2004年12月31日 1258時 東太平洋 コモナ諸島沖


 満載排水量で10万トン以上の巨体を持つISAF海軍の原子力空母<イタル・ヒノウエ>の飛行甲板は、独特の喧騒に包まれている。
 色鮮やかなジャケットを羽織ってせわしなく甲板を走り回る乗組員たち。彼らのジャケットの色は、役割によって異なる。黄は誘導班。緑はカタパルト班とアレスティングギア(着艦制動)班、そして整備班。青が航空機運搬班で、紫が燃料補給班。赤が兵器班、白が救急医療班。このように細かい区分が成されている。
 舷側からは翼を折り畳んだ艦載機がエレベーターに乗り、甲板上にせり上がってくる。日本の文化に詳しい者ならば歌舞伎の舞台を連想するかもしれない光景だ。その艦載機は翼を広げると、青で身を包んだ者が運転する牽引車に引かれてあらかじめ定められた場所へと移動された。
 それと時を同じくして、甲板の各部に設けられた小さいエレベーターから、専用の運搬台車に固定された空対空ミサイルが運ばれてくる。それらはすぐさま赤いジャケットの人々により主翼下のパイロンに装着され、甲板に佇む金属製の猛禽たちは長く鋭い牙を得るのである。
 こうして全ての準備を終えた戦闘機は、再び牽引車に引かれて今度は艦首に、またはアングルド・デッキに埋め込まれた蒸気カタパルトの上へ連れて行かれる。前の車輪がカタパルトに固定され、防炎板が持ち上がってエンジン排気口の背後にそそり立つ。
 そうなったところで、緑のジャケットを着た士官が大きく手を動かし、ダンスを踊る。何もふざけている訳ではない。発艦準備がすべて完了したことを、コクピットのパイロットや他の乗組員に伝えるためのジェスチャーである。
 彼はしゃがみ込むように、大きく腕を振り下ろす。次の瞬間、カタパルトが蒸気の圧力を得て、20トン以上もある戦闘機をあっという間に加速させる。その時だけ、蒸気ピストンが張り裂けんばかりに鳴り、ジェットも含めた全ての音を圧する。
 こうして強引に前へと押し出された戦闘機は、飛行甲板の先端で機首をぐっと持ち上げ、そのまま空へと舞い上がる。そして彼らは戦いの空へと赴くのだった。
 その様子を<イタル・ヒノウエ>の艦橋で見守る男がいた。石橋大佐。ISAF空軍のパイロットだった彼は、コンベース港への攻撃作戦が終了した後、ついに第1線を引いた。代わりに与えられた仕事が海軍への移籍とISAF海軍第1艦隊――現在ISAFに残された唯一の海上航空戦力――の航空参謀だった。本来ならば正規の海軍軍人が務めるべきポストだが、ISAFの大陸反攻が近づく中、適材適所を最優先していたための措置である。戦況は一時期に比べればずいぶん楽になっているとはいえ、ISAFにはまだ余裕というものがなかった。
 石橋の視線の先では、1機の艦載機――F/A−18Eが新たに発艦しようとしていた。尾翼に描かれたメビウスの輪が鮮やかに映える。彼が手塩にかけて育て、エースにまで成長した教え子、相沢祐一中尉の乗機である。その機体が今、カタパルトにセットされた。
(頼むぞ、相沢)
 心の中でそう念じる石橋。すると、その対象となった人物が狭いコクピットの中で敬礼するのが見て取れた。石橋は口元に穏やかな笑いを浮かべ、答礼する。
 腕を下ろした直後、甲高いカタパルトの作動音とジェットの轟音を残し、祐一は空の住人の仲間入りを果たす。そしてそれ以外の機体も次々と蒼穹へと……。
 石橋は、全ての機体が発艦を終え、編隊を組んで飛び去っても、暫くその空を眺め続けた。


 カノンコンバットONE シャッタードエアー
   
Mission7 コモナ諸島大空中戦


 クラナド大陸の南東に、コモナという名の諸島がある。Kanon国の領土で、世界的に有名な観光地として知られるこの常夏の島々は、同時に大規模な宇宙基地を抱えるという一面を持っていた。
 戦争勃発後、この島を訪れる観光客は激減し、観光地としての価値はほぼ消滅してしまったが、逆に軍事的価値は著しく上昇している。宇宙基地の存在がその主要因である。
 Tacticsの高槻艦隊がコンベース港で壊滅し、ISAFは作戦方針をこれまでの守勢から攻勢に転じようとしていた。その手始めとして、来年初頭に大陸への上陸作戦「バンカーショット」の決行が正式に決定したのがおよそ1ヶ月前。現在、ISAF陸海空3軍はこの下準備に追われているが、コモナ諸島の宇宙基地もその準備の1つに組み込まれていた。
 大陸での作戦を支援すべく、この基地から最新鋭の偵察衛星を打ち上げるのである。
 情報は現代戦の命、優秀な偵察衛星の存在が大陸で戦うこれからのISAF陸軍にとってどれだけ有益な存在になるか計り知れない。またその認識はTacticsにも共通した。
 だからTacticsは、ロケットの打ち上げを阻止すべくコモナ諸島に大規模な航空隊を投入した。そしてその事態を想定していたISAFも、コモナ諸島の近海に空母を展開させ、宇宙基地上空の制空権を守ろうとしていた。
 結果は当然のごとく、両軍の激突。ここにジェット戦闘機が登場してから最大規模の、純粋な対戦闘機戦。両軍合わせて100機以上の戦闘機が狭い空域で雌雄を決するという大空戦の火蓋が切って落とされたのである。


