翼持つものたちの夢
霜月天馬
第九話 どたばた文化祭 準備編
「直子。そっち裁断終わった。おわったのなら、ちょっと、あたしのところ手伝って」
「わかった。クラスの女子の分だけとはいえ結構手間掛かるねえ」
私達は文化祭に使う衣装の製作に追われていた。
何故、私達にこのお鉢が回ってきたのかというと事の起こりは数日前にさかのぼる。
「はあ〜久々の学校だよ。それにしてもクラス内がやけに騒がしいようだけれど一体・・・」
私が不思議そうにつぶやいていると、隣にいた疾風が答えていた。
「おいおい。もうすぐ、文化祭だぜ。まあ、俺達のクラスがどう言う出し物を出すのかは判らないが、まあ、この騒ぎだとロクな内容ではなさそうだな」
「そうね。きっとあたし達にとんでもないことを押し付けるような予感がするわね」
「そうね。多分厄介物としか考えていないんでしょうね」
私達はそんな事を言いながら教室内に入ってみると、その予感は見事に的中していた。
「ああ、直子さんに勇希さん一寸良いかな」
委員長が私達に向かって手招きをしてきた。私達は話を聞くだけは聞こうとおもい委員長のもとに向かっていた。
「なんです。舞方さん。用は手短にお願いします」
「実はね・・・」
私達は委員長からとんでもない話を聞くことになった。彼女の話によると、先日のホームルームで文化祭の出し物として喫茶店をやることになったのであるが、独自性を持たせるためにコスプレ喫茶という方向性に決定したのである。そこまでは私も理解したが、問題は衣装をどうするかでいなかった
私達に半分以上押し付けるような形で決定した。
話を聞いて私は怒りを覚えはしたが、逆にここまであっさりと決まると私はある種のすがすがしさを覚えていた。
「所で、委員長。私達に頼んだと言うことは私達が、どんなデザインの衣装を作ったとしても責任は委員長にあると言うことで良いのかな」
勇希がそう言ってきた。
「そうね。勇希の言うとおりよ。まあ、貴方方のセンスに期待するわ」
そう言って委員長は去っていた。
「こうなったら思いっきりきわどいデザインでもしてやろうかしら。どうせ、責任は委員長にあることだしね」
「ちょ、一寸直子。あんたまさか殆ど裸と変わらないくらいきわどい物をデザインするつもり」
「それも良いかも知れないけれど、ヒラヒラの多いロリータ系の衣装でデザインを考えてるわよ。まあ、ネコミミかウサ耳のどちらかつけようと思うけれどね」
「ん。ロリータ系って直子、あんた知っているの。ハードワーク系の服しか持っていなかったあんたがロリータなんて持っているわけ」
「ああ、少々訳ありで入手する機会があったから買ったよ。少なくてもクラスの女子の分の衣装の生地に関しては染色工場の廃材があるからそれを使うとして、問題はデザインと仕立てだな。こりゃ徹夜仕事になりそうだぜ・・・」
「まあ、やるだけのことをやるしかないわね。えーと、クラスの女子は私達をいれて18名。文化祭開催まで後10日だから・・・かなり厳しいスケジュールだけれどやるしかないな。こうなったら疾風の奴も狩り出すしかないね」
私達は教室内で会話をしつつHLが始まるのを待っていた。
私は授業時間中に半分聞きながら衣装のデザインのイラストをいくつかまとめていた。まあ、二週間も休みを余儀なくされた状況であるから、あといくらサボっても何も文句も言われないと言う確信を持っていた。
そして放課後・・・
「勇希。デザインをいくつかまとめてみたけれどどうかな。勇希の意見を聞きたいよ」
私は勇希にデザインした原案の内良さそうなものをいくつか抜き出して、勇希に見せていた。
「んー。あたしはこのメイド服に猫耳が付いたのが良いね。ついでにうさ耳もつければもっと良いかとおもうね。これで疾風に迫って見ようかしら・・・」
勇希はそう言って一人、萌えあがっていた。一方、私は冷静な言葉で勇希に答えていた。
「そうか。そう言ってくれるとよかった。これでデザインはOKだな。あとは仕立てるだけだね」
それから、クラス女子のサイズを聞こうとしたが、委員長が既に手回しをしていてくれたので私達はすぐさま衣装の型紙作りにとりかかることにした。
それから何日か過ぎて文化祭前日の深夜三時頃・・・
「おっしゃあ。これで女子全員の仕立てが終わった。疾風、オプションの方はどうなっている」
「ああ、うさ耳、猫耳ともに全部完成しているぜ。まさか、勇希に狩り出されるとは思ってもいなかったぜ」
二人の会話に私は半分苦笑して言っていた。
「まあ、まあ。少なくても私は疾風に感謝しているよ。疾風が手伝ってくれなかったら今ごろどうなっていたことか判ったものじゃあないしね」
私がそう言って疾風に礼を言っていたが、疾風の方は既に沈没直前の大和な状態であった。その様子を見ていた私の意識もまた闇へと落ちていった。
そして、本番の朝を迎え様としていた・・・。
続く
管理人のコメント
学校に復帰した直子たち。さて、今回のイベントは……
>「おいおい。もうすぐ、文化祭だぜ。まあ、俺達のクラスがどう言う出し物を出すのかは判らないが、まあ、この騒ぎだとロクな内容ではなさそうだな」
>「そうね。きっとあたし達にとんでもないことを押し付けるような予感がするわね」
>「そうね。多分厄介物としか考えていないんでしょうね」
何故か突然ネガティブ発言連発です。
>「所で、委員長。私達に頼んだと言うことは私達が、どんなデザインの衣装を作ったとしても責任は委員長にあると言うことで良いのかな」
>「そうね。勇希の言うとおりよ。まあ、貴方方のセンスに期待するわ」
意外と良い奴ですね委員長。でもコイツらに任せて大丈夫なんですか委員長。
>「こうなったら思いっきりきわどいデザインでもしてやろうかしら。どうせ、責任は委員長にあることだしね」
>まあ、ネコミミかウサ耳のどちらかつけようと思うけれどね
言わんこっちゃない(笑)
>「んー。あたしはこのメイド服に猫耳が付いたのが良いね。ついでにうさ耳もつければもっと良いかとおもうね。これで疾風に迫って見ようかしら・・・」
あーもう好きにしてくれ(苦笑)。
>委員長が既に手回しをしていてくれたので
有能じゃないですか委員長。私ちょっと貴女に興味が出て来ましたよ委員長。
まぁ、隠すまでも無い事ですが、私は委員長キャラは好きです(笑)。彼女の今後の活躍に期待しつつも、直子たちが何をしでかすか見守る事にしましょう。
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