暗い何も無い空間に浮かぶ無表情な仮面、そして仮面より染み出るように現れるは黒い紳士服とシルクハットに身を包んだ謎の男

「どうもどうも、はじめまして、この度は我等の劇場においでくださってありがとうございます。私、この劇場の案内役兼語り手を勤めさせてもらっています本名『会津 正男』、役職名『ポーカー・ザ・マスク(仮面の無表情)』と申します」

 そう男が喋り終わると、周囲の景色が変化し……

 そこは昼間なのに薄暗く、木々ばかりか大地まで禍々しい印象で覆われた世界……
 即ち、『魔界』へと移り変わる…

「さて、今回の話はとある正義の味方志望の少年が遭遇してしまった災難、そう、本来ならば少年のいた表ばかりか裏の世界、システムの常識すらも完璧なまでに覆すような偶然と失敗とドジと欠陥とシステム自体の綻びから引き起こされた出来事です。
 ですがですが、この少年、中々災難なれしているようで、コレが起きる前にえーーーと、何でしたっけ………そうそう!何かの使用済みの食器……のようなものを巡る戦争でどっかの王様を召喚し、剣を中心とした物体を実体化させる術を使い、様々な経緯の後にその戦争で勝利、相棒だった王様にツンデレドジッ子、あくまっぽい後輩?白い猫っぽい少女とかとエライいい関係になっちゃいまして、もう、修羅場修羅場でてんやわんや♪その上、後の騒動では断層の女性ボクサーやら尼さんに見えない尼さん何かも加えまして凄まじい事になっとったそうです」

「はてさて、この『魔界』で少年はどうゆう目に会ったのか、では、ごゆっくり………」



―精霊獣奇譚・前夜祭―
―とある不幸で幸福な結末―
―第一話  とある正義の味方志望(と魔法使い)の結末(前編)―




 ここは魔界の一角の謎めいた森の中……
 そこで彷徨っているのは魔界の住人である少女。
 しかし、ただの少女ではなく、着ている衣服は胸の辺りが開いて少女の巻いているサラシが見える白い着物…中々そそるものがありますねっと、それより、下は赤い袴といった様相、そして、ポニーテールとは少々趣が違ったような後で纏められた髪、これらから察するにこの魔界では『侍』に分類される存在のようですねぇ〜〜〜……髪が赤毛でなければ完璧でしたが。

 ………ありゃ?
 先ほどの少年は何処へ逝ったのでしょうか?
 きになりますねぇ〜。
 それでは、この魔界で事が起こる前をちょっと覗いて見ましょう……


―数日前―

 っと、いうわけで数日前の森の中です。……どうでもいいですが、結構前ですね。
 そこには……
 おや?虹色の輝きのもやが上空にありますねぇ〜〜〜
 お、その中から、先ほど?の侍少女『落ちて』きています。

 ドスンッ、ぱりーーーん

 おやおやおや、少女が着地……というよりも落下と同時に何か割れるような音がしましたよ?
 まぁ、それはおいといて、
「いててて……」
 早速少女が目を覚ましたようですね、
「一体何が………ん?」
 今度は何か疑問に思ったようですね、しきりに周囲や自分の体や衣服を見てますね……。
 そりゃそうと、あの高度から落ちてよく無事でしたね〜〜〜〜。
「???(ポフッ)……………■■■■■■■■■■■■!?!?!?!?!?」
 おや、股間に辺りに手をやった後に絶叫してますね……。
「ない無い無い無い!?!?!?!」
 おやおや、何かが無いと騒ぎ立てているようですねぇ〜〜〜〜。
 一体、何が無いというのでしょうかね。
「○ン○がなぁ〜〜〜〜〜〜〜いッ!?!?」
 …………どうやら、この少女は『元・男性』みたいですね。
 しかし、ここは『魔界』の森……こうも騒ぎ立てていると……
 ガサッ……
「!?」
 ほら………騒ぎを聞きつけた魔物がくるんですよね………野生の動物とは違って……。
 それはそうと、その物音のした方向には……
「グルルゥ………」「な!?ド、ドラゴンッ!?!?」
 緑色の鱗に皮翼の翼、そして鋭い牙と爪、角を持った大型爬虫類………幻想種の中でも最強の分類に入る『ドラゴン』が其処にいました………。
 いやはや、運が悪いですねぇ〜〜〜〜。
「く、投影(トレース)、開始(オン)ッ!!」
 その呪文とも取れる響きの言葉と共に表れたのは白黒の東洋風の短剣。
 ふむ、先ほどの説明で少年は「剣を中心とした物体を実体化させる術」を使っていた事から察するに、この少女は先ほどの少年だったようですね………いやはやこれだから人生は面白い。
 おっと、そりゃそうと、少女とドラゴンはどうなったのでしょうか………。
「………」「………」
 睨み合ってますね………所謂、『先に動いたほうが負ける』……ってやつですかね。
 暫らく続きそうですね、こりゃ………。