 
同日 1335時 コモナ諸島上空


『敵編隊までの距離、40を切ったよ! 全機、中距離AAM発射!』
 AWACS「スカイエンジェル」こと月宮あゆの管制は適確だった。ISAFが保有する中距離空対空ミサイル、AIM−120「アムラーム」は50kmの有効射程を持つが、敵の回避行動や誘導の確実性を考慮してあえて40kmの距離まで引きつけたのだ。
 コモナ諸島の空は真っ青だった。文字通り雲一つない。そこへ刷毛ですいたような白い筋が何本、いや何十本も現れる。ロケットモーターが燃焼して生まれるミサイルの航跡である。
『それとすぐに来るよっ! 外してっ!』
 Tactics空軍機はISAFよりも射程の長いAAMを保有していたので、彼らは既にそれらを発射している。この点はISAFにとって明らかに不利だが、ISAFは電子戦技術においてTacticsよりも若干上回っている。さらに今回は地上――コモナ諸島の各地に強力なミサイル妨害装置が設置されているので、先にミサイルを発射されたからといってもそれが決定的な要素にはならない。
 しかしそれでも、ISAF各機はミサイル回避に全力を尽くす。敵のミサイルは真正面から飛んでくるから、ギリギリまで引きつけて回避すれば確実に外せる。だがミサイルと自機との相対速度はマッハ3を超えるから、タイミングを誤れば――早ければミサイルのロックを外せず追尾され、遅ければ正面に直撃してやられてしまう。これは機体の性能(今回の場合は機動力が重視される)もさることながら、各機のパイロットの腕前が生死を分ける。
 相沢祐一は生き残り組に属することができた。相棒の斎藤も含めて。新型のF/A−18EはこれまでのC型に比べて、出力だけでなく機動性も向上していたので、彼らは敵のミサイルをどうにか回避することができたのだった。

 中遠距離ミサイルの投げ合いによる損害比率は、ISAFがおよそ1に対してTacticsが2。悪くはない数字だった。しかし、Tactics軍機は敵に倍する損害を受けてもなお接近してくる。
『グレー1、敵機視認。交戦開始』
『グリーン小隊より全機へ。敵はMig−29を主力とする制空部隊……黄色だ! 黄色中隊のSu−37もいるぞ! 全機警戒しろ!』
 その警告を聞き、祐一は密かに闘志を燃やす。
(黄色か……今度はこの前のようにはいかないからな)
『祐一君。今日はロケットの防衛が一番大切なんだから、この前みたいに突っかかっちゃダメだよ』
 あゆに先手を打たれてしまった。考えていたことを完全に読まれていた。
(これじゃ黄色中隊どころかあゆにも勝てないな)
 祐一はそう思うと、苦笑して答えた。
「わかったよ。でも黄色に狙われたら別だろ?」
『うん。ボクはそうならないことを祈ってるけどね』
「おい、そりゃどういう意味だ」
 軽口を叩くが、心の中ではもうひとりの自分があゆの意見に同意していた。石油化学コンビナートで出逢った黄色中隊は、祐一に決して忘れられぬ恐怖、いわばトラウマのようなものを残していたのだった。
『ごめん、祐一君。あっ、ほら敵が来るよ!』
「了解。メビウス1、交戦開始。斎藤、用意は?」
『いつでもOK! さぁ始めようぜ、メビウス1!』
 いつものように斎藤が陽気に答える。空中においては極めて頼りになる戦友の返答だ。
 こうして、常夏の島の上空で、敵味方入り乱れての空中近接戦闘が始まり、蒼の世界はたちまち混沌の巷へと変わった。

