「うーん。この制服って可愛いものだね。勇希はどう思う」
私はバイト先の更衣室で下着姿で勇希に質問していた。
「ん。確かに可愛いけれど、男達の視線がどうも気に掛るわね。
それにナンパ目的で近づいてくる人達が一寸、うざいね」
「それは言えている。あ、治子さんおはようございます」
「あら、直子ちゃんに勇希ちゃんおはよう。今日も一日張り切っていきましょう」
「「はい」」
私達が制服に着替えているところで治子さんが私の背中をみてこう言ってきた。
「直子ちゃん。背中の傷痕どうしたの」
「ん。ああこれね。今年の夏休みに、バイト中の事故でざっくり斬られた。
でも、そのとき背中を斬られていなかったら、私はこうして、生きていられなかったでしょうね」
私は治子さんの質問に素直に答えた。
それを聞いた治子さんは私に謝ってきた。
「ごめんなさいね。何も考えも無く言ったりして」
「いえ、別にかまいませんよ。確かに傷痕が残りましたが、生きていればこそですよ。それに私には目指すべき夢がありますから。
ねえ勇希」
「そうよね。あたし達には目指すべき空があるわ。その為にはたとえ傷だらけになったとしても生きなきゃね。
それに夢はつかむものよ。夢が時間を裏切らない限りきっと夢はかなうわ。もっとも、夢に向かって努力してこそですがね」
「ふふ、勇希ちゃんてロマンチストね」
「まあ、それも直子のおかげなんですがね。ほんと彼女は凄いわよ」
「な、何、治子さん。私のことじろじろ見て、何かついてるの」
「別になにもないわよ。ほら、ほら。それよりも急がないと店長にどやされるわよ」
「「はーい」」
私達は急かされるように着替えを済ませてフロアにむかった。遅番の私達は昼のピークを過ぎた所で仕事に入った。
「チキンドリアセットのお客様。大変お待たせしました。あ、3番テーブルのチーズハンバーグセットできた。はーい。今、行きます〜」
私は出来あがった料理を給仕し、そして、オーダー待ちをしているお客のところへ、オーダーを取りに行き、空いているテーブルの食器を片付けるといったフロアの仕事を黙々とこなしていたのである。
ふと勇希の方をみると勇希の方も、どうやらコンスタントに仕事をこなしていたようであった。
そして隣をみると治子さんの仕事ぶりがものすごく早く、的確な動作で無駄が無く、まるで踊る様に美しかった。
思わず見とれて、店長にドヤされることもあったが、それでも私は与えられた仕事をきっちりとこなしたのであった。
「はあ〜。前の仕事も体力使ったけれど、ウェイトレスと言うのも結構体力使うわね。それにしても治子さんって、凄いよ。
あれだけの量の料理を持っていても流れるように優雅に運んでいるし、オーダー取りのタイミングも正確無比だから、凄いわね」
昼のピークが過ぎ、休憩時間に入った私は、既に休んでいた勇希に話し掛けていた。それを聞いた勇希も肯いていた。
「そうね。確かにあの人は凄いわ。それに、なんだか、直子と雰囲気が似ているわね」
「雰囲気。私と治子さんが似ている」と、私。
「うん。笑顔の中に何処か影と言うか、憂いを帯びているのを感じるわ。まあ、気のせいかもしれないけれどね」
「ふーん。勇希も結構見るところはみているんだ。安心したよ」
「ふふ、直子にそう言われると少し嬉しいわね。治子さんにどう言う過去があったのか、知りたい事もあるけれど、それは本人が語るまで聞かないことにしましょ。あたし達にだって聞かれたくない事があるようにね。それに、あの手の人がマジに切れたら、命のやり取りを覚悟しなきゃ駄目だから」
「そうね。私もそう思うわ。治子さんがもし本気になって私に向かってきたら、私も本気になってかからないと駄目かもね」
「嘘。とてもそうは見えないけれど、でも直子の感って意外と当たるからね」
私達がそんなことを駄弁っている所に元気な声が休憩室内に響いた。
私がふと入り口へ目を向けてみると髪を後ろに束ねた桜花ちゃんがいた。
「休憩〜はいります〜。あ〜深山先輩達じゃあないですか。二人ともいるなんて桜花幸せですぅ〜」