……数十分後……

 まだやってます。いい加減見飽きてきましたよ。
………暇なんでドラゴンの心の中でも読んで見ましょう……。
「………(あーーー何やってんだろ、俺。かーちゃんに夕飯の材料を頼まれて馴染みの八百屋のオッサン(ゾンビ)とこに行くのに近道を通ったら妙な奴(多分、侍)に出くわしちまって。そろそろオッサンとこに行かんとかーちゃんに怒られちまうよ……)」←ドラゴン……どうやら御使いの途中みたいですね……でも、文句を言いながらもちゃんとお使いに出ている辺り、関心関心。
「!(隙ありッ)」ビュッ
 お、少女が白黒の短剣の内、黒い方を投げ付けましたね。
 ガスッ「グッ!?」
 投げた短剣はドラゴンの鱗に刺さり……
「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」
 チュドォーーーーーーーーーーーンッ!!!
 激しい爆発を起こしながら砕け散りました。
 大丈夫なんでしょうかね、このドラゴン。
そして、
(脱兎ッ)
 ものすごい勢いで少女は逃げ出しましたね………。
 まぁ、無理もありません。少女の知っている常識ではドラゴンはとても人間が相手をすることができるような存在ではありませんからね………。
 さて、肝心のドラゴンほうはというと………ありゃまぁ………見事ぉ〜〜〜に目を回しておらっしゃいますね…………こりゃ夕飯に間に合うかは微妙ですな…………合掌(チ〜〜ン)。



―数日後―
 さてさて、少女が少年であることがわかったので時間を戻します。

 では、現在の少女の状況はといいますと………
 よく見たらボロボロの着物に袴……髪もかなり乱れてきていますね……後、体中も傷だらけ…………、更には具現化させたと思われる赤い槍を杖のようにして歩いてますね。
 どうやら、あの後にも何らかの襲撃を受けて必死に凌いでいたようですね……でも、かなり疲労の色が濃いようですね。

 バタッ

 っと言っている内に、前のめりに倒れちゃいました。

「うっ……イバー(ヒック)……遠…(グスン)……サ…ラ(ヒックヒック)………」

 あいやー……泣き始めちゃいましたよ………。
 こりゃどっからどうみても女の子にしか見えませんね…………。
………でも、こうも泣かれちゃ見ているほうもいい気がしませんね………
…えっ?「めっさ萌えるからこのまま見ていたい」って?
 まぁ、そりゃそうですが………。

ぐぅ〜〜〜〜

…………何やらお腹の中の小人さんがご飯の時間を告げる音がしましたね……。
 ん?先ほどまで泣いていた少女がヨロヨロとですが立ち上がって何処かへと出かけていきますよ。

……暫らくお持ちください……

 おやおや、川らしき場所で魚を獲って、そこらへんの野草や茸を採っていたみたいですね。しきりに採ってきた獲物を触りながら何か呟いているみたいですね………気になりますね?気になりますよね?では、何を言っているのか聞いてみましょう。
「……これ、良し。これは……毒があるからダメだな。ん、これは良し」
 ふむ………どうやら毒かどうかを見ているようですね………。