 Tactics空軍、黄色中隊の隊長「黄色の13」こと折原浩平少佐は今日も撃墜スコアを順当に伸ばしていた。ミサイルの直撃を受けた本日2機目の哀れな敵が、彼の眼前で飛行機械から炎の雲へと変わる。
「っ……命中、と。おい長森、そっちはどうだ?」
 飛び散る破片を器用に避けつつも、彼は副官にして僚機である長森瑞佳大尉への気遣いを忘れない。
『わたしはまだ1機だけだよ』
 とマイペースな答えが返ってくる。
 瑞佳は浩平の護衛として、常に彼の傍に付き従っている。本来、自ら敵を求めて自由に飛べるという立場ではないのだ。そのため、浩平に比べてトータルの撃墜数も少ない(それでも軽く20機は超えているが)。今回の空戦もそれが顕著に表れている。
 しかし、照れくさいので口にこそ出さないが、浩平はそんな瑞佳にとても感謝していた。彼女が護衛として彼の後ろをカバーしているからこそ、いつも安心して戦い、結果として大きな戦果を上げられるのだから。
(ありがとな、長森)
 ふと、そう思う。だがすぐに獲物を狙う猛禽のような目つきに戻り、周囲へ油断なく視線を走らせる。すると、真正面の空間で黒煙の筋が、半紙の上で書道の達人が毛筆をふるった時のように生まれた。
「味方がやられたか? 誰だ?」
『……こちら黄8、機体損傷。戦線を離脱する』
(黄8――南森か……オレの中隊からもついに被弾機が出ちまったか)
 次の瞬間、前方警戒センサーが耳障りな音で彼の注意を促す。
(正面!? 黄8を損傷させた奴か?)
 反射的に機体を傾ける。彼の目の前に、敵機が正対していたからだった。
 直後、至近距離ですれ違う浩平機とISAF機。距離は50メートルを割り、相対速度はマッハ2に達していた。
(! あれは……!)
 しかし、そんな高速であっても、彼の目はしっかりと捉えていた。すれ違った敵機の尾翼に描かれていたマークを。
『浩平! 今の見た!?』
 それを目視確認したのは、浩平だけではなかった。瑞佳が多少興奮したように呼びかける。
「ああ! 確かにあいつだ。生きてたんだな」
 浩平はどことなく嬉しそうに言った。1ヵ月と少し前、彼らが炎上する石油化学コンビナートの上であいまみえた「リボン付き」が再び彼らの前に姿を見せたのだった。
 浩平も瑞佳も、リボン付きがISAFのエースとしてそれなりに有名人となったのは知っている。が、こうして実際に敵の飛び方を見ていると、なるほどエースというのも頷ける、と思った。
 となると、先ほどまでの疑問は核心になる。ただ、一応確認はしておかなければならない。
「こちら黄13。黄8にダメージを与えた奴は誰だかわかるか?」
『リボンのエンブレムだ』
「そうか……。おい、長森」
『何? 浩平』
 浩平は、嬉しさと厄介さが半分ずつブレンドされたような声で言った。
「やっぱり、コンビナートの時、オレが直接戦って、まだ未熟だったリボン付きを墜としとくべきだったかもしれないな」


「……危ない、危ない。完全なニアミスだったな」
 黄色の敵機が後方に飛び去ると、祐一はほっと息を吐くように呟いた。この乱戦である。正確な戦果確認にも限界がある。そのため彼は黄色中隊の1機に損傷を与えていたことを、この時点で知る由はない。なお、彼はこの戦争を通じて、黄色中隊に一太刀浴びせたISAFパイロット第1号となった。
 とにかく今の祐一は、ただ正面衝突と敵の攻撃を免れたことに幸運を感じていた。しかし安堵する暇などない。空戦は狭い空域を多数の戦闘機が乱舞する混戦と化していた。もはや編隊を維持している者など皆無に近い。祐一も例外ではなく、僚機の斎藤を見失っていた。
『メビウス1、生きてるか?』
 その斎藤はまだ無事だった。祐一は安堵しつつ答える。
「ああ、そっちはどうだ?」
『もう訳がわからなくて……撃墜確認すらできない』
「そうか。あゆ、一体どうなってる?」
『ボクにも良くわからないけど……』
 珍しく歯切れの悪いあゆ。優秀な管制官として知られる彼女でも、これほどの乱戦ではさすがに状況を掴みきれないらしい。
『でも、全体的にはボクたちの方が押してるみたいだよ。それと……』
「それと何だ?」
『遠くから何かが……爆撃機だ! 音速を超えてる……Tu−160が6機接近中だよ』
『ブラックジャックか。なるほど、そっちが本命ってことか』
 斎藤が他人事のように、気楽に言った。

 Tu−160ブラックジャック。ロシアが1980年代に開発した超音速爆撃機である。その外見は、昨年11月のコンベース港空爆で活躍したアメリカのB−1Bランサーに極めて似ているが、機体サイズ、兵装搭載量、航続距離、最大速度はB−1Bを上回っている(その代わり、B−1Bほどの低空地形追従飛行性能は持たず、ステルス性も低い)。
 Tactics空軍はこの大型爆撃機を12機保有している。稼動率などに問題があるのか、今回コモナ諸島に姿を見せたのはその半分だったが、それでも虎の子のブラックジャックを投入してきたと言うことは、Tacticsが本気で宇宙基地を破壊し、衛星打ち上げを阻止しようとしていることの証左だった。