そう言って私の胸に抱きついてきた。私は苦笑しつつも一言言っていた。
「お、桜花ちゃん。君もここへバイトにくるとはね」
「え、桜花ちゃんがここにいるの。と、言うことは疾風もここにいるの」
と、勇希が乗り出すようにそして少々期待しながらも桜花に迫ってきた。しかし、桜花の台詞は勇希の淡い期待を見事に破壊していた。
「え、お兄ちゃんはここを受けなかったのですよ。受験が忙しくなるからって言ってましたね。
それにお兄ちゃんも先輩達と同じ道を歩むとか言っていましたね。なんでも先輩達に惚れた弱みさ。なんて言っていましたね」
「そう、そういえばそうなのよね。あたし達も本来なら、学校を辞めて働かなきゃ駄目なんだけれど、夢の為にはどうしても高校を卒業しないとね…やるわよ。あたしゃ」
勇希はそう言って一人意欲に燃えていた。
「そうだね勇希。私達の夢のためにはね。あ、所で桜花ちゃん何か飲む」
「はい先輩。私、冷たい牛乳をお願いします」と桜花。
「あ〜。直子だったら私はアイスティーね」
勇希もついでに私に注文を言ってきた。まあ、断る理由も無い私は素直に肯いて返事をしていた。
「それじゃあもらってくるよ」
そう言って飲みものをもらいに、私は厨房へと向かった。
一方その頃休憩室内では。
「勇希先輩。単刀直入に言いますが、お兄ちゃんと付き合っているって本当ですか」
「ん。疾風と付き合っているって。え、ええ〜」と勇希。
「え、違うのですか。あたし、勇希先輩とお兄ちゃんって良く喧嘩するし、なんだかんだいって
息が合っていることも有りますから。それであたしはてっきりそうかと思ったのですが」
「ごめん、今のあたしには良くわからない。でも、疾風の事嫌いじゃあないわ。でも、桜花ちゃん疾風にそんな事言ったら駄目よ」
「そうですか。先輩に対して無神経なことを言ってしまって申し訳無いです」
「それは良いのよ桜花ちゃん。はあ〜直子に言われ、桜花ちゃんにまでお似合いの二人って言われるとはね〜」
「え、直子先輩にも言われたのですか。やっぱり直子先輩って、一見何処か抜けているようですが、凄い観察眼と洞察力を持っていますね。それに、人のことは良く見えるけれど意外と自分のことは知らないものですから。特に自分の中に秘めている心の思いっていうのは特にわかりにくものですよ。勇希先輩」
「ふふ、ありがとう。そう言う風に言ってくれるのは桜花ちゃんだけよ。まあ、お互いに今を全力で生きればきっと道が開くわ」
「そうですね。先輩の話ってとっても為になります」
そんな話もトレイを持ってきた直子が戻ってきて終わりを告げた。
「っと持ってきたよ。って所で勇希、何話していたのさ」
「ん。直子には関係無い話。ねえ。桜花ちゃん」
「そうです。あ、先輩ありがとうございます。頂きますね」
そう言って二人は私が持っていたトレイから飲み物を取ってそれぞれの席でくつろいでいた。
それを見た私も、これ以上の追求は無駄と判断して。厨房から貰ってきたアイスコーヒーを片手にくつろぐことにした。
そして休憩時間が過ぎ、私達二人は再び仕事に戻ることになった。そして夜のピークに入り私達もいつもよりも大忙しで働き、気がついたら閉店まであと20分を切っていたのであった。
そして閉店時間である21:00を回り今日も無事に店が終わった。マネージャーが玄関にある札を『CLOSE』にし、残っているスタッフで、 店の閉店作業を行なうのであった。
店長がキャッシャーを閉め、私達従業員は明日に備えてフロアの清掃やテーブルの掃除を行なっていた。
そして20分後、閉店作業が終わり私達は思い思いに帰り支度をしていた。そして、私が着替えを終えて、店を出ようとすると通用口の所で、勇希と治子さん、桜花の3人が待ってくれていた。それを見た私は一言礼を言った。
「あ、勇希。待っていてくれたの。ありがとうね」
「直子。遅いわよ、罰として今日の晩御飯の当番貴方がしてね」
「直子先輩お疲れ様です。一緒に帰りましょ」
勇希と桜花の二人が思い思いに私に向けて語ってきた。それを見た私は返事を交わしていた。