 そんなこんなで毒があるかどうかを分け終わった後、
 トントントントンシパパパパパパグツグツグツ……
 見事なまでの手際で(どっからだしたのかよく判らない)包丁や鍋で素材を調理していますねぇ……………。

 ふむ………何だかお腹がすいてきましたから一先ず休憩させてもらいましょうか……。



 ふぅ、満腹満腹、やはり『南堂食堂』の日替わり定食・量はお好みコースはボリュームたっぷりで美味しい、そして、安い……やはりいいですねーー。

 それでは、少女の様子を見てみる事にしましょう………って、ありゃ?
 何ででしょうかね?
『地面に突っ伏してる』ように見えるのですが?しかも。『手足を痙攣させながら』………。
食中りですかね?ふーーーーむ……少女の食後の残りと手持ちの『魔界食材事典(ゼニスキー出版発行)』から推測してみましょう……。
  ・奇形の魚………………魔界鮎(毒性なし、ただし非情に凶暴)
  ・斑点の突いた人面茸…人面椎茸(毒性なしで美味、ただし不気味)
  ・血の様に赤い草………鮮血ほうれん草(栄養豊富でポピュラーな野菜)
  ・髑髏っぽいカブ………髑髏カブ(魔界の家庭では一般的な根野菜で、甘くて美味しい)
etc.
 ふむ………全て無毒な食材ですね……では一体なにが……ん?事典に端っこに注意書きのようなものが……えーと何々…『尚、人面椎茸と鮮血ほうれん草、そして、魔界鮎と髑髏カブ…(中略)…は一緒に食してはいけない。何故なら、コレらは単品では無毒だが、成分の一部同士が化合する事によって非情に強力な麻酔効果などを発現する事がある』……………と、ゆーーーことは……食い合わせが悪かったということですかね?
 ご愁傷様です。

 ガサ……「!?」

 おっと……そうしている間にも物語りは意外と言うかお決まりというか自然の摂理という方向へと流ているみたいですねぇ〜。
 そんでもって、物音のした方向から出てきたのは……
 まるで彎曲刀のような角を持った巨大な狼のような魔物………この魔界ではあまり見かけることの無い種族『幻獣族』のようですね……。
 因みに、余談ではありますが、この『幻獣族』にはヘルハウンドやブラックドッグといった犬科の魔物があてはまります。
 おっと、話がそれましたね、その今の幻獣族の様子はと言いますと………
 目はギラギラしていて理性の光が薄いと感じ取れる……息は荒く、非情に興奮しているのがわかる状態……
「グ………オ、女………」「ヒッ!」
 更に、下半身のナニがそりゃまたどう形容していいか青年雑誌では表現できない状態…………完璧なまでに『発情』してますね。
 そして、目の前には体の動かない無防備な少女が1人…………………

 えーーーーっと、
 これからさきは18才以上禁止の表現はできませんので、
 この先は音声の一部のみでお送りさせてもらいます……それでは、どうぞっ!!!

「うひっ!ソコ、ダメ、んあぁ舐めるなッ!」
「うぎッ!うぐッ!や、やめろやめろォッ!う、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
「らめぇ、らめぇ、これいひょうはらめぇ〜〜!!しんひゃうしんひゃうぅぅ……」
「!?そほ、違ッ………んあぁぁぁぁ〜〜〜〜………」

…………やっぱやめときゃよかった………。





 えーーーっと、これ以上は皆様にみせることは出来そうもありませんので、
 これから数ヵ月後に舞台は移行させたいと思います……。

 それでは、ぞうぞッ!!!