『スカイエンジェルよりISAF全機へ。敵はTu−160を出してきたよっ! 方位270、距離250km! 10分足らずでこっちに来るから、誰でもいいから急いでやっつけて!』
 あゆの多少逼迫した声が、祐一を始めとしてコモナの上空にいる全てのISAFパイロットに伝わる。
 しかし、ほとんど全ての機体は、Tactics空軍機とドッグファイトを展開している。あゆの期待に応えられる者は出なかった。
『ブラック小隊、手が離せない。他を当たってくれ!』
『ブラウン小隊、以下同じ。くそっ!』
『こちらオレンジ、残りは私だけだ。逃げるだけで精一杯。以上』
「……これが狙いだったか」
 祐一は敵の真の意図を悟った。
 Tacticsはまず始めに、敵戦闘機を排除、あるいは消耗させるために戦闘機だけをコモナ諸島に送り、空戦を仕掛けた。制空権を奪取できればそれで良し、できなくとも乱戦に持ち込めば爆撃機を突撃させる隙が生まれる。
 だからこそ、敵は超音速爆撃機のTu−160を持ち出して、強行爆撃を計ったのだろう。
『うぐぅ、なんとかしなくちゃ……あれ?』
 事態を達観してある意味冷静になった祐一とは別に、次々と飛び込む悲観的な返答に、あゆの焦りは募る。だが、彼女は声のトーンを変えてほんの一瞬だけ沈黙し、先ほどまでとはうって変わったような明るい声で叫んだ。
『敵の一部が逃げ出してる! 今のうちだよ!』

 コモナ諸島の宇宙基地には、今回のような事態を想定して、あらかじめ空軍の防空部隊が駐留していた。その中には、1999年の小惑星コーヤサン飛来に際し、ストーンヘンジで対処するまでもない小隕石を迎撃して活躍した長距離地対空ミサイル部隊――高射隊も含まれていた。
 パトリオットPAC4(NMD計画に最適化されたパトリオットの最新型)の装甲コンテナ3基(ミサイル12発)とレーダー、指揮車を装備したこの高射隊(本来ならば6基のコンテナがあるはずなのだが、ノースポイントの拠点防衛に加え、大陸へ送り込まれる部隊も編成されたので、3基の配備が限界だった)は、巧みな儀装で敵に存在を知られていなかった。そのため、戦闘空域の後方で待機していたTacticsの空中給油機がうっかりミサイルの射程内に入り、あえなく撃墜されたのだった。
 結果として生じたのが、敵戦闘機の一部撤退である。燃料に余裕なく、空中給油を受ける見込みもなくなった機体がこのまま燃料を大食いする空戦をしていたら、ガス欠で海に落ちるか陸地に不時着することは明白だ。そうならないうちに帰る必要がある。
 一方、この攻撃でパトリオットは射耗し、新たに現れたTu−160を狙うことはできなくなっていた。ISAF防空部隊に残されたのは比較的短距離の地対空ミサイル、そして対空機関砲だが、Tu−160は短距離巡航ミサイルを用いてくる可能性が高く、これら近接防空兵器の射程内には入ってこないだろう。彼らにできるのは、せいぜい発射された後のミサイルを迎撃して被害を最小限に食い止めることだ。
 しかしそれでも、ISAFにとってはチャンス以外の何者でもなかった。空を守る海軍航空隊に、爆撃隊迎撃の余裕が与えられたのだから。

 敵の数がある程度数が減ったとはいえ、まだ制空権を奪取するまでには至っていない。
 爆撃機の要撃に向かったISAF機の前には、黄色中隊などが立ち塞がり、行く手を阻んでいる。
「黄色中隊の防衛線を突破しなけりゃならないか」
『祐一君、黄色以外にも強いのが1機、機種は……ラファールだよ』
 ダッソー・ラファールか。祐一はそう思った。フランスの最新鋭戦闘機でかなりの高性能と聞くが、ならばこっちだって最新鋭機だ。性能で引けは取らない。決め手は扱う者の腕だ。
『あっ! 真っ直ぐ祐一君に向かってくるよっ! 気をつけて!』
「こっちも確認した、交戦する!」
 祐一と敵のラファールは、騎士と騎士が主君の前で腕前を競う御前試合のように正面から向き合い、そして長槍――中距離ミサイルを放った。

