は行くのよね」
治子が偉大化してます(笑)。 あんまり年齢変わらんのに……
>「ん。判った。じゃあ。えーと、私達が無事に卒業できた事と、それから任務の成功。そして、私達のこれからに乾杯!」
卒業はいいとして……駆け落ちの援護って任務なのか?
>「そうね。3時間も歌えば十分なんじゃあないかな」
いやっ、6人で三時間は意外と短いぞ!!
>「なあ、直子よ。俺はお前の帰る場所になれないか。今は力不足かもしれんが俺は直子の戻るべき場所になってやる」
うーむ、さすがに「漢」な台詞。
ということで、卒業式は終わり、いよいよこの話も第一部の終わりが近づいてきました。迫り来る別れを惜しんだ直子たち。次回はいよいよ第一部最終回です!
戻る