―数ヵ月後―

 ここは魔界にしてはのどかな雰囲気に包まれたどこかの平原……
 いや〜〜〜〜、こんな所で昼寝南下したら気持ちいいでしょうねぇ〜〜〜。
 っと、それはそうと、あの少女はどこかな……って、早速見つけました。
 ん?少女はどうやら何かに跨っているようですね?
 その跨っているものはというと…………
 まるで彎曲刀のような角を持った巨大な狼のような魔物………………………って、数ヶ月前に少女を襲っていた幻獣族ですね…………多分。
 それはそうと、おや?
「………!!」「……」
 何か言い合っているみたいです。
 どうでもいいですが、少女のほうは………何だかお腹の辺りが大きくなっているような………。
 まぁ、とにかく、少女と幻獣族の会話を拾ってみましょう……
「ハァ………イイ加減、機嫌ヲナオシテクレヌカ?」
「……いやだ」
「ヌゥ……」
「そもそも、『俺』を戻れなくしたのはアンタだろ?」
「ウグッ………アノ時ノコトハ猛省シテイル、ダガ、我モ限界マデ我慢シテイタノダ…………シカタナカッタノダ」
「だ・け・どッ!!昨日の夜も襲ってくる言い訳にはなっていないッ!!!しかもお尻…………」


 えーとっ………これ以上は危険な発現がありますので、途中で区切らせてもらいます………………。








「いかがでしたか?今回の舞台は?
 正確に言うとこれらは舞台ではないのですが、人生そのものが舞台のようなものなので、当劇場ではこれらを見せていくつもりです。
 では、又のご来店をお待ちしております」



 次回予告

 その時、少女どころか母となってしまった少年は魔王の城にいた。
 失ってしまったは魔界で最初に気を許せた者、その者が守りしは大事な女性と産まれていなかった娘。
 そして、魔王の城では今日も元・少年の声が木霊する。
「ゴレスさん、それはガオさんの煮物です!あ、ドロロさんつまみ食いしましたね?つまみ食いしましたよね?お仕置きです(キラーン)、投影(トレース)、開始(オン)」
 ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス
 主に食堂で………。
 そして、現れるは元凶の1人たる『元』魔法使い、そして、
「ママァ〜〜♪」
 故人が遺した大事な娘…………

 さぁ、今度はどんな物語を奏でるのかな?
 次回、「とある正義の味方志望(と魔法使い)の結末(後編)」
 をお楽しみ…………じゃなくて、気長に待っていてください(爆)



・後書き
 長いこと放置していたナイトメアです。
 では、
 長いこと不投稿でスンマセン。
 なんの音沙汰も無くてスンマセン。
 変な駄文でスンマセン。
 最後に、投稿するといっていて投稿しないでスンマセン。
 色々あって創作意欲が涌かなくて投稿できまへんでしたぁ(TT)。
 後、この作品は自分が本格的にはじめようかと思う小説の設定を用いて造った、いわゆる試作品のようなものです。
 どんな小説か家は何時か投稿する後編で書くと思うので気長に待っていてください。
 ほんでは。


管理人のコメント


 ナイトメアさんも新作を引っさげて帰ってきました。最近は帰ってくる人が多くて、嬉しい事です。
 今回はどうやら「Fate」シリーズの設定を使っているようですが、私自身「Fate」に詳しくないので、何処まであっているのかわからないところがあります。
 ということで、余計な詮索は止めて、先を見ていくことにしましょう。
 
 
>システムの常識すらも完璧なまでに覆すような偶然と失敗とドジと欠陥とシステム自体の綻びから引き起こされた出来事です。

 この時点で主人公はもう絶望的です。
 
 
>「○ン○がなぁ〜〜〜〜〜〜〜いッ!?!?」

 さらに不幸は続き……
 
 
>「グルルゥ………」「な!?ド、ドラゴンッ!?!?」

 この辺でかなりトドメ刺されそうな状態です。まぁ、ここでは逃走成功ですが。
 
 
>食い合わせが悪かったということですかね?

 油断大敵。強敵から逃げたと思ったら、この有様です。そして……
 
 
>そして、目の前には体の動かない無防備な少女が1人

 完全にトドメ刺されました。ご愁傷様です。  ☆⌒フ\_(・∀・ )チーン
 
 
 そして、元に戻れなくなった「少女」ですが、彼女が魔界に落ちてきた理由は? そしてその正体は?
 この辺の解説が行われるであろう後編が楽しみですね。


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