「今度は前みたいにはいかないわよ。リボン付きっ!」
 ラファールを駆る七瀬留美中尉はそう怒鳴ると、操縦桿を倒してチャフをばら撒いた。するとミサイル接近の警報が消え、彼女は危険な状態を見事に脱する。回避成功。しかし同時に、自分の攻撃も当たらなかったことを愛機のディスプレイが知らせてくる。
「ちっ……さすがはあたしを墜とした奴ね……」
 悔しそうに呟く。留美はメビウスの輪のエンブレムを持つこの敵に、激しい敵愾心を燃やしていた。かつて自分を撃墜した敵。これは戦争で、互いに命のやり取りをしているのだから墜とす墜とされるは運命と思わなくもないが、それでも憎らしいものは憎かった。
 彼女は自覚していないが、それは嫉妬だったのかもしれない。空を飛ぶことが自分の目指す乙女になれる道と信じて戦う留美。その努力はTactics空軍第3のエース(トップは「黄色の13」こと折原浩平少佐、2番目が浩平の片腕たる長森瑞佳大尉)となることである程度は実を結んだが、そんな彼女の前にある日突然立ちはだかったのが「リボン付き」だった。
 当時まだ無名の敵に撃墜されて、彼女のプライドは大きく傷つけられた。しかもその敵は後にISAF空軍の代表的パイロットとして名声を上げ、今日に至っている。それはまるで本来自分が戦乙女として歩むべき道を奪われて、リボン付きが代わりにその道を進んでいるようなものだった(リボン付きは「乙女」ではなく男であることはもちろん知っているが)。
「だから、今度はあたしが墜とす!」
 そう宣言する間にも、彼女の復讐心の対象となった敵機は接近し、今日これまでに幾度もこの空で展開されたような巴戦になる。留美はスタイルの良い自らの身体をきつく締めるGと戦いつつ、あらゆる空戦機動を駆使して敵機――F/A−18Eの背後につく。
「これで……さよならよっ!」
 という一言と共に、操縦桿にあるスイッチを押し込む。翼下から発射されるミサイルは留美の意志を汲んで敵機に迫るが、F/A−18Eもまた巧みだった。急回避しつつフレアを散布してミサイルの先端にある赤外線シーカーを誤魔化す。
 結果、留美のミサイルはフレアの高熱に飛び込み、無駄な爆発をして果てた。
「くっ! やるじゃない、リボン付きっ」
 だが、敵の背後から離れた訳ではない。戦闘のイニシアティブは未だ留美が握っている。彼女の双眼は逃げる敵の姿をくっきりと捉えていた。

「ああ畜生! そう簡単には行かせないってか!?」
 背後でミサイルの爆発が起きるが、祐一機に影響はない。それでも強敵の存在をひしひしと感じ、思わず悪態をつく。ここでもたもたしているとTu−160の攻撃を許してしまう。焦りが生まれつつあった。
(とにかく振り切らなきゃな……あのしつこい奴を)
 今自分が相手にしている敵がどんな者か、祐一は良く理解していた。昨年11月7日、5分間もドッグファイトを展開した時の、ミラージュ2000のパイロットだ。あの動きは間違いない。その時の5分間は俺の人生の中で最も長い5分間だった。忘れようがない。
 祐一の荒っぽい操縦に対し、愛機F/A−18Eは良く応えてくれる。以前乗っていたC型よりも加速、機動性において大きな差がある。
(そうだ。だったらアレをやってみるか?)
 乗機を信頼しきった祐一は、決断すると即座に実行した。愛機の機首が急に上を向き、祐一の身体もシートに座ったまま仰向けになる。頭の上に重い荷物を載せられるようなGに襲われる。祐一機は上向きになったまま水平飛行をしつつ、急減速をかけていた。
 最近になって開発された戦闘機はCCV(Control Configured Vehicle=運動性能向上技術機)という概念を採り入れたものが多い。機体の向きを変えずに進路を変えたり、また向きを変えているのに進路を変えなくても済むという新たな操縦技術だ。これはフライ・バイ・ワイヤ技術の確立により初めて実現した。
 このCCVにより、対地攻撃において地上へ激突する危険性が低くなったりする(機首を下に向けても機体は水平飛行を維持できる)が、それは空戦においてもこれまでにない機動ができることを意味する。かつて祐一は黄色中隊のSu−37に翻弄されたが、その時見せつけられたクルビットなどの特殊機動も、CCVにエンジン推力偏向ノズルの能力を加えて可能となったようなものだ。
 F/A−18はそもそも機首を82度上に向けて数秒間水平飛行できる能力を持っている。しかしこれをやると速度が急激に落ちる。だが、祐一のD型はエンジン推力がC型より30パーセント向上した機体である。加速が鋭く、急減速してもすぐにスピードを回復できる。祐一は愛機の性能を信じ、それを実行した。
 結果、形勢は一瞬で逆転した。祐一の急な減速により敵機がオーバーシュートする。そうしてラファールが頭上を越えて行くのが確認できた。
「よっしゃ!」 
 思わず歓喜の言葉を叫び、素早く体勢を戻し加速した祐一が敵の後ろを抑えるような状況になる。
 無論、敵も必死に逃げようとした。が、愛機のHUDの中から逃れる前に、祐一はバルカン砲の発射トリガーを一瞬だけ引いた。それだけで数十発の砲弾が放たれる。うち数発が目標に吸い込まれ、射抜いた。