「わかったわよ勇希。確かに入院中の借りをまだ返していないしね。あ、それと桜花ちゃんお疲れ様。治子さんもお疲れ様です」
「ふふ、それにしても直子さんって結構根性があるわね。殆どフルに近いのに全然へばった様子も見せないし。あたしなんかこの仕事を始めたとき終わったときは結構へばっていたわよ」
治子さんが感心した表情で私に言ってきた。
それを聞いた私はこう答えた。
「まあ、以前の仕事で一個40キロ以上の塩袋を一日30パレ以上捌いていましたから、別にこれくらいどうって事はないですね。まあ、そこの現場の人達も大いに驚いていましたよ。それに勇希も体力はあるね」
私がそう言うと治子さんと桜花の二人は唖然としていた。その静寂を破ったのは桜花であった。
「せ、先輩、す、凄すぎます。桜花も先輩達にあこがれちゃいます」
そう言って桜花は私めがけてフライングダイブをかました。私は咄嗟に彼女を抱き止めたが、そのとき丁度胸の辺りに桜花の顔が埋まり、彼女は思いっきり興奮していた。
「お、桜花ちゃん。落ち着いて、落ち着いて。ちょ、一寸、勇希。見ていないで助けてよ」
一方、勇希達は…。
「ああなった。桜花ちゃんは止められないわね。まさに名は体を表しているわ。治子さんも気をつけたほうが良いわよ。あの子思いこんだら一直線だから」
「た、確かにそうね。ふふ、でも無敵の直子ちゃんにも弱点があった訳ね」
「そうね。でも、二人ともわかっているんですよ。だから私は別に何も言わないことにしているんです。でも、まあ危なくなったら止めにはいりますがね」
「ふーん。勇希ちゃんって熱い性格しているわね。まあ、話は変わるけれど貴方がいろいろ場面で決断する時が来たらどちらかを決断しなさい。あたしみたいに、どっちつかずで天罰を食らうよりかずっとマシよ」
「その言葉、今は理解しずらいですが、胸にしまっておきます。所で治子さんの夢と言うか目指している目標ってあります?」
「夢ねえ。まあ、私はPiaキャロットの店長になりたい。いや、なろうとしているって所ね。勇希ちゃんの将来の夢はなに」
「ん。私ですか。私は家に眠っている飛行機を自らの手で操縦して空を駆け回りたい。まあ早い話がパイロットを目指していると言った所ですね。本当は直子の夢なんですが、私もそれに共感して私もそうなろうと思っていますね」
「そうなの。お互いに夢に目指していけるところまで行きましょう」
「ありがとうございます。治子さんの話を聞いているとなんだかとっても為になります。おっとそろそろ直子を助けてやらないと危ないね」
「はい。はい。桜花ちゃんその辺にしておいた方が良いわよ」
そういって抱きつかれていた桜花を私から引き剥がしたのであるが、桜花は悔しそうな表情でつぶやいていた。
「はあ〜。先輩って胸が結構有りますね。私、無いから羨ましいです…」
それを聞いた私達はどう言えば良いのか悩んでいた。まあ、当然と言えば当然であろう、変に慰めを言っても傷つけるだけであるから私達は黙っていたのであった。
「先輩一緒に帰りませんか」と桜花が私に対して質問してきたので私はこう答えた。
「別に時間は大して気にしていないから良いよ。あ、治子さんはどうします」
「ええ、そうさせてもらいます」と治子。
「それじゃあ、一緒に帰りましょう」
そう言って私達4人は夜の道を歩いていた。大通りを過ぎた所で突然後ろから大量の不良達に絡まれたのであった。
そしてよくよく見てみると、どうやら、以前締めた連中が再びやってきたようであった。
「よう。この前は散々世話になったな。この前の礼を言わせてもらいに来たぜ」
ロンゲのヤンキーが私らに声をかけて来た。私は半分あきれ果てた表情でこう言った。
「はん。あんたら、懲りないわね。もしかして大人数なら勝てると思った訳。情けないね〜。あんたらなら、額に汗して働けば金なんてがっぽり稼げるのに、よりにもよって女子供から金を巻き上げるなんて人間の屑ね。いや社会のばい菌ね」
私はそう言いながらすばやく状況を見ていた。敵は総勢十五名武器を携帯している可能性が高いと見た私は、勇希に二人を逃がすように