「えっ!? ああっ!」
 突然敵機が上っ面をさらけ出したかと思うと、一瞬で追い抜き、今度は背後を取られる。留美はこの僅か数秒間の状況変化に驚愕したが、回避の努力を怠らない。が、それでも遅かった。敵機の20ミリ砲弾が機体の右エンジンを抉り、耐熱金属製のタービンブレードをもぎ取ってしまい、ラファールは激しく振動する。まるで機体が激痛に喘ぎのたうっているかのようだった。
「ええいっ! またなの!?」
 絶望じみた声を発する留美は、バックミラー越しにそれを見た。たった今自分にダメージを与えた相手が、手を伸ばせば届くような位置まで近づいているのを。
(!! 駄目、やられちゃう!)
 恐怖に駆られて目をぎゅっ、と瞑る。次の瞬間には、自分の身体は機体もろとも機関砲弾に引き裂かれる光景を想像しながら。
「!!……?」
 しかし、留美の生命が消失する代わりに、ロックオン警報が消失した。頭上を敵機が過ぎ去り、僅かな間だけ太陽の光が遮られた。後は敵機が空気を切り裂いて生まれた異常気流に振り回されただけだった。
「……」
 唖然とするが、すぐに怒りが込み上げてきた。敵はとどめを刺さなかった。やろうと思えば確実に撃墜できたはずなのに。
(何よ、今のは!? あたしは遊ばれたの!?)
 拳を振り上げかけたが、叩きつける場所がない。仕方なく手を操縦装置に戻した留美は、激しく揺れるがかろうじて飛行状態を保つラファールを操る作業に取りかかった。内心から込み上げる屈辱感、怒りと戦いながら……。
 前の愛機、ミラージュ2000は留美に脱出の余裕を与えてくれたが、今度の愛機ラファールは地上に戻るまで飛んでくれた。そこで機体は生命が尽き、大陸の南部に不時着した彼女は、その後味方に救出されて生還を果たし原隊に復帰した。
 結局、今回彼女が得たのはメビウス1に対するさらなる復讐心だけだった。

 ようやく強敵を退けた祐一は、その感慨に浸る間も与えられなかった。
 祐一は何も義理人情で留美を見逃した訳ではない。それよりも優先すべきこと――Tu−160の補足撃墜という重大事があったからだ。とりあえず降りかかる火の粉を払えればそれで良い。1機の敵にこだわって戦そのものを失っては意味がなかった。
(一体どうなってるんだ? ロケットは無事か?)
 そこでふと気がつく。こういう時はあいつに聞けば良いんだった。
「おいあゆ、爆撃機はどうなった!?」
『祐一君? うん、大丈夫だよ。今、斎藤さんが……』
 と、名指しされた斎藤が祐一とあゆの交信に割って入り、自らの状況を知らせた。
『こちらアクトレス! ブラックジャックを目の前にしている。選り取りみどりだ! と言う訳でメビウス1、爆撃機のことは安心してくれ』
「あの時とは逆になったな」
『あの時?』
「去年のハンティング・ホーク作戦(コンベース港への空中補給路遮断作戦)だよ。俺はターゲットの電子作戦機を墜として、お前が護衛の戦闘機を相手にしたよな」
『ああ、そのことか。確かにそうだったな。っ……よし! まずは1つ!』
 斎藤は順調に爆撃機を屠っているらしかった。そこへようやく手の空いた戦闘機が加わってTu−160を狙い出す。
『こちらグレー3、遅くなった』
『パープル小隊、敵爆撃機を補足。交戦開始』
 宇宙基地への攻撃もままならずTu−160が全機撃墜されたのは、それから3分後。巡航ミサイル発射態勢に入るまであと20秒しか残されていないという実に微妙な勝利だった。
 それとほぼ時を同じくして、黄色中隊を含めたTactics空軍機はすべてコモナ諸島から姿を消し、熱帯の大空はISAFのマークをつけた戦闘機に支配された。
 それからさらに3分後、ロケットの秒読みは大詰めを迎える。
『ロケット発射まで20秒、みんな基地の上から離れて。17、16、15……』
 あゆのカウントダウンが続く中、祐一は地上をちらりと見やった。
 ロケットの発射台から、白煙が噴き上がる。エンジンが点火され、発射台の下に注がれた水が蒸発して水蒸気に変化したのだ。
『5、4、3、2、1、ゼロっ!』
 そして、ついにロケットは地上を離れた。最初はゆっくりと、しかし急激に速度を上げて空へと昇るロケット。蒼いキャンバスに巨大な筆が、白の線を上へ上へと引いてゆく。
『おおー、上がっていくぞ。見ろよメビウス1』
「ああ……凄い、綺麗だな……」
(これで……戦争は次の段階へ……)
 ISAFの大陸上陸作戦は間違いなく実施される。そうだ、これで帰れる。あの街へ、名雪の元へ。俺がこのまま勝ち進み、あの街まで攻め上がれば、名雪に逢えるんだ。
 祐一には、ロケットの白煙は愛する者のいるスノーシティーに自分を導く空の道のように思えてならなかった。

『浩平、今度もダメだったね』
 浩平には、瑞佳が何を言わんとしているのかがすぐに理解できた。リボン付きを撃墜できなかったことだ。
「ああ……まぁ、あの乱戦じゃ目に前にいる敵を墜とすのが精一杯さ。それに、前よりも動きが良くなってなかったか?」
『あ、浩平もそう思った?』
「おう。確実に腕を上げてたぞ。あれがコンビナートの時のリボン付きだったら、すれ違いざまに撃墜してただろうし、そもそも黄8がやられることもなかった」
 それよりも――と、浩平は話題を変えた。確かにリボン付きも気になるが、今の浩平、いやTactics軍にとっては、これから言わんとすることの方が遥かに重要だった。
「作戦、失敗したな」
『やけに素直だね、浩平』
 レシーバーの向こうで、瑞佳が驚いたような声を出した。驚いたといっても、口調はほとんど変化がない。付き合いの長い浩平だから、瑞佳が驚いたのがわかるのだ。
「……お前は、オレを何だと思ってるんだ?」
『だって、浩平がこんなに素直に認めるなんて、珍しいもん』
 いつもこれだけ素直なら、わたしも苦労しないよ。とつけ加える。苦笑が漏れるのも聞き取れた。
「……帰るぞ。ったく……気が重いぜ……」
 露骨に話を切り替えて、浩平はもの鬱げに言った。わざわざ自分たちが――Tactics空軍最精鋭たる黄色中隊が出張ってまでISAFの衛星打ち上げを止めさせられなかったのだから、指揮官の浩平にも何かお咎めが来る――そこまで行かなくとも、説教くらいは受けるに違いない。予測の容易な少し先のことを想像して、浩平の気は重くなってゆく。
『浩平、上を見て!』
 瑞佳の声で深刻な考えを中断した浩平は、彼女に言われた通り上を見る。
 するとそこには、蒼い空があり、それを白く汚す細長いものが上へ上へ――重力の束縛を振り切り、宇宙へと向かっていた。Tacticsが破壊し損ねたISAFのロケットだった。
『綺麗……』
「ああ、そうだな……」
 今度こそ彼は心から素直になれた。実際、それは感動すら誘う美しい光景だった。浩平の心からはいつの間にか憂鬱が消え去っていた。
(そうだ……オレは空が、こういう空に包まれているのが好きなんだ)
 空に憧れを持ったのは一体いつからだったろう? 浩平は自問自答する。妹が、みさおが死んでからかもしれない。だからオレは、あいつがいる場所に最も近い空に憧れたんだ……。
 しかし、青空はそんな悲しい考えすらも吸い取ってしまうほど澄んでいた。空は浩平の心をも浄化していった。そしてふと思う。
(でも、どうせ飛ぶんだったら、戦いのない平和な空が良かったな)
 しかし今は、無理だ。そして多分、これからしばらく先も――。
 まぁ今は仕方がないか。戦争が終わればそういう機会もあるだろ。もし機会が来たその時は……長森もさそってやっても良いかな。
 浩平と瑞佳のSu−37は、まるで寄り添うように、そしてふたりの好きな大空に溶け込むかのように飛び続けた。

 後世の戦史家が「コモナ諸島大空中戦」と称するこの2004年最後の日に行われた空戦において、ISAFの損害は23機、Tacticsは45機(Tu−160含む)の損害を出した。さらにISAFは宇宙基地の防衛とロケットの打ち上げにも成功、衛星は予定通り軌道に乗って、打ち上げから数時間後に写真撮影と合成開口レーダーによる探知を始めた。
 それからさらに数時間後から、ノースポイントの各港湾は多忙に包まれるようになる。同時に、ある種の活気に溢れてもいる。港の外からは、アメリカを始めとする世界中から援助された軍需物資を積んだ輸送船が来航し、かと思えばまた物資を(時には装甲車両を)乗せたトラックが陸上からやって来て、錨を降ろした輸送船や空母に似た軍艦――強襲揚陸艦にそれら運ばれたものが積み込まれていく。その後継が連日連夜のように繰り返された。
 兵士たちの輸送と船への乗り込みは船団の出港直前になるだろうが、それでも巨大な、目には見えない運命の――後世からは、歴史の転換点と呼ばれるであろうものの――大きな動きはもう誰にも止めようがない。結果がどのようになろうとも。このISAFの大陸反攻へ向けた動きの一端を垣間見たとある士官はそう思った。
 作戦名「バンカーショット」への準備は、着々と進みつつあった。