目配せしたのであった。
勇希は肯いて二人を逃がそうとしていたが、治子さんが口を開いたのであった。
「直子さん、こうなったのも私が原因です。ケジメは付けさせて」
「で、でも良いの」私がそう言って止め様としたが、彼女は頑として逃げる事を断ったので、私は肯いたのであった。
「へへ。逃げられると思っているのかよ」
「甘いわね。あんたらの相手はこの私よ」
勇希と桜花の二人が逃げるのを止め様とした不良を押さえるべく私は咄嗟に相手の前に回りこんだのであった。
そして不良が拳を振るうのをみて私は腕をつかみそのまま投げ飛ばした。それが乱闘のゴングともなった。
そして私は相手の動きを読み、そして一撃でKOさせるべく鳩尾や延髄に肘討ち、膝蹴り、賞底と多彩な攻撃で相手にダメージを与えていた。
一方、治子さんの方も近くにあった角材を巧みに操って次々とダメージを与えていた。が、しかし、多勢に無勢。戦況はだんだん私達にとって不利になってきたのであった。
「深山さん大丈夫」
「ええ。治子さんの方こそ大丈夫」
「大丈夫と、言いたいけれど、かなり不利になってきたね」
「どうやらこれまでかな。ごめんなさいね変なことに巻き込んで」
「ち、手間掛けさせやがって、テメーらボコボコに犯してやるぜ」
そういって不良はナイフを取り出して私に向けて刃を切りつけてきた。私は咄嗟に上体をひねってかわしたが、ブラウスの部分に刃が掠りディープブルーの布が中に舞った。その隙に私は手を掛けた不良の腕をつかんで思い切り投げ飛ばし、伏せた所に腕を思いっきり捻った。
それが、あいつらに火に油を注いだらしく逆上して襲い掛かってきた。
それを見た私はいよいよ駄目かと思った。が、そのとき突然、後ろから2条の風が吹いて私に襲い掛かってきた不良が吹っ飛んだ。
振り向いてみると其処には、疾風と勇希の二人がいたのであった。
「よくも、直子のたまの肌を覗いたわね。その見物料、貴方の命で購ってもらうわ」
「一歩間違えば桜花手篭めにしかねない連中だ。コテンパンに伸してやる」
そう言うや否や彼らの行動はものすごく素早かった。
向かってきた連中に対して情け容赦無い攻撃をしかけたのであった。そして5分後…
警官がやってきたときは既に彼らは既に全員が動けなくなっていたのであった。
どうやら私達は窮地を脱出したようであった。そして私達は状況を詳しく警官に説明した。
すると警官はうずくまっていた不良たち全員を婦女暴行未遂の現行犯で逮捕された。そして彼らの所持品から銃刀法違反、恐喝、麻薬所持等の余罪があり、彼らは警察にひきたてられたのであった。まあ、二度と会うことも無いであろう。
そして警察の事情聴取が終わった頃、勇希が私に話し掛けて来た。
「直子。これ着なさいよ。こんな格好じゃあ帰れないでしょ」
「いや〜。良いもの見れたぜ。ま、これも役得と言うことで…」
二人の言葉を聞いた私は、改めて服を切られていた事に気がついて大きな悲鳴を上げ、思わず疾風に一撃をくらわせていたのであった。
「きゃあ〜。み、見ないでよ〜」
勇希から渡されたジャケットを着た私は気合が抜けたようにその場にへたり込んでいた。
周りを見てみると治子さんもへたり込んでいたのであった。それを見た私の意識はそのままブラックアウトを起こしていた。
そして気がついた時には見知らぬ部屋の天井の光景が、目に入った。
「あ、気がついたみたいね」
「ゆ、勇希か、一体あの後どうなったのだ。それとここは何処だ…」
私が勇希に問い掛ける前に勇希が答えていた。
「ん。あの後、疾風がここまで背負って運んでくれたのよ。そしてここは治子さんが住んでいる寮の部屋よ」
「そうか。ありがとう勇希。それと疾風達にも礼を言っておかないといけないな」
「そうね。所で直子、体調の方は問題ない?」
「ああ。別にとくに痛みも感じられないしとくに問題はないね」
「あら、気がついたようね。それにしても貴方も本当に無茶するわね」
治子さんが部屋に着たのを見て私は咄嗟にお礼を言っていた。
「本当にお世話になりました。このお礼は何時かきっとします」