 
2005年1月1日 1220時 スノーシティー 喫茶店「百花屋」


 商店街の一角にある、さほど大きくはないがおしゃれで、若者だけでなく年配者も安心して入れるような外観を持つ喫茶店は元日から営業していた。
 店内の雰囲気も店構えを裏切らず上品に落ち着いたもので、窓からは外に積もった雪に反射された光が射し込むが、レースのカーテンにやわらげられて店内を程よく照らしていた。
 普段ならば昼時で賑わうこの時間も、今日は元日だからだろうか、客は誰もいなかった。しかし、そこでは3人の店員が、忙しくもなく暇でもないように働いている。
 新たな年が始まってから12時間と少し経過した頃、西洋風のドアがカランカランとベルを鳴らすと、店主の天野美汐にとってはすっかり馴染み、いや、お得意様になった客たちが現れた。
 Tactics空軍のパイロットジャケット。肩には「156TH TACTICAL FIGHTER WING」と書かれたワッペン。空の申し子と表現するのが相応しいエースの集団、黄色中隊のパイロットたちだった。
 この街で抵抗活動を取り仕切る美汐だが、活動を円滑にするには普通の市民を装わなければならない。それに彼女は、大空を駆けるこの気持ちの良い人々に、さほど悪い感情を持ってはいなかった。知り合いの住んでいた水瀬家を崩壊させたのが彼らだということを承知の上で。そのため、美汐は半ば演技、半ば本心から彼らに挨拶をする。
「いらっしゃいませ、折原さん。長森さん」
「おう。あけましておめでとう」
「おめでとうございます」
「天野さん、今日もお世話になるね」
 そんな美汐の内心も知らず、浩平や瑞佳たちは親しく挨拶を返す。そして彼らはいつも決まった場所へ陣取り、食事と雑談から、やがて自然と昨日の空戦の反省会になる。
「しかし、昨日のリボン付き、いい飛びっぷりだったな」
「リボン付き……」
「南森は危うくやられそうになったし、あの“メイデン”もそいつに2度墜とされたらしい」
「あの女撃墜王が……それも2回もか」
「うん。わたしも少し驚いたよ」
 昨日現れた強敵を称える浩平と瑞佳。同意を示したり、驚きを隠せない隊員たち。しかし、彼らの話は内緒話ではなく、おおっぴらな会話だった。したがって、同じ店内にいる美汐と、店員として働いている美坂栞、沢渡真琴の3人は彼らの会話をさりげなく、しかも注意深く盗み聞く。
「リボン付きって……祐一さんのことですよね」
「えっ!? 祐一なのっ!?」
「真琴、声が大きいです」
「あ、あぅー」
 重要な軍事情報は思いがけない所から入ってくる場合も多い。レジスタンス活動とは破壊工作がとかく注目されがちだが、本来は地道な情報収集活動が本分である。彼女たちはそれを忠実に守っていた。
 なお得られた情報はインターネットの秘匿回線によりISAFへ流されるが、頻繁に回線を開くとTactics軍に傍受される危険性が高まるため、比較的重要な情報の送信が優先される。そしてその区別はレジスタンス側――ここでは美汐に任されている。
「そうらしいです、真琴。相沢さんがあの皆さんの言う“リボン付き”らしいです」
「リボン……あはっ、なんか変。祐一は男なのにね」
「多分、相沢さんの機体にあるメビウスの輪のエンブレムがリボンに見えるのでしょう」
 美汐が真琴に、祐一のニックネームの由来を説明する。
「どうやら、祐一さんは活躍してるみたいですね。この前はダブルエースになったって教えてもらいましたけど」
 黄色中隊の会話の内容から、祐一の現状を予想した栞が言った。
 そこで、3人は黙り込む。それぞれが違うことを考えた。美汐は祐一の活躍が、現在の戦場から遠く離れたこの街まで届いたことから、ISAFが戦況を有利に進めていることを予測し、真琴は祐一の戦っている姿を頭の中に思い描き、そして栞は以前、姉と義兄に祐一がダブルエースになったことを教えた、約2ヶ月前の出来事を思い出していた。
 しかし、3人には完全に共通した願望があった。それはとにかく祐一が無事でいることだった。
「おーい、お冷もらえるかな?」
「あっ、はい。少々お待ちください。それではお願いします」
「わかりました」
 美汐の声は接客用の穏やかなものに戻る。それを受け、栞はトレイを手に持ち、真琴はガラスコップを冷水機にセットし、それぞれ一介のウェイトレスへと戻った。
 彼女たちの、まだこの時点ではささやかな抵抗活動は、まだまだ終わる気配を見せなかった。


 「Mission8 大陸の最も長い日」につづく


管理人のコメント


 100機以上の大空中戦…その中を駆け上がるロケット。今回は見所いっぱいです。

>石橋大佐。ISAF空軍のパイロットだった彼は、コンベース港への攻撃作戦が終了した後、ついに第1線を引いた。

 おぉ、生存おめでとうございます、石橋大佐。なんか死にそうな雰囲気がしてたので正直ホッとしました(笑)。

>『リボンのエンブレムだ』

 そして、祐一にもめでたく怪しげなニックネームがついたようで。リボン付き…なんか、ガ○ダムに出てきそうな呼び名ではあります。

>全体的にはボクたちの方が押してるみたいだよ。

 黄色中隊がいるにもかかわらず。戦いの流れが変わりつつある事を窺わせる一言です。

>「今度は前みたいにはいかないわよ。リボン付きっ!」

 ななぴーもめでたく再登場。しかも、少しずつ地が出てきていますね。良い事です(おい)。

>「ああ……凄い、綺麗だな……」
>『綺麗……』


 期せずして両軍のパイロットから発せられたこの一言。ロケットの打ち上げは確かに感動を誘う光景だそうで、私も見てみたいものだと思っています。

 さて、偵察衛星も上がり、いよいよ戦いの流れがISAFに傾きつつあるようですが、いよいよ次回は大陸再上陸でしょうか?今後の展開がますます期待されます。


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