「別に良いわよ。本当のこと言うと私も人のこと言えないけれどね」
私は治子さんとたわいも無い会話を勇希が来るまでしていた。
「あ、治子さんも気がついたわね。よかった〜。治子さんからだの調子はどう」
「ん。別に何とも無いわね。勇希ちゃんの手当てが良かったからかな。それにしても、本当に手当ての手際が良かった。もしかして医師の心得を持っているの」
「いえ、身体で学んだことです」
勇希が伏せた表情でつぶやくように答えた。
「そう。悪いことを聞いてしまったみたいね」
「別に良いですよ。あ、そろそろ行かないと学校に間に合わないわね。治子さんありがとうございました。今度、仕事が終わったら家にきてください。晩御飯ご馳走しますから。それではこれで失礼します」
勇希がそう言うや否や私の手を取って駆け出したのであった。私も遅れまいと全力で走ったが、結局、始業時間に、間に合わなかった
私達は、のんびりと学校に向かうことにした。まあ、遅れた以上昼前に来ようと昼過ぎに来ようと対して変わらないわけである。
そして昼休みが始まった頃、教室に入った私達はものすごい目で見られることになった。
何が一体どうなったのか、疾風に聞いてみることにした。
「ねえ、疾風一体、私達何かやったのかな。なんか妙な視線を感じるのだけれど」
私のその質問に疾風は大きく落胆したというか諦めのムードたっぷりにこう言った。
「はあ〜。気づいていないのかよ。今朝の新聞読まなかったのか。ってまあ無理か、ほら切りぬきだが読めよ」
疾風から紙切れを受け取った私はその記事を読んでみて大いに驚いた。そこには…。
お手柄女子高生。バイトの帰りに暴漢をノックアウト。
そう書かれていたことを見て私は一瞬で悟った。そう、これから何が起るかを…。
「どうやら、ヤバイ事になっちまったようだよ。勇希」
「そうね。もし、停学になるようならあたしも付き合うわよ」と、勇希。
「そうだな。俺も同罪だしな。あ、噂をすれば呼び出しが来たようだぜ」
『深山直子、深山勇樹、白菊疾風の3名、今すぐ生徒指導室に出頭せよ』
生徒指導の教官からのどら声が、校舎内に響き渡ったのを聞いた私達はしぶしぶ、向かうことになった。
そこで一方的な教官からボロクソに言われたのであったが、私達は大人しくしていたのであった。
しかし、心無い一言に遂に私はぶち切れて行動に移った。
「まったく、親が居ないと好き勝手するんだな」
「あんたね。例え教師と言えども、言って良いことと、悪いことの区別がつかないの。私達に親がいないのは私達の責任じゃあないわよ」
そう言って私はそいつの胸倉をつかみ持ち上げ、教師の鳩尾に一撃を食らわせふっ飛ばしたのであった。そしてその結果…。
「まったく、あんたって、見境も無くやるんだから。でも、私達のことを思って手を出したのでしょ。それは感謝するわよ」
勇希がブーブー文句を言っていた。
「ごめんね。勇希」と、私。
「まあ、あれはあいつが悪い。もし直子がやらなかったとしても俺がやっていただろうな」
そう、私達は無断でバイトした件と教師を殴った一件で2週間の停学処分をくらったのである。
「まあ、退学処分にならなかったのが幸いだな」と疾風。
「そうね。ねえ、直子あの時わざと手加減したでしょ」
「あら〜ばれていたのね。勇希の目はごまかせなかった訳か」
「あのね。バレバレよ」
「でも、桜花に咎め無しで良かったぜ。あいつは俺達と違って優秀だからな。痛てて、あにふんだよ」
「そんな事言う口はここかな〜。って良く言うわよ疾風、貴方の試験の平均90点代の癖にさ」
勇希が疾風の口を引っ張っているのを見て私は苦笑していた。
まあ、学校公認で2週間も休みを貰った訳なので、その間に私はしばらく、放置していたULPの整備をやっておこうかなと思っていたのであった。
後書き
はあ〜ようやく第三話完成しました。それにしても今回はいろいろと紆余曲折しましたし、ネタをひり出すのにかなり苦労しました。
まあ、連載モノという始めてのジャンルなんですがやれるところまでやるだけですね。それでは第四話でまたお会いしましょう〜。